海賊版資料
「狂気のONE PIECE全話解説」

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狂気のONE PIECE全話解説
 ・以下の文章は 某所 での29条3項様の解説をほぼ原文で掲載させて頂いております。
 29条3項様には改めて御礼申し上げます。
巻十「”OK,Let's STAND UP!”」

Episode 82 「”OK, Let's STAND UP !”」

   何故か突然エピソード名が英語だが、これはノリだろう。
  前話から続いて、作者のテンションがグランドライン前では最大になっている故と予想出来る。

   「俺になんの用だ」ページをめくって→フッ飛ばし、「おれがブッ飛ばしてぇのは」→「お前だよっ!」 のような、
  何度も紹介している引き画面からアップ画面の転換による迫力演出や、
  ヨサクやジョニーにまでカッコよく決め台詞を吐かせるほどのハイテンション描写。
    そして見開きでのゴムゴムの風車など、作者の気合を感じさせる回である


第83話 「”ルフィ IN BLACK”」

   これは…「MEN IN BLACK」のオマージュ?私は「MIB」見たことないんでわからないのだが、似たようなシーンがあるのかな?
   ただタコスミをルフィが浴びたと言う事だけなのだろうか?

   さて、この回でまずウソップ&チュウを切り離し。ルフィを最後に持って来るための切り離し。
   ウソップは戦闘になってもずっとウソップとしてのキャラを徹底していて、またギャグを入れやすいために
  場面を和らげる名キャラクターであるが、この回もその本領発揮である。

   ただ、逆に言えばそれ以外にこの回に見るところはないともいえるのだが…


第84話 「”ゾンビ”」

   題名のゾンビって…死んでると見せかけて蘇ってくる、ゾロ&サンジのことか?

   内容としては、なんともイマイチ中途半端な回である。
   実は作者の興味は「助けて…」「当り前だ!」のシーンで最高潮に達し、
  ここから先の戦闘シーンは、むしろ消化試合なのではないかと思わせるような様相を呈して来る…


第85話 「”三刀流対六刀流”」

   比較的テンションも高く、ゾロ対はっちゃん戦に集中して見せてくれる。

   またのちのサンジ戦と比べて欲しいのだが、ゾロ戦の面白いところは、テンションと勢いを持続しつつも
 「技のぶつかりあい」→「一息入れる」→「また技のぶつかりあい」のように、メリハリが効いている
   ずっと同じテンション/同じペースが続かないために、読者の側もその度(お互いの技が炸裂するたび)に、
  手に汗握って盛り上がることが出来るようになっている。

   さらに、この題名にもなっている「三刀流 対 六刀流」と言うのは、まさに2人の剣士としての特徴を端的に現しており、
  2倍の刀を持つ相手に勝てる、ということでゾロの強さを非常に分かりやすくしている。

   それに加えて、はっちゃんのキャラクターの魅力がある。敵とはいえ、彼はかなり愛嬌のあるキャラクターであり
  (のちに表紙連載に使われたのを見ると作者も気にいっている?)、その分戦闘自体が面白くなって来る。


第86話 「”騎士道VS魚人空手”」

   見ているとこっちまでが息が苦しくなって来そうなほどリアルに描かれた水中戦。サンジの表情・演技がそれに拍車をかけている。
   上段爆掌や、「べこっ」とえぐれる腹なども痛々しく、尾田先生の描写力の真骨頂であり、その点では非常にレベルの高い回といえる。

   ただ、戦いの盛り上がりと言う点で言うと、前半クロオビ一方的攻撃、後半サンジ一方的攻撃、という構造なので、
  なんどもメリハリをつけて技の応酬をしていたゾロ戦よりも盛り上がりに欠ける。

   さらに題名の「騎士道VS魚人空手」が全然対になる言葉じゃない上に、「騎士道」はここに来て突然サンジにつけられたものであり、
  読者に対して定着できたとは言えない(現にこの言葉はこの後全く登場しない)。

   それに加えて、クロオビのキャラクターの地味さがある。ただひたすらムスッとしていて、愛嬌がない。
   また過去の回想シーンでは空手でなくサーベルを使っていたため「空手使い」としての一貫性もなく、キャラがわかりにくい。
   その分戦闘そのものの魅力はなくなってしまっている。
  (ただ、サンジが最後にコテンパンにすることによるカタルシスは増大しているかも知れないのでこの点に関してはプラマイゼロか。)

第87話 「”終わったんだ!”」

   この回のウソップの戦いは、チュウとの戦いと言うよりは自分との戦いという面が強い。
   力が弱くて小賢しく逃げ回るくらいしか出来ない自分を恥じ、成長するために怯えながらも一歩踏み出す姿は、
  ある一定年齢を越えた人間(人生において障害に立ち向かって行くことの難しさを肌身に感じて知っている人間)に
  むしろ響くのかも知れない。

   ゾロやルフィ、サンジのように目標を持って、それに向かって行く力も持っている人間には迷いがなく、清々しい。
   それは人を魅力的に映す。
   一方ウソップのような生き方は一見カッコよくはない。だが、翻って考えて見ると、
  目標に対して躊躇する必要もないほど力を持っている(小さい頃から鍛えて来た)人間など、一体どれくらいいるのだろうか。

   ルフィやゾロのように、海賊王や剣豪目指して小さい頃からひたすら努力して来た人間とくらべ、
  ウソップは小さい頃はウソつきながら近所のガキと馬鹿をやってるだけでしかなかった。
   そしてようやく夢に向かう決心がついた時にはすでに絶望的な差が生じている。

   それでも、彼は一歩進むことを選んだ。ルフィやゾロと本気で笑いあえるようになるために。
   ルフィやゾロ、サンジのわかりやすいカッコ良さだけでなく、ウソップのようなカッコよさをも、一方で描き出している。
   このバランス感覚、リアリティこそが、ONEPIECEが名作たりうる所以と言えるのではないだろうか。


第88話 「”死んで!”」

   ナミに死んでと言われ「よし来た!」と叫ぶ村人達。
   それは非常に感動的でもあるが、やはりある年齢を越えて読んでいると「こんな村人ありえねーよ」と思ってしまう。
  もちろん理想ではあるが。(プードル町長の港町の町民たちも同様)
   しかし尾田氏の場合、ここで当たり前のように理想状態を書いておきながらも、
  後になって現実に根ざした描写を絡めて来そうな雰囲気もあるので、油断は出来ない。

   さて、この回の内容はウソップ戦のまとめとルフィ復活、の繋ぎでしかなく、特に見ることないので省略。


第89話 「”交替”」

   同じくルフィ復活の繋ぎの回。しかしあの「ゴムゴムの交替(?)」は、ゾロの傷にメチャメチャ響くような気がしてならない。


第90話 「”何が出来る”」

   アーロン・ルフィ戦がここから4回に渡って続くわけだが、ただ延々と戦闘だけ続けてもダレるだけなので、さすが尾田氏はそうはしない。
   ここで突然組織のリーダー論みたいなものを入れるのだから、凄い。

   もちろん「助けてもらわねぇと生きていけない」とは言っても、「何も出来ない」のでは誰も着いて来ない。
   ルフィには戦闘の実力、鋭くものの本質を見抜く目、その器の大きさ、人柄などのおおくの魅力的部分を抱えているからこそ、
  皆がついて行くのであるが。

   やはり「自分の限界を知っている」というのは、人間としての大きなポイントではあろう。
   それもわからずただ自分は上等と信じて力をふりかざすだけのアーロンは、ルフィより格下と言う事になるのだ。


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