19
【エリアスター】
時は、ネルソンがリクとジュリレスターを本部に連行する頃まで遡る。
タベスの連絡塔から、ネルソンに連れられるままに無気力なジュリレスターが
1台のナビ職の車に乗り込んだせいもあって
リクは策を考える余裕もなく、同じように乗り込むしかなかった。
「リク、そっちのジュリレスターには話してあるが、率直に言う。
俺の仲間になってくれないか?」
「それは、エムケーとしての意味か?」
「いや、もちろん違う。
無駄な行動をしなければ、結果的にお互いが得をする結果になるはずだ。
即答は期待してないが、ここで立ち話をすると塔の監視から変な目で見られる。まず乗ってくれ」
「・・・」
こんな話ならナビ職の中でも出来るはずだが
乗る前に言ってる事からも、ナビ職内での言動も監視記録されているという事なんだろうか。
それとも、オレに油断を生ませるための方便なのか。
いずれにしても、乗り込んだ後はオレから話を振らない方が正解だろうな。
オレはネルソンの狙いを掴めずにいたが、今は付いて行くしかなかった。
吸い込まれるように乗り込むと、ナビ職はゆっくり進みだした。
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「二人に確認しておきたい事があるんだが、いいか?」
いくらかの無音で走っていたナビ職の車にようやく声が響く。
後部座席に乗っているオレとジュリに、運転をしている為に前を向いたままのネルソンが再び問いかけてきた。
「む。今更何の話だ」
睨むようにジュリが返答をしたが、オレは一切答えることなく横の窓から流れている景色を見ていた。
「アンタらにとって、あのマスターは何者だ?」
「それは誘導尋問か?
金髪の男はネルソンの事を交渉向きじゃないって言っていたけれど、実際はそういう部分も得意な方だよな?」
「む。あんたに応える義理はないぞ」
今度は、ほぼ同時にオレとジュリが答えたが、ソレが予想していた回答という事なのか、ネルソンは特に返答せず
左手は運転ハンドルを持っているようだが右手でレコカを操作し始めているように見えた。
「よそ見しての運転は危険じゃないか?」
半分冗談ぽくオレが問いかけると
狙っていたかのように後ろを向いて手放し運転を始めた。
「知らないとは言わせないが、ナビ職は基本オートマチックだ。この車は勝手に本部に向かっている」
オレも分かっていてそういう問いかけをしていたのだが、一応きちんと確かめておきたかった。
トリノの車の時も運転手は居なかったわけだし、ナビ職は自走出来るようになっているのが当然という事らしい。
「それが一体何なんだ。
あんたはリクが言う様に、言葉で誘導させてウチ達をハメようとしているんじゃないのか?」
「おいおい、冗談じゃない。俺がアンタらをハメた所でメリットがないだろ」
「ジュリ。ネルソンの言う通りだ。
オレらを逃がすメリットはあっても、ハメるメリットはない」
「・・・おい、リク。お前も何言ってるんだ?」
「ん?金髪の前では言い難そうに見えたからな。
このナビ職は本部関連とも情報が繋がってそうだし、下手な事は言えないよな?」
「ははっ。・・・俺を逆に裏切り者としてハメようってか?
でも、そんな事したら、アンタらのマスターがどうなるかな?」
「裏切り者リストだっけか?ソレの上位に居るんだろ?
今更裏切りません的なフラグも不自然だろうがよ?」
「・・・そうだな。俺はマスターとコンビを組んでる時点で怪しさ全開だしな。
で、どうする?本部に着いたら俺も裏切り者って事で訴えてみるか?
信頼性0だけどな」
「0かどうかは言ってみないと分からない気がするけどな」
「・・・話を逸らす所を見ると、よっぽどマスターについては答えたくもないと。そういう事だな。
そこまでマスターをかばう理由が知りたいぐらいだね」
「かばってるわけでも無いさ。
金髪の男が言うには、マスターはエリアスターを暗殺するための役割を持っているという話だったが
オレには違うように感じるしな」
「む。リク、今の話はどういう事だ?」
「・・・どうもエムケーは、マスターの事をエリアスターを暗殺するモノとして認識しているらしい」
オレは喋りながらネルソンの真意を確かめようと色々鎌をかけていた。
ソコをジュリによって遮られた形になってしまったが、特にコレで問題はない。
何よりジュリが大人しくネルソンに従っているのは、先程までは戦意を失っていたからだと思っていたが
どうもそういう感じだけにも見えなくなったからな。
ジュリが再びネルソンに口答えをしている所を見ると、リディを助ける事を優先しなかったのは
共にいるらしいヴィルというマスターについても、何だかの情報を得ているという事なのだろう。
そういう考えから、オレはネルソンがこのまま素直に本部に行くとは思えなかった。
ちなみに、今オレがやっている事は、ネルソンとの関係が良くないという"設定"を作っているだけである。
ネルソンもその意図には気付いているようで、下手な方向に話を持っていかないようにしているように見える。
ただ、ジュリはオレの意図が分かっていない部分もありそうなので
言ってはいけない事を、先にオレが言う事により失言を防止しておく必要はある。
とはいっても、オレも下手な事を言わない自信があるわけではない。
「どうやってエムケーは暗殺する気でいるんだ?」
「それは俺が答えてやるよ。
俺達がフェリスを求めてる部分をマスター側が利用してるという事だ。
フェリスがあるとされている場所、ようは新種の暗殺場所へ案内し、その場で俺らを消すという工程だな」
「あぁ。そういう感じの話は金髪の男からも聞いているが、だとするとマスターは道案内の振りをして誘い込んでるって事になるよな?
