第五章 長期休暇中の賄氏

賄氏は不真面目な大学生以上の休みかたをしていた。
しかし、ゴールデンウィークや盆休み、年末年始などの長期休暇の前になると少しだけ出勤し、長期休暇に突入、そしてお約束のように長期休暇明けからまた「病欠」していた。

長期休暇中はだいたい親友の部屋にいりびたりで、TVを見たり、ゲームをしたりの実に不健康な日々を過ごしていた。そしてお金が無いがゆえに、昼食や夕食はカップラーメンが主体だった。私はこの食生活ばかりはこの2人には全くついていけなかった。

ところで賄氏はアニメ声優マニアなのだが、長期期間中にTVでアニメや外国映画で日本語に吹き替えているものを見ていると突然「あっ・・ この声は △△△△ の声だ!」と自分の声優に関する知識を自慢するかの 如くつぶやくことがしょっちゅうあった。こんな事を言われても一般人にとっては返事に困るものである。

そして長かった長期休暇(賄氏にとっては、山ほどある休みのほんの一部でしかないだろう)も最終日となると必ずと言っていいほど賄氏はこう言うのである。「あ〜 休みも今日で終わりか〜 明日から会社か〜 嫌だな〜」休みが終わるのは誰だって嫌なのに、わざわざ口に出して、他の人まで嫌な気分にするだけでも腹立たしいのに、上記の通り賄氏は自分だけしっかり連休を続けるのである。「明日から会社か〜」と言っておきながら。

上記の2つの発言は長期休暇の恒例の発言でこれらを聞くたびに「またか・・・」とおもいつつ、私は本人には何もつっこまずに ただ、ニヤニヤして聞いているだけであった。(まさに陰口大王)

戻る   目次へ   次へ