第1話 『ライ・ラウド』





今日も空は青く澄んでいる。
とある小さな島『ピスカ島』は今日も晴天である。

ピスカ島はほとんどが森と山で構成されており
住んでいる人も十万もいない島である。
しかし、一応ピスカ国という国であり国王は存在している。
といってもここでは全く関係ないので深くは語らない。



ここの山はピスカ山といわれ、
世界的に自然が豊かで世界遺産に登録されており、
普通の人は特別の許可がないと入ることの出来ない山である。
もちろん例外はあるのだが。

そしてその例外の一人が
このお話の主人公であるライ・ラウドであり、
聖剣(ホーリーナイト)を夢見ている
格闘バカ的な少年である。

格闘少年らしく格好は
胴着にも似た格闘着
髪は漆黒で薄い水色をした目をしている。

ラウドはある時からピスカ山を住家とし、
そこにいる野獣『マルグマ』を倒して生活していた。

マルグマはピスカ山に多く生息しており、
人の肉をよく好む。
大きさは普通の熊の3倍はあろうかというほどの巨体。
さらに強暴・獰猛であった。
そういう意味でもピスカ山は一般の人は立ち入り禁止なのだ。

そしてある時期にマルグマが大量に発生した。
その時マルグマは山の中だけでは食料が足りないため
民家近くまで下りてきて人に被害をあわせるようになっていた。
そのことを知ったラウドはピスカ山に行きマルグマ退治をすることにする。


それから数年が経ちラウドは18になった。
そして、急にピスカ山を下山してきた。

もともとラウドにはきちんとした家が存在している。
家族は父親しか居らず、母親はラウドを産んですぐに死んだらしい。

父親はピスカ国有数の大富豪で、
金のためにいきているような人である。

ラウドはお金だけに執着を持つ父親が嫌いだった。
男なら強くありたいと常に心に誓っていたからだ。

だからラウドはたった8歳の頃に家を出て、
ピスカ山付近に住むようになった。

そして数年後にマルグマの大量発生が起きて
住家をピスカ山に移したのである。


しかし、ラウドは一人だったわけじゃない。
幼なじみで、母親代わりのティノという女性がいた。

母親代わりといってもラウドと6つ違いで、
ほとんど姉弟のようのものだった。

ティノは両親を小さい頃に亡くし、
親族もほとんどいなかった状態だったらしい。
そこでラウドの父親が養女として育てていた。
だから実質は義姉弟であった。

ラウドが8歳のときに家出した時も
寝泊まりの手助けをしたり、
色々とおせっかいを焼いていた。

ラウドもそれは嫌ではなかったが、
ピスカ山にこもり始めると
あまり会わなくなったいた。


そしてラウドは何年か振りに下山してきた。
山男らしく、ひげは伸びっきり。
何年前の格闘着が分からぬ程、
服はボロボロで
髪は適当に切っている様であったが、
その姿は野人であった。


『誰?・・・ああ。生きてたのね?ラウ』

ティノとは1年ぶりぐらいの再会である。

ラウドとは対照的に清楚な格好。
髪は肩にかかるぐらいで、
それほど長くはない。
そして何より美人でもあった。

ただし、それは作られたような美人であった。
ただ、ラウドには女性を見る目は無かった。
だから今でもティノのことを
特別女性として意識してはいない。


さて、ティノは結構男勝りな性格で言い方も結構キツイ。
それはラウドでも変わらなかった。

『久々に会って生きてた?はないだろうよティノ』

『あんた、その姿じゃ誰だかわからないわよ』

と言われて
ひげや、髪の毛を触り、うなずく。

『これこそ男だぜ!』

と一人誇らしげにしているラウドを無視し
ティノはどこからかもってきた
バケツに入った水をラウドにぶっ掛ける。

『冷てっ!何すんだ!』

ラウドを無視して次に髪を引っ張ると
どこからか持って来たハサミで
ラウドの髪を切り始める。

『このままでもいいってよぉ』

とラウドは呟くが、
ティノは聞こえないフリをして
ボサボサ頭をギザギザ頭に整える。

『一応ねぇ、いい年なんだから
身だしなみぐらいはきちんとして頂戴』

というと、これまたいつのまにか、
まあ新しい格闘着と普段着をラウドに渡す。

『すまねぇなぁ』

ラウドはティノのやさしさに感謝する。
と同時に下山した理由を話し始めた。


『俺はホーリーナイトになるために
今までマルグマ相手に格闘してきた
そしてホーリーナイトになるために必要な
力の使い方が分かった
だからそろそろ旅立つぜ』

 ラウドは海のほうを向き右コブシを海側に突き出した。

『まだ言ってるの?
そんな現実離れしたこと。
そもそも"ホーリーナイト"なんて
過去の英雄につけられた名前じゃない?
今もいるなんて信じられないね』

『ティノは知らないと思うんだけどな
俺はそのホーリーナイトに近い男に会ったことがあるんだよ』

『・・・?
あぁ。あの人ね』

ティノがそう言うとラウドは山のほうを向き呟いた。

『ああ。ギルバードさ』

話はラウドが8歳のときにさかのぼる。
まだラウドがティノと父親と大富豪の家に住んでいた頃の話。



〜10年前 ライ豪邸にて〜

豪邸というもの、
召使がそれほどいるわけでもなく
住んでいるのは
ラウド、ティノ、そしてラウドの父ドクと
その仲間みたいな友達だけであった。

そしていつものようにドクとその友達は
部下らしき人達に仕事を任せ
遊び呆けていた。

ラウドは最初、
何も変な感じを感じなかったが
自分は何もしないで、ただお金が入ってくる環境が
おかしいものだと感じ始めていた。


『父さん。父さんは仕事はしないの?』

『お金、力がある奴は何もしなくていいのさ
おまえはその偉大な俺の息子だ
おまえも楽に生きれる権利がある』

『力?』

ラウドは権力の力がよく分かっていなかった。
力。つまり戦いのほうだと勘違いしていた。

『父さんのやってることはなんなのさ?
毎日遊んでばかりで、
どこが強いんだよ!!』

『強い?ってラウド・・・』

といいかけるドクを無視してラウドは続ける。

『こんな家にいたら俺は弱いままだ!
いや、父さんより俺の方が強いはずだ!
もうこんな家に居たら父さんみたいになっちゃう!』

こうなると手がつけられなくなる。

『そうか、一人で生きれるんならやってみろ』

ドクはラウドが一人で生きれないと分かっていてそう言った。

『ああ。絶対帰らないからな!探すなよ!』

そういうと部屋から出ようとした。
ドアを開けようとすると
目の前に一人の旅人風な男が立っていた。

『だ、誰だ!』

ラウドは不意に現れたその男に驚いてそう言った。


『ギル・・・』

ドクはそういうとその旅人を客間に通す。
旅人はラウドのほうを向き

『おまえもこいよ。家出たいんだろ?』

と小声でいい去った。

ラウドはその旅人の言ったことがよく分からなかったが
何か惹かれるものがあった。
だからラウドも客間に入っていった。


その旅人はどこにでもありそうなリュックを背負っており
いかにもさすらいの旅人風な男。
銀色の髪の毛
不思議と人を引きつける目をしている
そして何よりも強そうであった。

この男はギルバードという。

アラン・ギルバード。
ラウドの運命を変えた男である。







先頭へ第2話『聖剣』へ





D・Tに戻ります。