しかし、この事実をエリアスターの多くは知らないわけだろ?エムケーに居る人だけは知っている状態みたいだが。
オレは特にフェリスを求めているわけでもないから、この変な状況に違和感を感じるんだが」
「フェリスを求めようとしない考え方は別にリクだけじゃないさ。俺もそうだしな。
だが、違和感というのはどういう点だ?」
「・・・いや、バローグ?だっけか。
エリアスターが多く住んでいるらしい町でエムケーの活動をすればいい話じゃないのか?」
「・・・少し話がずれてきたが、まぁいい。
リクはバローグの現状を知らないようだが、簡単に言うと今のバローグは完全マスター信仰地域だ。
つまりタベスに集まっているMKという組織は、信仰からはみ出した者の集まりって事になる」
「む・・・」
「マスターが暗殺をしているという事実も信用してないって事か?」
「おそらくはな。マスターというよりフェリス信仰という方が正確かもな。
世界から異端な扱いを受けている新種と呼ばれる俺らが、他の者と同じ様に生きるにはフェリスの力が必要だと信じきっている。
勘だけども、ジュリレスターもその気じゃないか?」
「・・・うむ。否定はしないぞ」
「MKとは、一人でも多くのエリアスターをマスターの手から守りたい人達で出来ている組織って事だ。
タベスという廃墟になった土地を利用してまで、同じエリアスターの仲間を少しでも多く増やしていっている事情はそういう所だ。
今はウエブの協力もあって、表向きはウエブの【MC職員】として生活出来るようにもなってきたしな」
ネルソンの話のおかげで、エムケーとエリアスターの関連が少しずつ分かってきたが
これが本当の話だとすると、同じエリアスターの中で対立している構図とも言えるな。
一応、次の目的がそのバローグなわけだが、どうしたものか。
それとも、マスターが暗殺云々はエムケーの狂言で、本当はマスターと共にフェリスを見つけることが出来るのだが
見つけられるとエムケー的に都合が悪い事でもあるという話か?
だとすれば、ネルソンはバローグ側のスパイ的活動でもしているとでもいうのか?
普通に考えればマスターもいるし一番疑われる立場でもあるはずだが、それでエムケーの一員となっているというのは
ちょっと飛躍した考えという気もするか。
だが、ネルソンの狙いはオレらをエムケーに入れる事では無いようだし、
バローグ側でもない別の何かと繋がっていると考えるのが一番納得できる形かもな。
最初に出会った時にも感じたが、オレと同様に元のエリアの記憶を持っている可能性も否定出来ないしな。
勿論、エムケー側に筒抜けになっているであろうナビ職の中で聞くわけにはいかない推測ではあるが。
また少しの間、沈黙が続く。
ネルソンは相変わらず前を見ずにレコカを操作している。
「リクはこの男の言う事を信用しているのか?」
不安な声でジュリが沈黙を破った。
「何かを企んでそうという意味では信用できないな。
だが、エムケー関連の話は事実だろう。
ここでの会話もおそらくエムケー側に筒抜けになってるだろうし、適当な事は言えないだろうしね。
連絡塔に居た金髪の男が言うには、あの塔には監視カメラなどが設置されてるという話だったからね。
このナビ職も似たような仕組みになっていてもおかしくない」
「そう、なのか。じゃあウチは話をしない方が良いか?」
「それは別に問題ないよ。エムケーの組織を壊滅させる策を練るとかなら大問題だろうけどな」
「おいおい。リク。冗談でもそんな事を言うなよ。
ウエブの大会での借りもあるし、下手な発言するとここで仲違いって事も可能だぜ?」
操作をしながらだが、再びネルソンがこちら側を向いた。
「・・・ソレをすると立場的にネルソンも危険なんじゃないか?」
「ま、そうなるな。だから本部に着くまでは・・・」
「ん、どうかしたのか?」
それまでレコカを触っていたネルソンだったが、突如正面を向いてハンドルを両手で握る。
「おかしい、ルートが変わっている・・・」
「ルートが違うって、何処に向かっているんだ?」
「このまま進めば本部を無視してシフト山、モンスターが生息している地帯だ。
くそっ、ハンドルやブレーキがいうことを効かないっ!」
コレはネルソンの作戦の一つではないのか?
