海賊版資料
「狂気のONE PIECE全話解説」

元々、このサイトの資料ではない資料です。
ですのでこの資料については無断転載、複製禁止です。

狂気のONE PIECE全話解説
 ・以下の文章は 某所 での29条3項様の解説をほぼ原文で掲載させて頂いております。
 29条3項様には改めて御礼申し上げます。
巻五 「”誰がために鐘は鳴る”」

第36話 「”追え!”」

   少し前から始まっている「短期集中表紙連載」。
   このころはただのバギー一味の「その後」を描いているだけであったが、だんだん話が進行していき、
  ついには本編と繋がって行くからすごい。このアイデアは大成功であった。

   本編の中にサイドストーリーを混ぜると、話の焦点がボケるし、主役が出ない話を長々と書くわけにもいかない。
   しかしこの方法なら脇役キャラのストーリーをじっくり描ける。しかも、別の話を同時進行で進めることで、話に厚みが出る。
   ルフィたちがメインの冒険を繰り広げている間に、同じ世界で、別のキャラクター達はちゃんと生きて、
  活動していることを示すことにより、その世界のリアリティが増すわけだ。

   また、こうやって、本来ならただ切り捨てられて終ったであろうキャラクター達に復活の機会を与えることも出来るわけである。
   作品世界のキャラクター達は、みんな生きている。そして思い思いに動いているのである。


第37話 「海賊”百計のクロ”」

   この回のポイントは、クロの過去回想シーンだろう。
   ストーリー自体はいい出来だが、それにもまして凄いのは、昔のモーガンを出演させておきながら、
  (たしかに同じ顔に描いてはいるが、あの特徴的アゴがないので分かりづらい)それを一言も説明せず、
  気づいた奴だけ気づけ、というスタンスを取っているところである。
   これにより、「ちゃんと読まないと、ワンピースはあちこちにいろんなポイントを隠してますよー」と思わせるわけである。
  (そして、事実そうなのである。)

   ここでこいつが「俺は海軍でも名を馳せたモーガンだぜ、命乞いはしねえ」などと吐いていたら、どうだろう。
   あっという間に「ご都合主義」の匂いがプンプンし始めるわけだ。それどころかバギーとシャンクスの関係のところで言った、
  安易な既存キャラ同士のドラマにより話に狭さを感じさせることになるところである。
   このスタンスは、本作に見事なまでに奥深さを与え、大人達をも虜に出来た一番の要因ではなかろうか。

   さて、本編の話に戻るが、最後にルフィが「野望(けいかく)のでかさなら俺の方が上だ」というわけだが、
  この当て字はどういうわけだろう?「やぼう」でなく「けいかく」と読ませるのは、クロの「俺の計画」というのと合わせているのだろうが、
  どうもルフィと計画、という言葉がピンと来ない。
   ルフィなら「夢」「野望」の方があうはずだ。クロのセリフの方をうまく「野望」に変えた方が良かったのでは?

   「俺の計画は失敗しない!」というセリフを「俺の野望のために死んでもらう!」とか…こうなるとクロの冷酷さより、
  器の小ささが強調され過ぎてしまうので、微妙なところだが。


第38話 「”海賊団”」

   クロも悪いキャラではないのだが(キャラの立ち方という意味で)、さすがに一つの村での平穏を求めて
  かつての味方を殺しまくる、というのでは器が小さすぎる
   そのせいで「灼死」の脅威もイマイチ脅威として感じられなくなってしまっているきらいがある。「絶対悪」というより「小者」である。

   ワンピースには今のところ(298話現在)、強力な絶対悪キャラが登場しない。どこか抜けてるか、小者っぷりをさらしている。
   「るろうに剣心」の志々雄真実のようなルフィの最大ライバルなんてのも、出てきたら結構面白いのではないだろうか。


第39話 「”誰がために鐘は鳴る”」

   クロとの決着。そしてジャンゴとの決着。その両方を同時並行し、最後のトドメを同時に並べて決めるという演出をしているが、
  はっきり言って、失敗に見える。

   折角片方の戦いが盛りあがってきたところで場面転換が入り、盛り上がりに水を差している。
   ウソップが「くらえ催眠術士!」と決めにかかったところで突然クロが「離れろ貴様!」では、勢いが途切れてしまう。

   そしてクロの最後の叫びのあとにウソップの火薬星が炸裂するのだが、間があいたおかげでカタルシスが半減してしまっている。

   大胆な実験だったのだろうが、残念ながら成功とは言えないだろう。
   漫画では、緊張感を保ちつつ、2つの話を完全同時進行するのは、そのメディアとしての性質上、難しいのかも知れない。


第40話 「”ウソップ海賊団”」

   キャプテンクロ編の最後。まとめの話である。いつもどおりの平和な村の一日が始まる、という状況の描写がうまい。
   2ぺーじ9コマ9場面で、十分すぎるほど平和な一日を見せている。

   ところでメリーは、傷、浅過ぎるように思えるのだが。クロの計算はすでに第一段階で思い切り失敗していたことになってしまう。
   もう少し重傷ぽくしても言いように思える。

   それに全てをウソにするにしても、ジャンゴを気絶させただけで放置し、そのままカヤとウソップらだけを残して
  どっかいっちゃうゾロもちょっとやりすぎな気がする。
   ジャンゴが気が付いたらどうするんだろうか?その横で呑気に話してられるウソップ達もちょっと気を抜き過ぎでは?

