海賊版資料
「狂気のONE PIECE全話解説」

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狂気のONE PIECE全話解説
 ・以下の文章は 某所 での29条3項様の解説をほぼ原文で掲載させて頂いております。
 29条3項様には改めて御礼申し上げます。
巻十四「”本能”」

第118話 「”誰かいる”」

   ワンピの魅力の一つとして、動きの表現描写のうまさがある。そして特に面白いのは主役であるルフィの「ゴムゴム」の能力である。
   この能力をフルに生かした紙面上の縦横無尽な動きが、見るものを楽しませてくれる。
   ただ強さだけを見せるのは、幾多の漫画でやり尽くされているわけだが、ルフィの「伸びる」動きは、かなり新鮮なものである

   しかし、アイデアが新鮮でも、動きの絵が新鮮に描けなければ意味がない。
   その点、尾田氏は見事に「ゴムゴム」の魅力を引き出している。
   ただ「伸びる」「反動で縮もうとする」だけでない、細かな動きまでをフォローしているのだ。一番の例がこの回にある。

   P11・3コマ目、ドリーの振り降ろした剣を「わわっ!」とルフィがかわすシーン。
   ここでルフィの動きを良く見て欲しいのだが、体を支えているヤシの木のポイントに向かって、真っ直ぐには飛んでいない。
   上方向にブレているのだ

   「ブレ」の動きはそれ自体も絵として面白いし、それがある故にまた真っすぐ飛んでいくルフィの動きにも快感を生む
  (例・P12のゴムゴムのロケット)。
   つまりこの「ブレ」こそが、ルフィのゴムゴムを単なる伸び縮みでない個性的な動きとして見せる重要な要素なのである

   そしてまたそのブレを、下手に効果線を使ったりせず見せることで、読者の想像力を刺激して逆にリアルに映しているのである
  (P11のルフィには縦方向の効果線が入っていない)。見事としか言い様がない。


第119話 「”姑息”」

   「姑息な大犯罪」をかますMr3。いつもながら見事な悪役描写である。
   ワンピを読んでいく上での快感は、ルフィたちが悪役をぶっ飛ばすことで溜飲を下げるところにあるが、
  そのためには「ぶっとばしたい」悪役の描写が不可欠である。
   そして尾田氏はこの「ぶっとばしたい」悪役の描写が徹底しているのだ。

   バギーなどは愛嬌があるのでちょっと違うが、クロやアーロン、ネズミ、Mr3などはそれぞれ自分の利益のためだけに他人を傷つけ、
  それに全く躊躇していない。ひたすら悪行ばかりを積み重ねていき、いい部分を全く見せないのである。

   このように徹底することによってその後「ぶっとばす」時のカタルシスを倍増させる。これは簡単なようで実は難しい
   作者は自分で作ったキャラクターにどこか愛着を持ってしまうのが普通であり、なんらかのいい側面を書きたくなるのが人情であるからだ
   徹底的に嫌われるキャラを書くというのも、実はストレスがたまるもので、ミホークやスモーカーのように、単なる悪でなく、
  自分なりの信念や生き方などを持っているが立場上敵に回っている、いわゆる「敵(かたき)役」の方が書きやすい。

   その点、ワンピでは悪役は徹底的に悪役であり、それが故に「敵役」もまた光る、という効果を得ている。
   基本的なことだが、それをきちんと踏まえていることが、ワンピをまた一段と輝かせる要素となっているのである。


第120話 「”赤鬼が泣いた”」

   この回の見所は最初の4ページ、ドリーブロギーの決着がつく所であろう。
   いつも多用している巨大な効果音文字を極力排除して、静かだが力強い画面を作っている。

   また、コマ割りをナナメにして画面に安定感を"出さない"演出も効いている。
   これによって画面は静かなのに緊張感が出る効果が得られる。
   ブロギーやドリーの顔の角度、血しぶきなども同様に斜めに構成されている。

   で、攻撃が決まってドリーが崩れ落ちる所ではコマ割・構成を普通の垂直ベースに戻し、静かにテンションを落として行く。
   一瞬ドリーの目線になる(P51・4コマ目)演出も憎いところ。


第121話 「”わかっていた”」

   Mr3は、メガネキャラである。Mr5はサングラスキャラである。

   メガネキャラは他に、フーシャ村村長・コビー・プードル・クラハドール・たしぎ・クロッカス・くいなの父、
   サングラスキャラは、ラッキールゥ・ジャンゴ・ジョニー・ココヤシ村の医者・Mr13・ミスフライデー、
  この時点では未出だが、Drくれは・ミスメリークリスマス・コーザもいる。

   メガネキャラ・サングラスキャラそれ自体はどんな漫画にでも登場する、ごく当り前なのだが、
  ワンピの凄い所はそれらほぼ全員がみんな違うメガネ・サングラスをかけていることである

   プードル・クラハドール・クロッカス・くいな父の4人は、そっくりの縁なしメガネだが、
  それ以外は誰一人同じデザインのメガネ・サングラスは掛けていない。ここに尾田氏のデザインへのこだわりが見える。
   そしてこの差別化によりキャラクターの個性の区別が強まり、またキャラデザインのバリエーションが広がっているのである

   ワンピの長所の一つに「キャラの見分けがつかない」現象が皆無である点が挙げられる。
   その一助として、このような小道具に至るまでのデザインのこだわりが働いていることは間違いないだろう。