元々本部に向かわないだろうとオレは思っていたが、ネルソンの様子を見ると、どうも本当にコースを意図的に変えられているらしい。
「む。なら、ナビ職から降りるというのはどうだ?」
「ジュリレスターのような強靭の肉体を持っているならそれも可能だが
俺やリクは男の癖にそれほど鍛えられてないからな。
それに、一応時速80キロ近くで走行している乗り物だ。減速でもしない限り普通に無理だ」
「エムケー関係者に連絡は取れないのか?」
「いや、今やってみているんだが応答が途切れている状態だ。
意図的に向こう側から切っている雰囲気だ」
「どうやらネルソンは、エムケー側に本当に信用されてないみたいだな」
「否定はしないさ。裏切りリスト上位に"させられてる"し。
ただ、どちらかというと俺というよりヴィルの存在が気に入らないんだろう。アイツはマスターだしな。
って、そんな事よりナビ職の位置はMK本部でも把握しているはずだから、おかしなルートになってる時点でこちらに連絡が入っても良いはずだ。
それが全くないというのはどういう事だ?」
「誰かが、きちんと本部に向かってる的な工作をしているって事か?」
「そんな面倒な事する奴は・・・確かにいるが、まさかよりによって今日とはな」
気のせいかナビ職のスピードが上がっている感じがする。
この状況はネルソンの策ではなく、ネルソンをハメようとしているモノの策らしい。
そして先程はスルーしたが、シフト山という所にはモンスターが居るという話だったな。
確かに平淡な道から上りの山道に変わりつつある。
ナビ職は緑の集まりに突っ込んで行くと、やや薄暗い周辺は確かに何かが出そうな雰囲気へと変わってきた。
「トラブルな以上、命に代えられん。ナビ職の行動機能を破壊する!」
声高くネルソンが叫んだかと思うと同時に、身に着けていた革製のグローブを外し
ハンドル、そしてフロントモニターに触れると、それを瞬時に破壊した。
ネルソンの得意マテルは【破壊】。手に触れた固体をある程度破壊することが出来るマテルである。
今回のナビ職の破壊はあくまで車に変化している部分だけなので、生物扱いされているナビ職自体を破壊する事は不可能になっている。
このネルソンの行動により、ナビ職の運転は制御不能になり、道を上りながら横回転スピンを始めた。
6回転程して減速が強まると、道から外れて別方向へ下ろうとした所で林に当たり、ナビ職の暴走は止まった。
動かなくなった事を確認した後、グローブを付け直したネルソンは、またレコカを操作し始める。
「リク、大丈夫か?」
突然の回転で実はオレは車外で飛び出しそうな勢いになっていたのだが
ジュリによって捕まえられた事もあり軽い打撲程度で済んでいた。
「ちょっと、膝をぶつけたぐらいだな。助かったよ」
「うむ。それならば良かった。
それにしてもあの男、やる事が無茶苦茶だぞ」
「だが、運転機能を止めなければどうなっていたかわからないからな。
あらかじめ言っておいて欲しかったものだが」
「・・・これ程度の回転で怪我をするとは思ってなかったんでな。すまんな」
ネルソンが悪意ある余裕な笑顔でこちらに返答する。
しかし、そんな余裕がある様な状態には見えないのだが。
「ちょっと想定外な事もあったが、これでようやくお前らと対等に話が出来るな。
改めて、オレはネルソン。フェリスを求めているエリアスターの一人だ」
そう言うとオレとジュリに付けられていた錠代わりの腕輪を外し始めた。
この行動にはジュリはキョトンとした表情を見せているが
オレはその言葉で大体を把握出来ていた。
「このナビ職の暴走もネルソンの策だったのか?」
「策?違うね。
俺の事を良く思ってないMKの奴が連絡塔には何人か居たから、このナビ職に制御不能の仕掛けをする事自体おかしな話じゃない。
例えば、リクとジュリレスターを幹部に推薦する関係で、「MC社員扱い」されている何人かをリストラするつもりとかね。
そんな適当なデマをレコカを使って流しておけば、それに反応するMKが出てくるのは自然な流れかもね」
ネルソンの事を良く思ってない奴らの感情を逆に利用したという事か。
オレも思いつく策ではあるかもしれないが、実際行動する事が出来るネルソンは、やはり敵に回したくないタイプの男だ。
「この手のナビ職は、予め一定の行動パターンに従う様にレコカを使って命令させられている。
それを変更させるには、やはり特定のレコカを使うわけだけど、今回俺は、あるデータを仕組んだレコカを
ナビ職の管理をしているMKに渡しておいたんだよね。
勿論、それは暴走させるデータじゃないぜ?逆に本部以外一切寄り道をさせない完全なオートランニングのパターンをな。
そのレコカを見る事で、オレに悪意を持ってる奴っていうのは逆の行動をさせるって事をするもんみたいだね。
全く別の方向に進ませる事で、俺の任務を台無しにするだけじゃなく、おそらくはこのナビ職での会話も適当に改ざんしたデータを本部に送信しているんだろうよ。
こちらの情報も本部の情報も一切通じてない点からも、その可能性は高いな」
「上手くいったように話してるけどさ、今この状況も筒抜けになってるんじゃないのか?」
「いや、こうなったらどっちでも構わんさ。俺はもうMKに戻るつもりもないし。
ヴィルのヤツは上手い事お前らのマスターを隠しているはずだろうし
あとは、どうやってお前らのマスターと合流するか、だな」
「む。ネルソンはさっきから何を言っているんだ?」
「どうも、最初からオレ達と合流した時点でMKを抜け出すつもりだったみたいだな。
ところで、リディの話をしているようだが、ネルソンにはストーカー気質のマスターが居るだろ?」
「あぁ、居たn・・・」
と、
オレとネルソンの会話途中で、非常に聞き覚えのある声がジュリの方から聞こえてきたのだが
声の内容を確認する前に、その縦変化したジュリの影にまず驚かされた。
そう、コレはあの金髪の男である。
「ちょ、ちょっと待てぃ!
