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■オススメ!文芸読本■

第一回『川端康成とともに』川端秀子著第二回『女生徒』太宰治著佐内正史写真

第一回 

『川端康成とともに』

川端秀子著 昭和58年4月発行
新潮社

 言わずもがな、康成サマ夫人秀子サマが、ご夫婦の思い出話をたっぷりとお書きになった貴重な一冊。
 ごく日常的な出来事の中から、数々の作品達の成立過程を伺うことができ、研究書とはまた違う形で作品に触れ、楽しむことが出来ると思います。
 また康成サマの広範囲にわたる交友関係が伺えるので、同じ時代の文学者ファンの方ならきっと楽しめることと思います。ちょっとネタばらしになってしまいますが、昭和9年に、太宰が康成サマのおうちを訪たそうなのですが、たまたま康成サマがご在宅ではなくて、会えなかったそうなんです。その時お二人がお会いになっていたら、芥川賞の一件は違っていたかも、と秀子夫人は書いておられます。また、康成ファンならご存知の方も多いかと思いますが、「だめですか」の泥棒話も載っていて、すごーく面白い、一番のオススメ本です。

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第二回

『女生徒』

 太宰治 作・佐内正史 写真
作品社 平成12年8月 ¥1600

 ★「「女生徒」のやうな作品に出会へることは、時評家の偶然の幸運なのである」★(康成談)

 あんまりにも感動したので、紹介させてください。
 読まなばー、と思いつつ、なんとなくそのままにしていた『女生徒』だったのですが、今回、太宰作・佐内写真のこの本で読むことが出来てほんとに良かった。待った、というか放ったらかした甲斐があった。それくらい、オススメです。
 ともすれば、時代の流れの謗りを免れず、古く感じてしまう文学作品が、こんなに瑞々しく蘇るなんて。蘇るというより、『女生徒』本来の(と詳しくない私が言えた義理ではないですが)魅力が、スルスルと自然に溢れ出したのでせう。
 尾崎翠から猫田道子さんに至る系譜を勝手に考えていたりするのですが、ぢつは太宰もその系譜に入る存在だったのだーっということに気付きました(勝手な考えで申し訳ないですが)。古さ、新しさ、とかそんなチンケな枠組からベロンとはみ出している。私にもし女の子が生まれて、その子が中学生になったら、絶対読んでもらおうと、思っていたりする今日この頃。オススメです。

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