   ちょっと、最後の詰めで描写に手を抜いたっぽい感じはする。


第41話 「”海へ”」

   ウソップ仲間入り、そして出航である。ウソップの過去の話の回想が入るが、相変わらず作りが上手い。
   ウソップのウソつき行動に理由づけする。前述した行動の理由づけである。
   最初のマイナスイメージだった「ウソついて村人を騒がせていた」事実の正当化が済んで、
  綺麗にすべてを消化して、すっきりとしたイメージでルフィの仲間とする。基本を怠らない描写がよい。

   また、ここでウソップが母を勇気づけるためにどんな病気も直す伝説の薬の話をするが、
  これも後のトニートニー・チョッパーの話でキーワードとなる「万能薬」のことであり、密かに小さな伏線になっているところも憎い。

   また、やはりウソップのする話には元ネタがちゃんと存在し、ウソップの全くの作り話ではないということで、
  前述の演出方針が一貫されているわけだ。
  (しかし、この演出は15巻以降になって、結果的に行われるわけで、それまでは全く分からない。
  先に進んでからまた戻って読まないといけない、この奥深さが絶妙である)

   しかし、ゴーイングメリー号は、さすがにメリーの趣味になりすぎだと思うのだが。
   船首はともかく、あの旗はまるでカヤの家のものというより、メリーの私物である。
   執事のトップはクラハドールだったはずだし、いくらなんでもやりすぎではなかろうか(笑)?

   ジャンゴの攻撃で傷と血が付いた服を、いつの間にか新しいのと取り換えているナミ。この辺の演出もなかなかである。
   全てに理由づけがあってそれをやたらとアピールしない。


第42話 「”ヨサクとジョニー”」

   ヨサクとジョニーの登場である。コンビなのにツッコミがおらずダブルボケという素晴らしいユニットである。
   とくにジョニーのデザインは面白い。ほっぺたに巨大な「海」の字。このセンスがたまらない。
   この「海」がなければただのグラサン兄ちゃんなのだが、ワンポイントで、かなり強烈な印象を残している。

   しかし、右に刀を差してるなら、左利きじゃなきゃおかしいと思うのだが。腕時計も「主に」右についてるし…(たまに左に移る)
  このへん、尾田氏にしてはけっこういい加減である。アシスタントがミスったのだろうか?


第43話 「”サンジ登場”」

   サンジ登場である。実は最終的にルフィの仲間になるキャラクターが初登場する回は、「○○登場」というサブタイトルになる法則がある。
  (第3話「”海賊狩りのゾロ”登場」第8話「”ナミ登場”」第23話「キャプテン・ウソップ登場」)
   逆に一時期一緒でも、結局仲間にならないキャラは、こういうサブタイトルがつかない。(「コビー登場」「ヨサクとジョニー登場」はない)

   このへんの隠れた仕掛けを探すのも「ONE PIECE」の楽しみである。
   そして仲間がらみのサブタイトルにはもう一つあるのだが、それは後述することにしよう。

   さて、サンジ・フルボディ・ゼフ、と、多くの新キャラが登場するのだが、
  ただの黒スーツとタバコだけのサンジや、鉄拳以外はただのごついオッサンのフルボディの方が、
  巨大帽子・編み込みのロングヒゲ・コックの格好にさらに片足、というゼフよりもキャラが印象的になっている。
   いろいろ面白い衣装を着せたからといって良いキャラとなるとはかぎらない。キャラデザインの難しい所であろう。


第44話 「”三人のコック”」

   ゼフがちょっとはじけて見せるのだが、パティの凄いキャラクターで霞んでしまう。「いらっしゃいませイカ野郎」には参った。
   またパティのいるトイレのドアが湾曲しているのも、前述したカヤの部屋の枠のゆがみみたいに画面の一点強調と迫力を出している。

   サンジとパティとゼフの三人のコックが揃いも揃って大暴れするわけだが、
  なんとなく尾田氏は真剣な戦闘よりもこういうドタバタの方がうまいように思える。
   戦闘でもクロとかクリークとかアーロンとのマジ戦闘よりも、バギーやバロックワークス達のドタバタ色の強い戦闘の方が
  キャラが生き生きとしていて、ONEPIECEらしさが出て面白いのである。


巻四へ戻る

巻六へ進む

戻る