君達はさっきから何を言っているんだ!」
この光景にはネルソンやジュリも目が点になっている。
というかネルソンは金髪の男のマテルを知らなかったという事か?
「・・・今度はジュリの影に隠れてたのか。ストーカー2号」
そう言ったオレもブロクで金髪の影に吸収された身ではあるが、
実際に姿を見たのは初めてだったので、半分は驚きの声になっていたのだろうな。
金髪のマテルは、影そのものだけでなく影を通じて自分自身を移動させる事も可能って事か。
もうご都合主義過ぎて、この"設定"に突っ込む気にもならなくなってきた。
「いや、断じてストーカーではない!
って、そんな事はどうでもいいのだよ。今の話、どういう事かきちんと説明してもらおうか?」
「・・・まさか、新人MKが移動可能な影使いだったとは、ちょっと迂闊だったな。
ま、説明は体で構わんか?」
「僕は何時でも勝負を受け付けるが、この状況は言い訳できんぜ?ネルソン君」
お互いに構えを始め、ネルソンは革のグローブを再び外していた。
そしてオレは何を思ったか、その戦いを止めに入っていた。
「おい、リク。邪魔だ。消すぞ?」
「君もネルソン君に味方をするのか?
違うなら、僕にこれ以上無駄な戦いをさせないでくれ」
「ちょっと待ってくれ。二人とも、まず、手を降ろしてくれ。
エムケーの目的はマスターの手からエリアスターを守る事だろ?
ネルソンはソレ自体を否定したわけじゃない。
エムケーとは別の方法を取るという話を今しようとしていた流れだ」
「若干違うが、そうだな」
「それに、金髪の方はエリアスターを守るって言ってる割に、普通にネルソンやオレに攻撃しようとしてるよな?
今は会話の途中なのだから、判断するのはソレが終わってからでも良いだろ」
「よし・・・わかった。君の必死さが僕に伝わったよ。話の腰を割ってすまなかった。
じゃあネルソン君。話を再開してくれ」
何故か両腕を組んだ金髪の男が仕切る形で話が再開される。
「あ、えっと、どこまで話したんだっけか?
そう、今回リク達を仲間にする目的は俺の"元マスター"のヴィルを倒す事にある」
「な・・・?」
オレも含めてジュリや金髪もこれには驚きの顔をする。
「新人MKには誤解を生むだろうが、その為にはリク達のマスターの協力が必要だ。
ヴィルはそのマスターに惚れこんでいるからな。倒すにはこの状況以外ない」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。
エリアスターが自分のマスターを倒すなんて話は前代未聞だぜ?
とても、僕には信じられない!」
「だから、リク達のマスターを俺の新しいマスターにするって事だ。
そうなれば、アイツは元マスターになるし、元マスターを倒すっていうのはMKがやっている方法そのままだぜ」
「自分のマスターを倒す云々の意味はよく分からんが、オレも金髪に同調だ。
そもそも、何故ヴィルを倒さないといけないのか分からない」
「・・・あぁ。そうだな。
こういう話をするのは非常に嫌なんだが、目的の為には仕方ない。
アイツは、当時まだ幼かった俺を自分のギフトにする為に、マスターの権力を使って家族親族全てを手に"かけさせた"。
そして、バローグで孤独となったオレを、何も知らない振りで天の助けのように救い上げたってわけだ・・・」
「む・・・それは」
「なんて酷い話だ!
