こんな演奏会聴きました
(平成14年)
街角評論家はなるべく愛のある文章をかくつもりですが・・・

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タブラトゥーラ 〜古楽器の新しい世界〜/平成14年7月16日(火)
(電気文化会館ザ・コンサートホール)
タブラトゥーラ
  つのだたかし(ラウタ、ウード、ビウエラ)
  田崎瑞博(フィドル)
  江崎浩司(リコーダー、ショーム)
  近藤郁夫(パーカッション、ダルシマー)


曲目:(※青字はタブラトゥーラのオリジナル曲)
悲しみはつのりて/13Cフランス(Estampie/13c.France) 
タルタリア/タブラトゥーラ(Tartaria/Tablatura)
トゥルバドールの歌(Songs of Troubadaurs)
  陽の光を浴びて雲雀が(Quan vei l’aloete mover/B.de Ventadorm)
  エスタンビー/作者不詳(La tierche estampie Real/Anon)
  カレンダ・マヤ/B.デ ヴァケイラス(Kalenda maya/B.de Vaqueiras)
夜の蟹/タブラトゥーラ(Crabs in the Evening/Tablatura)
ギュレギュレ/タブラトゥーラ(Gule gule/Tablatura)
エル・ソンブレロ/タブラトゥーラ(El Sombrero/Tablatura)

・・・・・(休憩)・・・・・
サンタマリアのカンティガス/13Cスペイン(Cantigas de Santa Maria/13c.Spain)
夕凪/タブラトゥーラ(Evening calm/Tablatura)
トロキルス/タブラトゥーラ(Trochils/Tablatura)
新しい自転車/タブラトゥーラ(New bicycle/Tablatura)

レセルカーダ/16Cスペイン(Recercada/16c.Spain)
チャンバラ/タブラトゥーラ(Chambara/Tablatura)
 以前から生で聴きたいと思っていた「タブラトゥーラ」の演奏をやっと聴くことができました。折しもその日の朝は台風7号が東海から関東へと抜けていき、もしかするとお流れになっていたかもしれないかと思うと・・・本当に演奏会が予定通り開かれてホッとしました。実際、ご本人達が東京から乗ってらした新幹線のダイヤは乱れていたようですものね。

 しかし、しかし、しかし・・・お安いからということでペアチケット(2人で1枚なの!)を購入していた私達。<一緒にご入場してください>との但し書きがあるにもかかわらず、ダンナから仕事でちょっと遅れるとの連絡が携帯に。困ったな〜っと思って係りの方に聞いたら、後からくる人の名前をチケットに書いて入口で預かってくださるとのことでした。こんなにヤキモキするくらいなら次回からはケチらず1人1枚のチケットにしよっと。でも、5分押しで始まったので結局ダンナも間に合ったんですけどね(笑)。 さてさて、聴衆の入りは…7割くらいでしょうか。このジャンルはやっぱり名古屋だと満員にはならないのね・・・それに年齢層がグーーッと高いし・・・予想していたけどとっても残念。もっと若い人、学生さんとかにも沢山聞いて欲しかったな。

 さていよいよステージ下手の扉があいて、WebサイトやCDジャケットで見たことのある4人の男性が跳ねるように登場するや、すぐに聞き慣れた「エスタンピー」(悲しみはつのりて)を演奏。ステージに向かって一番右、霜降り&爆発ヘアーなのがつのださん、その左、ロン毛を後ろで一つに縛っているのが近藤さん、またまたその左、マッシュルーム・カットで髪の毛にピカピカの天使の輪が見えるのが田崎さん、そして一番左で一番若いのが江崎さんでした。1曲目を演奏し終わると、つのださんのお話が始まりました。おまけにめったにないからって「ブラボー!!」と叫ぶ練習までさせられました(^_^;)。 つのださんて喋るの好きなんですね、、、www
 
 まず、彼らの使っている古楽器について紹介しましょう…って、実は後半の演奏開始時に、つのださんが説明してくださったんですけどね。江崎さんはリコーダーショーム(←オーボエの親分のような木管楽器)、田崎さんは形的にはヴァイオリンの先祖かな〜って思われるフィドル(でも正確にいうとヴァイオリンのご先祖ではないとか…?)、近藤さんはいわゆるパーカッション(アフリカのボンゴみたいな太鼓も)とダルシマー(←音色的にはシタールに似てる)、つのださんはウードラウタビウエラ(←形は小型ギターって感じ)。

 1曲ずつ感想を書くのは控えて、全体としての印象を・・・

 演奏曲の3分の2がタブラトゥーラのメンバーが作曲したオリジナル曲でした。中世・ルネサンス時代の曲は音律のせいかメロディのせいなのか、やはりヨーロッパ大陸の艶のある音色がして、その当時のマドリガルやシャンソンに親しんできた私達には懐かしい感じがしました。一方、彼らのオリジナルの曲はリズムからくるのか一種の民族音楽、例えば中近東とかトルコ、アフリカの音楽に近い感じを受けたのです。この特徴が身体の中からわき上がる躍動感、踊り出したくなる気分を引き出すのかもしれませんね。時に、つのださんが弾いているビウエラやラウタがエレキギターや津軽三味線にまで見えてくる(←「チャンバラ」という曲だったかな?)ようなエネルギーも感じました。

また、楽譜というものが彼らの前には全然ありません。まるでアドリブでジャズセッションをやってるような曲もありました。一番盛り上がったのはなんといっても「夜の蟹」でしょう。夜、海から上がってきた蟹たちが酒場を目指して道を横切ります。そして酒場でしこたま酒を飲んだ蟹は あらまあ酔っ払ってしまいましたよ。この時いちばん聴衆を沸かせたのはフィドルの田崎さん。酔っぱらって千鳥足になり、前後左右にヨタリながらの演奏に、会場はヤンヤ!ヤンヤ!の拍手。

江崎さんのリコーダーも凄かったですね〜 「ギュレギュレ」ではちっこいリコーダーの穴をおさえる指の速さに、見ている私の口はアングリ。。。指同士があたらないかと心配したり・・・なわけないか^_^ゞポリポリ… それに、4人で一緒に演奏すると一番聞こえてくるのが、江崎さんのショームの音色なんですよね。やっぱり弦楽器系の古楽器は音のヴォリュームが小さいんですね。1台ずつ演奏するとフィドルなんかはとっても艶っぽくて澄んだ音色なんですけどね。

そそ、こうやって思い出してみると、私って真ん中のパーカッションの近藤さんにいつも視線が行ってしまってたような気がするのです。やっぱりパーカッションって格好いいっすよね♪♪ 大好きなダルシマーを弾いて下さった時なんか、もう私の瞳には★が輝いているくらいウットリとダルシマーの弦を叩く近藤さんの優雅な手元を見てたような気が・・・ダルシマー・・・いつか自分でも弾いてみたい雅な音色です。血が騒ぐ?(笑)

今回残念だったのは、つのださんのウードやラウタのシットリ系の曲が聴けなかったことかな。それとCDでは数曲、波多野さんの歌声が入っているのですが、やっぱり楽器の音色だけじゃなくて、人の声も聞けたらもっと変化に富んだ演奏会になっただろうな〜って欲張りな私は思ってしまいました。勿論、会場もこんな座席のしっかりした音楽ホールではなくて、自由な空間だったならば聴衆も踊り出したのではないかと思います。