第122話 「”死人は役に立たぬ”」

   ゾロたちが決死の覚悟を決めたすぐ後にルフィたちが飛んでくるのだが、
  はてさて、ルフィたちはどうやって巨大家と地中から抜け出して来たんだろうか?
   ストーリーの勢いが上回っているため下手をするとその疑問点に気づかないところだが、全く説明がないのは理解しがたい。

   演出上は「大爆発で脱出し、その勢いで吹っ飛んで来た」という感じだが…さすがにもう少しちゃんとした説明が欲しいような気がする。

   今更ながらルフィが突っ込んでるのでMr3のキャラデザインについても言及しておくと、
  こういうダサキャラデザインをも包容し、面白く感じさせるだけの世界とそのギリギリのデザインセンスはやはり秀逸と言えるだろう。


第123話 「”ルフィ VS Mr.3”」

   Mr3たちとのギャグ・シリアス半々な戦闘が始まる。
   ワンピの魅力はキャラクターたちのコミカルなやり取りも大きな比重を占めるため、
  下手をすれば一番盛りあがるはずのボス級との戦いよりも面白いかも知れない。

   ワンピではマジ戦闘とギャグ戦闘の両方が存在するわけだが、
  こういうギャグ戦闘を見せることによって、逆に完全マジ戦闘も対比で光り輝く。
   もちろん尾田氏のそれぞれの描写力が魅力ではあるが、ワンピの本当の魅力は、
  むしろ
そのどちらをも取りこむ、包容力溢れる世界観にあるのではないだろうか


第124話 「”お茶がうめェ”」

   表紙のメガネサンジが意外にハマっている。
   あとでアラバスタで「Mrプリンス」やってた時にメガネかけさせたのはこの時の流れか?

   さて、内容的にはミスゴールデンウィークの活躍の回である。
   巻13で説明したミスオールサンデーと並び、新系統の女性キャラデザインである。
   不二屋のペコちゃんがモデルであることは一目瞭然なのだが、色々なキャラが居た方が面白くなるのは前述通りなので、
  これからも色々な女性キャラを期待したい。

   またデザインもそうだが、能力や性格もマッチしておりキャラとしても良い味を出しているので大成功と言えるだろう。


第125話 「”キャンドルチャンピオン”」

   Mr3の頭の炎でキャンドルサービス&チャンピオンを溶かし、ゾロ・ナミたちが助けられる。
   だが、落ちついて考えて見ると、なぜキャンドルチャンピオンの唯一の弱点とも言える火を、
  ワザワザMr3は頭に点灯していたのだろうか?疑問である。
   ストーリー上のご都合主義とも取れるが、折角なので擁護しておこう。

   もちろんこの炎はドルドルの能力=ロウソクを連想させるためのアクセントであることは言うまでもないのだが、
  キャンドルチャンピオン形態のMr3の姿を、ちょっとよく見て欲しい。
   この状態で頭の炎がないとどうなるるだろうか?
   答えは一つ。絵的に寂しくなってしまうのだ。そして、アクセントを失った頭部は目立たず、相対的に巨大な胴体が目立ち始める。

   もし、キャンドルチャンピオンによって貧弱だったMr3が強力になったのを強調したいなら、
  ゴツゴツした胴体を目立たせるために炎がない方が良いのだが、この展開はむしろアホさ強調(=もともとのMr3のキャラ強調)なので、
  頭部に視線を集めるべく、この炎が必要だったのである。

   ストーリー展開、演出、そしてロウソクをイメージさせるためのキャラデザイン。その全てのためにこの炎は必要不可欠だったのだ。
   
そして、それに伴ってしまう「ご都合主義」は、それに気づかせないストーリーの勢いでカバーすることに成功している。
   そして、その勢いはまさにこの炎による一貫した演出により、生み出されたものと言えるのである。


第126話 「”本能”」

   ワンピースは少年誌である。故にか、ある程度の荒唐無稽には目を瞑らなければならない。
   そして本作(作者?)で特に危険なのは「数字」である。
   作中で、数字を出して「凄さ」を表現している場面で、物理法則や真実味に欠けることが多々あり、この回はその一つと言える。

   ミス・バレンタインは体重を自在に操る。その範囲はなんと1kgから1万kgまで。
   そしてその特性を利用した、1万キロプレス、クレッシェンドストーン、といった技を駆使する。これらに、特にウソップは苦しめられていた。

   しかし、はっきり言ってこれらの描写はあり得ない。1万キロでプレスされれば地面にメリ込むより前に圧死である。
   クレッシェンドストーンにしたって、1点に500キロもの重量を掛けられれば、少なくとも肋骨骨折し、内蔵に突き刺さってあたり前である。

   さらに、1万キロギロチンをくらわそうとした所をビビとナミにフッ飛ばされるバレンタインだが、
  1万キロ=10t もの物体を弾き飛ばすのは、並大抵の力ではない。
   私も物理に詳しくはないが、この二人では不可能なはず。(もちろんルフィやゾロ・サンジでも)

   サンジとゼフの85日サバイバルとか、巻20の話になるが4tバットで頭をカチ割られて生きているウソップとか、
  どうも凄さを表そうとして数字を出して失敗している感が否めないのである。

   ふと思ったが、もしかしてバレンタインは1キロから200キロぐらいまでしかコントロール出来ないのでは?
  (ただ、ハッタリで10000キロと言っているだけ)だとしたら、肯けないこともないのだが。

   あと、「焼鬼斬り」ネーミングセンスはスバラし過ぎ。(あらゆる意味で)。
  もしかして、これがやりたかったが故のこの展開なのか?と邪推してしまった(笑)。


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