その事実を知ったのは何時の事なんだい?」
「出会ってそれほどしなくて分かったさ。アイツは基本バカだからな。
だから、最初は逃げだそうとした。が、アイツの持つマテルによって何処に居てもすぐに見つかってしまった。
これはアイツにとっては、子供の鬼ごっこ以下の遊び程度にしか感じなかったのだろう。
それからは絶望の日々だったが、俺は別の方法を幾つか考えた。そうして巡り合ったのがこのMKだ。
普通に行けば、マスターであるアイツは、マスター狩り(ハント)の対象になるはずだったが
エリア警察の上司も関わっていたのか、上手い事取り入る事で
特別警備隊として配属する事となり、MKに狩られる事なく今日までマスターとして活動する感じになった。
こうなると、今回のような別のマスターに乗り換える策を取っても、MKと協力してマスター狩り(ハント)を実行させるから無駄に終わるってわけだ。
結果、MKに配属となった俺の行動範囲は完全に限られてしまった。
そんな折、リク達のマスターの存在を知った。アイツがベタ惚れしてる事も分かってな。
MCの情報網からウエブの大会に出る事を知ったアイツは当然に参加を要請してきた。
俺にとって最大のチャンスだった。決勝で顔見せするデメリットも構わない。
まさかリク達が決勝前で棄権するとは思わなかったけどな。
一方でアイツは、決勝で顔見せさせる事も目的の一つだったのかもしれん。
マスターを倒そうとか考えるのはエリアスターぐらいだし、手にかければもれなくエリア警察の手配が待っている。
巨大組織であるエリア警察の手下とも言えるマスターに手を出すバカはまず居ないだろうな。
リク達も決勝に進む事が出来た要因の多くはマスターの存在が大きいと思うぜ」
「む。惚れてるとか言ってる割に、そのヴィルはリディに呪いのマテルをかけてたはずだぞ」
長い事話を続けたネルソンに割って入ったのは、やはりジュリだったが
この疑問はオレも当然にあった。この話では他にも幾つかあるが、まずはネルソンの話を聞く方が先だ。
「あぁ、アイツが何だかの呪いを使っていた事は聞いていた。
だが、それはあくまでアンタらのマスターを疲れさせて捕まえる為の行動に過ぎない。
アイツの頭の中にはマスターを自分のモノにする事しか無かったからな。
実際、決勝を辞退した事を知ってからは、アイツは全くやる気がなかったし俺にもさっさと負けるように提案したぐらいだ。
理由は分からんが棄権自体は出来ないような事は言っていたが、今となってはそれはどうでもいい」
リディの従妹であるミウナバラが居た喫茶店風な店で見た、ウエブの大会の決勝映像で
ネルソン達がどうも苦戦しているように見えていた理由がなんとなくだが理解出来た気がした。
リディの呪いの件についても同様だ。
「その理由の件も絡んでるかもしれんが、アイツは基本バカではあるが、誰かの入れ知恵で自分の保身に努めている部分があったのかもしれん。
そこに早く気付けなかった俺にも落ち度はあるけどな」
「・・・確かに話を聞く限りだと、リディを新マスターにすれば、ヴィルはマスター狩り(ハント)手にかけられないって事にはなるな。
確かに辻妻は合うが・・・」
「そう、彼の言おうとしている通り!
確かにここまでの話を聞く限り、ネルソン君の境遇は非情な物だと感じる!
僕はエリアスターを守る為なら、MKとの戦いになる事も覚悟できてるぜ」
「何言ってやがる。
別にアンタに協力してもらう必要はないんだが」
「いや、僕はエリアスターを守る事が出来るなら、別に形はこだわらない。
これは僕の信念であり、正義だぜ!」
「・・・ま、アンタの主義など俺にはどうでも良いんだけどな」
「うむ。考え方は嫌いじゃないけどこれはウチ達の問題だ。
ネルソンにも色々事情があったのは分かるけど、ウチは今の話を信用出来ない部分もあるぞ」
「あぁ、別に信用してくれなくてもいいさ。ようはアンタのとこのマスターを助けるって部分は同じって事だ。
その部分で結果協力する形になると、俺は助かるってだけでな」
「・・・う、うむ」
ジュリの表情は所謂苦虫を噛み潰したような顔になっており、かといって完全にネルソンを否定してるわけでもない様だった。
オレの方を見て意見を求めているようにも見えるが、正直ネルソンの必死な顔つきを見て何とも言えない気持ちになっていた。
絶望的な人生を送らされた相手と共に過ごした日々は、冷めた世界になるのはオレにだってわかる。
ネルソンと初めて会った時に感じたあの空気感は
この世界に来るまでのオレと同じく、景色が白黒にしか見えなかったソレに近かったから、か?
今はこんな現実から早く解放されたい、という感情が嫌でもハッキリと見える。
これ以上、何かを聞ける雰囲気でもなかった。
「オレとしては、結果的にこちらのマスターを救出出来るのであれば、それで良いけどさ」
「リク・・・」
「僕は新マスターと行動する点には協力できないけど
ヴィルというマスターを倒す事には全力で協力しよう!」
「だから、アンタは無理に付いて来なくてもいいんだけどな」
「そんなわけにはいかない!
