海賊版資料
「狂気のONE PIECE全話解説」

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狂気のONE PIECE全話解説
 ・以下の文章は 某所 での29条3項様の解説をほぼ原文で掲載させて頂いております。
 29条3項様には改めて御礼申し上げます。
巻十五「”まっすぐ!!!”」

第127話 「”電伝虫”」

   「むくっ」と起き上がるドリーのコマの演出がなんとも印象的な回。
   というのも、そのコマの下の方のキャラクターたちの目が異常に飛び出ているこの演出が
  それまでのパターンにないものであったからである。

   ワンピースでは「大きく開かれた口」「鼻水」はどんな美形キャラにも使われていて、うまく「崩し」として効いている。
   しかしこの「目玉飛び出し」は、カルーやウソップはともかく、ゾロやビビに使うと「崩し過ぎ」になってしまう。強力すぎるのだ。

   キャラクターごと、作品ごとに使える演出や表現には一定の限界がある。
   それは以前書いた「表現の一貫性」にも繋がってくる。この辺のバランスが難しいのである。
   このコマだけはちょっと踏み外したかな、という印象である。

   ストーリーとしてはクロコダイルの登場&能力の一部描写など、読者の気分を盛りあげる描写が件実になされていて素晴らしい。
   また、例によって「いきあたりばったり」ではない点も好感が持てる

   クロコダイルの能力描写は彼の能力をそのまま表現しているし(バギーの時は説明が難しかった…)、
  クロコダイルのいる部屋は、そのまま後に第170話前後で出て来る部屋そのものである。


第128話 「”海賊旗(ほこり)”」

   いつも思うが、尾田先生のイラストは、センスが良過ぎる。この回の見開き表紙も、例にもれず出来がよい。
   個性ゆたかな動物(この回は動物と言えるのか微妙だが…)が出てきて画面を彩るのもそうだが、

   秀逸なのは各キャラクターが着ている服装である。ファッション誌から持って来ているのかも知れないが、セレクションが見事である。
   また、この回の表紙の竜がかぶっている帽子(?)に到っては、この世に存在するものではないわけだから、
  自分でデザインしているのであろうが、恐れ入るばかりである。

   本編の方でもサンジが上半身さらけ出しのナミにさりげなく自分のスーツの上着を着せていたり
  (渡しているシーンは書いてないところがまた、何気ないサンジの気遣いを演出する結果になり、よい)
  細やかな演出が効いていて、素晴らしい。


第129話 「”まっすぐ!!!”」

  <キン肉マンより 天上兄弟ゲンカの伝説(記憶違いはご容赦)>

  昔、超人界を収めていた二人の神、「金のマスク」と「銀のマスク」がいた。

  二人は対象的な性格(金は攻撃的・銀は守備的)ながらも、その強さと優しさで、世界は平和に保たれていた。

  だが、そんなある日、一人の子供が二人の前に現れこう言った。

  「金のマスクと銀のマスク、二人ともとっても強いけど、実際戦ったらどっちが強いの?

  「!」

  金のマスク「そうだな、銀のマスクも強いが、防御だけではな…やはり攻撃こそ最大の防御だ」

  銀のマスク「お言葉ですが兄さん、その考えは乱暴すぎます。守りぬきの攻撃などあり得ません」

  金のマスク「なにー!?貴様、兄に逆らう気か!よーし、こうなったらどっちが強いか勝負してハッキリさせようではないか!」

  そして、二人の戦いが始まり、なかなか決着がつかぬまま、世界はどんどん荒れて行ったのです…

  …尾田先生、……あからさまなパクリは、ダメ、ダメ!


第130話 「”最高速度”」

   再び渋い演出が光る回
   ナミの部屋の絨毯の上ではみんな靴を脱いでいたり、病人のナミの側ではサンジはタバコをくわえてはいるものの火はつけておらず、
  ナミを案じるサンジの細やかな心がまた一つ表現されている。(実際、部屋の外では火をつけている)

   一方、ワンピ鬼門の「数字ジンクス」もまた一つ増えている。

   …軍の半分が反乱軍に寝返ったら、いくらなんでももう勝負ありだと思う。


第131話 「”ブリキのワポル”」

   前半の静かな情景と、後半の戦闘シーンとの描き分けが基本に忠実である。
   前半戦は全体的に白っぽい画面構成で、効果線も殆どない。
   また、チェスとルフィらが睨み合うシーンなど、殆ど同じ構成のコマ割り・絵のアングルで時間の流れのなさを演出しており、
  そのあとの潜水艦出撃とのギャップが映える。

   また、画面いっぱいに雪が描きこまれ、雪特有の、静かな中にある動きの要素を表現していて面白い。
   何故か雪を払ってないゾロの姿も、一本気(望遠鏡で周囲を監視するのに夢中)な彼の性格を反映していて、唸らせる演出である。


第132話 「”ね”」

   春島とか夏島とかはともかくとして、16段階の季節を克服しなければならないというのが、意味が分からない。
   
一つの島に一年いるわけじゃないし、最低16段階体験するとはかぎらないと思うが…

   さて、この回もまた、尾田先生のこまかな演出や気配りが光る回である。
   室内禁煙・室外喫煙のサンジや、なにげない日常風景の中に何気ないドラマを端の方で差し挟む演出。
   (釘で失敗して手を打つウソップと、それに反応しているカルーなど)

