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■「贅沢な骨」■

■泣いた場所■

ル・テアトル銀座

■涙の量■

「はらり。」

■泣き処■

 全部ネタばらしになってしまうので、これから観るぞ!っという方は読まないで下さい〜。
                       ***
 涙がはらりと、出てしまったのは、(登場人物全員の名前を忘れてしまったので役者さんのお名前で書かせていただきます)、つぐみさんが退院して、麻生久美子さんと二人暮ししているアパートに帰ってくると、部屋に永瀬正敏さんがベッドで麻生久美子さんと一緒に眠っていて。麻生久美子さんは、つぐみさんに退院するまで禁煙するって言っていたんですけど、灰皿にはタバコの吸殻が山積みになっていて。つぐみさんはタバコ吸っていることにショックを受けた風で。で、つぐみさんが部屋を出ていくのか、と思いきや、二人が使ったワイングラスを、洗い始めて。で、つぐみさんは、ワイングラスをじっと見つめて、わざと(じゃないかもしれないですが)グラスを割ってしまって。(割れた音だけなので、実際には割っていないのかもしれませんが)で、永瀬正敏さん演じる男の人は起きるんだけど、麻生久美子さん演じる女の子は眠ったままで。で、羽毛のようなものが、麻生久美子さん演じる女の子の口に入って飛び起きた時に、つぐみさん演じる女の子が、笑って「おはよー」って、言うところで、涙が出ました。なんか、狂気の一歩手前で寸止め(?)してるというか、すごくギリギリのところで生きてて、それはみんなそうで。その微妙な駆け引き、というか、切実さが、それすらも、ぽやんとした現実に呑まれてるというか。それでも、笑って「おはよう」って、言っていることが、すごい、切実に感じられて。なんて、よくわからないけど、居場所というか、狭いサークルだけど、それがすべてというか、それが大事というか。
 つぐみさんは自分のことを「汚い」って言っているけれど、それは言い訳で、そうやって言うことで、生きていられてるんです。というか私がそうなんですけど。自分を否定することで、根本から逃げてる。行定監督は、自分のことを「汚い」っていうつぐみさん演じる女の子のことに触れて、全然悲劇的じゃないのに悲劇のヒロインになりたがる女の子っているじゃん、という意味のことを仰っていました。その通しです。切実に自分が「汚い」と思う気持ちも本当にあるし、と同時に、そうやって自分は「汚い」って言うことで、生半可な現実を受け入れた気になってる。ほんとは結論を出すのが恐いだけなのに、極論に甘んじてる。はぁ。言わない人の方がスゴイ、とも仰っていました。ああ。身につまされる〜。あと行定監督は、麻生久美子さん演じる女の子のほうが純粋度は高いと仰っていました。純粋さゆえの破滅。なんだか太宰を思い出したりしつつ。つぐみさんと麻生久美子さんは表裏一体というか(なんかフェミニズムっぽい解釈だわ〜)両方が、一人の女の子の中に共存してるんじゃないかと思う。割合こそ違え。それぞれがお互いを補う存在で、バランスをとりながら生きてる。
 あと、永瀬正敏さんは、いつも白い柔らかそうなシャツをはためかせているのですが、それが天使の羽根みたいでした。永瀬正敏さん演じる男の人って、すごいよくわからない存在のままで、本名とかも結局明かさず(名乗った名前は、小さい頃にいじめていた奴の名前だというせりふがあるのですが、私も小さい頃、同じ名前でいじめられてた男の子がクラスにいて、あれ?監督、同級生?と一瞬思いました。そんなわけないんですけど)、職業とかもわからなくて、わかるのは、よく女の人を買っている人(上手い表現を知らないもので)だってことくらいで。で、映画の中で、「猫背」っていう意味の英語の名前(忘れちゃった!)のバンドの曲が出てくるのですが、それを歌っているのは、上映後のティーチインの時に監督が仰っていたのですが、永瀬正敏さんで。それならそのバンドのボーカルの人が、永瀬さん演じる男の人なのかなぁ、と思って、そういえば猫背だし、べらぼうに「上手」みたいだし(ほんとに上手い表現を知らないなぁ。床上手?なんて年頃の女の子が使う言葉じゃないですね。えへ)。一見、永瀬さんが天使のようなのだけど、麻生久美子さんはつぐみさんのことを、天使だと感じているというナレーションがあって、でもつぐみさんには羽根はないって、言っていて、上手く言えないんですが、ガーンときた。(ね、ほんとに上手く言えてないでしょ。えへ)すごく、ほっとした。生活する場所にいるのは天使じゃなくて生身の人間なんだ。人間を選んでくれて、良かった。天使は人間の中にいる。
 なんだか身につまされっぱなしなんですけど、全体的に泣くって感じじゃない映画でした。終わり方も、すごく切ないけれど、嫌な気分じゃないし。とってもいい映画!切なくても悲しくはない。重苦しくないんです。光とか、すごくキレイで。そうだ!津田寛治さんがスゴイ面白かった。ヤンキーなバカップル役で。でも本気で熱そうだったなぁ。大丈夫だったのかしら。光石研さんも、胡散臭い(失礼ですね)お医者さん役で出演されています。うふ。麻生久美子さんはものすごくきれいだし、つぐみさんのかわいらしさ、切実さは天下一品どす。大好きな映画が増えました。早くもう一回観たいけど、公開は2001年7月だそうです。ガチョーン。

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