エリアスターを守る為に僕が行かなくて誰が行くと言うんだ!」
ジュリもこの金髪に感化されたように微妙に頷いているのが気にはなるが
狙いは別にしろ、リディを助ける事で全員の意志がまとまったようには見える。
「・・・まぁ、協力体制が整ったのは良いけど、肝心のヴィルの居場所は分かっているのか?」
「リク、リディの居場所が先じゃないか?」
「いや、ヴィルというストーカーマスターの性格が"本物"なら一緒に居るって事さ」
「うむ。そういうものなのか」
この流れを分かっていたかのようにネルソンは一つのレコカを取り出す。
「何処かの奥地に居るとは思ったが、どうやらこのシフト山近くの洞窟に待機しているようだ。
だが、ここら辺の洞窟はモンスターの巣になっているから普通に行けば命がないな」
「ああ。デントグラスが必要だぜ」
「む?デントグラス?」
「ええ。モンスター避けに使われるデント産のレイ・バーグラスですよ。
どこかのエリア警察でも愛用されているとか」
「そうか。戦っても勝てない物なのか?」
「ジュリレスターさん。相手は最長で10M級の真に怪物ですよ!
戦わないに越した事は無いです」
「む。あんたは戦う方が好きな様に見えるけどな?」
「勿論、みんなを守る為、正義の為なら戦いますが
無用な戦いは好みじゃないですよ」
「・・・お互い一度は連絡塔で会っているが自己紹介を改めてしておく。
俺はネルソン。ヴィルを倒すのが最大の目的だ」
「リクだ。そのヴィルに誘拐されたマスターを助けるのが目的・・・だな」
「うむ。ジュリレスターだ。目的はリクと同じだぞ」
「トリを飾る僕の名前はヴェロン!
人は僕の事を"シャドーヒーロー"と呼ぶぜ!正義のm」
「では、紹介も終わったところで今後の対策なんだが
まず、ナビ職での移動は不可になった」
何やら決めセリフをきちんと言えなかったヴェロンがイジケテいるのを尻目に
ネルソンが話を進めて行く。
「問題は大きく2つある。
一つはモンスター対策。これにはデントグラスを購入する必要があるが、これはシフト山を越えたデント地方に行かないと売っていない。
シフト山を超えている途中でモンスターに遭遇する可能性があるという点だな。
もう一つは、救出対象のリディとヴィルを引き離す必要がある点だ。
一緒に居られると、ヴィルがリディを人質にとって何を仕出かすかわからないからな。
理想なのはアイ・・・いや、ヴィルが洞窟に居ない状態で救出する事だ」
「ヴィルは一応MKの任務もやっているんだろ?それなら任務中に救出すれば良いんじゃないか?」
「アイツのマテルには居場所の瞬間移動以外に、人物に対しての瞬間移動がある。
俺がアイツから逃げようとしても直ぐに見つけられたっていう話はこのマテルが関係している。
よって、どうしても移動出来ない状況というのを作る必要がある。
マテル規制地域でヴィルと戦うことが出来れば一番良い選択だな」
「うむ。その一方でリディを救出するというわけだな」
「じゃあ、モンスター対策はどうする?」
「シフト山途中で遭遇した場合は、ナビ職に入り建物化すれば凌ぐことは可能だ。
モンスターは表向き無機物な物には攻撃してこないから
その中に人間が居ても時間が経てば勝手に居なくなるはずだ」
「それは、逆に言うと生身だと襲われるという事か?」
「あぁ。そういう事になるな。モンスターの多くは人肉を好むと言われている・・・
って、リクは本当に物事を知らな過ぎないか?」
「少し事情があってな。って、ソノ件は今は必要ない話じゃないか?」
「・・・ま、確かにそうだな。
で、洞窟に入るには間違いなくデントグラスが必要になる。
シフト山の時と違って洞窟内はモンスターの住処になっているから、ナビ職に入ってやり過ごすって事が不可能だからな」
「うむ。そのデントグラスの事で、一つ気になる点があるんだが
暴走したナビ職に乗ったままでシフト山を超えることが出来ていれば、別に必要なかったんじゃないか?」
「いや、まず操作不能な時点でシフト山を越えるかも怪しい。
もしかしたら洞窟目指して突っ込んでいた可能性もある。
そうなればナビ職が壊れなくてなくても、ソコから洞窟に出る事自体が出来ない。
俺をハメようしていたMKの連中がそういう展開を狙っていた可能性は十分にある」
「うむ、そうか・・・」
「俺がもう少し粘ればもう少し先まで進めたかもしれんが、あの状況ではこれが限界だった。
最低限、建物化できる状態を維持する必要もあったしな」
「建物化といえば、そういえば、ナビ職の変化はマテルを持っていないと出来ないんじゃなかったか?」
「それはマスターのナビ職の事だな。あれはまた特殊なナビ職だ。
一般で使われているナビ職は、俺達のようなエネジスでマテルを代用しているエリアスターでも変化させる事は出来る」
・・・どうも、これまた都合良い展開な気もするが
そういう"設定"な以上どうにもならないのだろうな。
と、ここでようやくイジケテいたヒーローが帰ってきた。
「君達、のんびり話していていいのか?