   また、着ているコートが6人ともデザインがかなり違い、さらにそれぞれ着こなし方に差がついている。
   ルフィはどことなく体に合ってない(着こなせてない)一方、サンジやウソップは体にフィットした感じがする。
   それでいてサンジとウソップの間でもサンジだけ「59」ブランドがついた上、マフラーつきであり、
  サンジのファッションへの気遣いが表現されている。
   またサンジに黒、ゾロに白を着せることでまたここでも二人のイメージを対比しているのが印象的。

   何気にゾロも「DKP」とかブランドついてるのがまたポイント。
   3本ピアスといい、単なる剣術バカと見せかけて、キラリと光るファッションセンスを持っているのが、ゾロに別の魅力を与えている。

   それから、サンジらに「遅ぇよ!」ではなく「いや遅ぇよ!」と突っ込ませる、この微妙な間の違いを使いこなしているところも
  着目すべきだろう。ギャグの命はテンポと間である事を、しっかり把握している証左といえる。
   一方アニメ版ではこの"間"がうまく押さえられておらず、外しているので勿体無い。

   最後に一つ。ルフィは寒いのになかなか気づかなかったが、(バラティエで鍋を洗おうとしたときも、熱がるのがワンテンポ遅かった)
  ゴムの熱伝導率って、低いんでしたっけ?だから熱さ寒さがなかなかわからない、ということだったら、さらに奥深い描写なのだが。

 

   ▼補足

   YUMIさんの情報提供により、ゴムの熱伝導率はかなり低いことが判明しました。
   ただルフィが鈍いだけにみえたこのシーンですが、実はゴムゴムの実のせいだったわけですね。うむ、深い。


第133話 「”名もなき国の冒険”」

   これまで「サンジがナミの前だとタバコは加えているだけで、火をつけていない」と説明して来たが、
  この回ではなんと火をつけてしまっている。これはどういう風に考えるべきであろうか。
   作者のミスだろうか。それとも最初から尾田先生は別になにも考えておらず、
  たまたま今までナミの前では煙を描き忘れていただけなのだろうか。それとも、なにか別の意味があるのだろうか。

   単なるミスの可能性はあるが、私はむしろワザと煙を描くことで
 「とりあえず安全な所まで連れて来たことによって、サンジの気が緩んで、うっかり火をつけてしまっている」と解釈したい。
   2番目の「何も考えてなかった」の可能性は、ここまでしっかり描いている以上あり得ないことであるし。

   また、この回で初めて「黒ひげ」の設定が明かされる。
   一つのシリーズが終わってしまうずっと前に次の話の伏線を張っておく。ワンピお得意の構成の妙である。


第134話 「”Drくれは”」

   Drくれは登場の回である。少年漫画に老婆キャラと言うのはなかなか珍しく、しかも「ファンキーな老婆」というのは相当珍しいので、
  面白いキャラクターに仕上がっている。
   またたった一つのセリフ(「若さの秘訣かい?」)だけでそのキャラクターを十二分にわからせる
   この辺のテクニックも、やはり尾田先生の只者ではないところだろう。


第135話 「ラパーン」

   「ぴ゚よーん!」という効果音が素晴らしい、に尽きる回。

   「ラパーン」というネーミングセンスが「ラブーン」とモロ被っている気もするが、まぁ、愛嬌というところか


第136話 「ドルトンという男」

   ドルトンの、「ウシウシの実」の能力判明により”動物(ゾオン)系”の設定が登場する回。

   しかし、考えて見るとこの
  ドルトンのストーリー上の役割を考えるに、わざわざ悪魔の実の能力者として設定する必要があったのかは疑問が残る

   グランドラインの悪魔の実インフレ状態の演出のためと言えないこともないが、
  その分悪魔の実の能力者一人一人の希少性・インパクトが薄れることを考えれば、あまり望ましいとは思えない.。

   結局一瞬でやられてしまい、ほとんど噛ませ犬的キャラで終わってしまう。
   ストーリーの盛りあがりにメリハリをつけるためには、こんなところで「悪魔の実演出」を消費する必要はないのである…。
   ドルトンのみに注目するとすれば。

   しかし、このあとの展開を考えると、ここで
  ドルトンはどうしても悪魔の実、それも「動物(ゾオン)」系の能力者でなければならなかったのである。
   何故か。それは、後にチョッパーが控えているからである。

   言うまでもなくチョッパーはゾオン系「ヒトヒトの実」の能力者である。しかも7段変形というオマケまでついているキャラクターである。
   もし、ドルトンが普通の人間という設定で、いきなりチョッパーが出て来たらどうだろうか?

   そうなると、チョッパー登場の際には、まず「動物(ゾオン)系」の設定、「ヒトヒトの実」の設定、
  さらに原則として「動物(ゾオン)系」は3段変形だが、チョッパーだけは7段変形である、ということまでいっぺんに説明しなくてはならない。
   これでは一つ一つの要素が当然なのか特別なのかも実感できず、チョッパーのインパクトが薄れてしまう。

   それ故、ここでドルトンを「動物(ゾオン)系」の「原則」形態として見せる意味があるのである。
   これによって読者の頭には「動物(ゾオン)系」が前提知識として刷り込まれる。
   そうするとチョッパーの各設定が自然に「例外」として受け入れられるわけである。

   ストーリーの中の、大した理由もなくノリで作っているかに見える部分も、実はちゃんと計算されているのである。


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