何時モンスターが襲ってくるともわからないんだぞ。それにもうすぐ日が暮れてしまう。
先に進もうじゃないか」
「まぁ、そうだな・・・」
またしても金髪が仕切る形でネルソンが同意する。
勝手に仕切らせた方が楽という部分もあるのだろうけども、不思議と周りをまとめる力があるのかもしれない。
ネルソンが"乗り物"をナビ職のトリノ同様にボールの様に変化をさせ携帯すると、先に山道を進んでいく。
オレ達もソレに連れられて進む。
日没を考え、軽く走るようにシフト山と呼ばれる森の中を上って行くと
ようやく折り返しとなる山頂的な部分に到達した。
数時間もせずに日は完全に沈むだろう。
「ここから下りて行っても途中で日没になるのは目に見える。今日はここで一泊する方が良いな」
ネルソンの案に反対意見はなかった。
ナビ職を再び登場させると平屋の住居風に変化させた。
流石というべきにジュリの部屋だけは別に用意されており
オレ達3人はリビング的な空間に雑魚寝状態で休息する形になった。
「・・・リクに確認しておきたい事があるんだが」
休んで間もなくネルソンが話しかけてくる。
「あぁ。会話するのはいいけど、ここでの会話はエムケーに筒抜けになってるんだろ?」
「影使いのMKが見張っている時点で秘密の話をする意味もないだろ」
「あ、あぁ。そうだな」
「なんだ?僕が居るとちょっと困る話なのかい?」
「どうせ、俺の行動はMKからしても想定内の事だ。今更何を言っても問題ないだろ」
「いや、余計な厄介ごとは勘弁して欲しいけどな・・・」
「それはそうだろうな。
俺が聞きたい事は一つ。何人か変わった新種に出会ってきたがリクのようなタイプは初めてだ」
「どういうことだい?」
金髪が合いの手を入れるせいでどうも話が長引きそうな雰囲気だ。
「知らない振りをしているにしても、同じ新種同士で隠す必要もない。
だが、リクは明らかに物事を知らな過ぎる」
「・・・」
「フェリスについて何か知っているんだろ?」
「どういう意味だ?」
「・・・いや、意味などない。言葉の通りだ」
「期待通りの回答とはならないと思うが、オレは本当に知らないんだよ。
知らな過ぎるのは記憶がないからというべきか」
「なんと。君は記憶喪失だったのか。
それで僕もなんとなく言動が理解することが出来たよ」
「いや、ちg」
「その点は俺と似ているな。幼いころの記憶だからだろうけども俺もフェリスについてあまり詳しく分かっていない。
正確には覚えていないというべきか」
オレが回答する前に金髪ことヴェロンとネルソンで会話が成立してしまっていた。
別にエリアスターが別エリア、つまり別の宇宙から来ているという話をしても問題ないだろうが
ここまで時間が経ってこの世界の状況を理解しつつあるオレでさえ未だ信じられない話だ。
この世界の住人だと思い込んでいるこの二人が信用するとは到底思えない。
「じゃあ、君がさっき話した昔話も、全てが全てでない可能性もあるのかい?」
「・・・ヴィルが肉親を消し去った事は事実だ。裏付けも取れてる。
俺の記憶の一部が曖昧なのは、もしかするとヴィル絡みなのかもしれないな」
「それは考えるだけ無駄というものだよ。
いずれにしても本人に確認はしてないようだから、きちんとヴィルの口から真相を聞く方が良いだろうね」
「・・・聞いた時点で殺意が湧きそうになるだろうけどな。
手にかけたらアイツと同類になるからやりたくはないが」
「君が手を汚す事は無いだろうな。
そういう点は僕に任せておくといいよ」
「・・・やはりアンタは変な奴だ」
「僕は表のヒーローには成れないからね。僕の正義を貫くには綺麗な部分だけというわけにもいかないさ」
「・・・ま、前も言った気がするが、アンタの主義など俺にはどうでも良いんだけどな」
「おっと。またそれかい。
・・・と、一人寝てしまったのかな?」
出来るなら話を振ってもらいたくなかったので無視しても良かったんだが
オレにも確認したい事があった。
「オレはお喋りな方じゃないんでね」
「そうだね。君はクールに振る舞うのが好きそうに見える」
・・・それは軽い嫌味か?
「じゃあ、記憶喪失のオレからの質問だが
ギフトという言葉は何か特別な意味があるモノなのか?」
「・・・うん、なるほど。これは確かに、喪失しているかもしれないな!」
「簡単に言うと俺やリクの事だ。マスターと共に行動するエリアスターの特別な言い方という感じだ」
「そうなのか」
「益々リクに興味が出てきたな。今のマスターと出会った時の記憶もないのか?」
「・・・ある。
というか、今からいう話を信じるかはネルソン次第だ」
「随分勿体ぶるなぁ」
「そんなつもりはないけどな。おそらく信用しないと思うからオレもあまり話したくはないというのが本音だ。
オレを含むエリアスターと呼ばれている新種というモノはこの世界の住人ではない、というモノだ」
「・・・そういう話をするキャラとは思わなかったな」
「だから、言いたくなかったんだが、これは事実だ」
「いや、僕は彼のいうことを信じてみたくなるよ。
ヒーローとして生まれてきた僕としては別の世界から来た方が都合がいいしね」
「・・・馬鹿にしてるだろ。だが、こうなったら言いたい事は全部言っておく。
オレのマスターが言うにはこの世界の事を【06】エリアと言い、オレが元々住んでいた世界を【24】エリアというらしい。
どうやらオレのマスターはエリアドライバーを兼任しているらしいが
その【エリアドライバー】が"ニーヨン"を含む各エリアから、エリアスターをこの世界へ拉致したのち
元のエリアの記憶を封印してこの"ゼロロク"世界の記憶と置き換えているのが真相らしい。
だが、オレだけは何故か元の記憶を持ったままでここに居る。
記憶が置き換えられてないので、この世界の情報がほぼ知識として無いという事みたいだ」
「それは面白い話だ。それが仮に本当だとしたら
君はこの世界を変えうる何かを持っているという事になるかもしれないな」
「・・・こういう冗談をいうタイプに見えないから、それが真実である可能性は信じておきたいが
別世界の俺らがこの世界で普通に話せているのは都合よすぎないか?」
「それは、混色のエネジスが原因だと思う」
「疑似マテルアイテムか。
そして、異世界から来ているとなれば新種はマテルが使えないという理由づけにもなる。中々筋の通った話ではあるか。
となると、この世界の記憶も混色のエネジスが関係してると言えるな」
「そうなるんだが、間違いなく、信じてないだろ?」
「ああ、にわかには信じられん。だが、納得はできる部分は多い。
ただ、それが事実だとしてこの世界で生きるには全く必要のない問題でもあるな」
「・・・オレはこの世界を出ようと考えている」
ここまでかなりぶっ飛んだ話をしているわけだが
流石にこの発言にはネルソンもヴェロンも固まっているように見える。
「・・・リクの話だと兼任しているマスターに拉致されてここに居るって事だから、そういう発想になるのは当然と言えるな。
だが俺には理解できないのは、何故拉致を行ったマスターと一緒に行動しているんだ?
俺とヴィルのような関係でもないだろ?」
「行動したくてしている訳じゃない。
微かに混色のエネジスの記憶で、ある程度の常識は理解できているつもりだが
この世界の状況も分からない、未知な物が多すぎる状態なら情報を得ようと考えるのが当然じゃないか?」
「・・・そうなるのか。
ましてここで普通に使われるはずのマテルが使えないときている・・・か。
仮にリクの話が事実でも、俺には出るという選択肢はないな。
それは元の世界の記憶がない事も関係しているんだろうけどな。なにより元の世界に戻る保証がない」
「・・・そうなんだよ。オレはフェリスが戻る為の鍵だと思い込んではいるが、多分それは違うとも考えている。
仲間になったジュリがフェリスを求めているから、今はそれを見つけたいという気持ちが大きい。
その事で結果的に脱出できればいい。的に考えているな」
「・・・この世界に順応してきたという事か?」
「そう、なるんだろうな」
「よ、よし!
僕達エリアスターの謎も解く為に、このシャドーヒーローが一肌脱いでみますか!」
「何をするつもりだ?」
「ネルソン君の記憶操作があったように、君の記憶も今のマスターが操作している可能性もあるって事だよ」
・・・ネルソンは分からないが、この金髪ヒーローには全く信用されてないな。
逆の立場なら、オレだって信用しないだろうしな。
ただ、今までより何故か安心出来ているのは、ようやく事実を話す事が出来たからか?
「今オレの持っている"ニーヨン"世界の記憶自体が、実は操作されている記憶って事か?
この世界にない物を想像するのは難しい事だと思うけどな」
「い、いや、記憶がどっちであったとしても、君のマスターもフェリスに関わってくる可能性が高いと思うぜ。
真相はその時に分かるのかもしれない。
いずれにしても、僕は君の事も応援する!」
「・・・」
「リク。当然だと思うがこの話をするのは初めてか?」
「勿論だ。信用される気がしない」
「下手に話すようには見えないから心配はしてないが
この話は俺らだけの中に閉まっておく方が良いな」
「ネルソン君。心配はいらないよ。
だからこそ僕が応援するのだからね」
「・・・じゃあ、仮にリクと俺が対立したらアンタはどっちに付く気なんだ?」
「何という究極な選択!
でもね、僕はその対立を解決する方法を考えるよ!」
ネルソンもオレも言葉にこそ出さなかったが
言いきって決めポーズを決めているヴェロンが頼もしく見えなかったのが、逆に頼もしくあった。
ようやく、濃くて長い1日が終わろうとしていた・・・。
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次の日は、地震の様な振動と騒音が目覚ましとなった。
オレが目を開けた時には二人は居なく
ナビ職の住居から見える外の景色に映っていたのは
"3人の戦士"と"絵"でしか実物を見た事がない巨大なモンスターが戦っているという地獄絵図だった。
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