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あ れ こ れ 考 え る 18
 『Vヴィレッジの殺人』 『星の国のアリス』 『白の恐怖』 『お楽しみの埋葬』 名鉄パレ即売会報告 ネットの古本屋 『かりそめエマノン』 名古屋古書市報告 『神のふたつの貌』 『暗黒童話』 『ネコノメノヨウニ』 『バルーン・タウンの殺人』 

 『Vヴィレッジの殺人』 2001/10/30

 今日は、『月刊小説マガジン』1977年9月号(セルフ出版)100円を購入。「読者からの短編小説ランド」というコーナーでは、投稿者の名前はペンネームなのに、なぜかどの方の住所も、番地までしっかり掲載されているという中途半端な取り扱い。
 この次の10月号で終刊になってしまうのだけど、この号の編集後記でもそんなことはまったく予想もしていなかったようですね。投稿原稿も山のように押し寄せてきているのでしょう。「つくづく小説の免許制度の必要性を感じます」などとのんきに言ってますが、「雑誌刊行にも免許制度が必要だったんじゃない」などと揶揄されちゃうような結果が目の前に迫ってたわけだよね。

 『スウィート・ブラッド』高瀬美恵(平成13年11月祥伝社文庫)読了
 祥伝社文庫の吸血鬼テーマ競作のうちの一作。ミーハーで小学生と張り合って相撲人形を集めているような主婦が吸血鬼になってしまった。しかし、そこにはオシャレで贅沢な生活が待っていた。
 吸血鬼の楽しそうな生活と夫の対照的な態度がいいですね。

 『Vヴィレッジの殺人』柴田よしき(平成13年11月祥伝社文庫)読了
 廟の中で、吸血鬼が十字架に刺されて殺された?吸血鬼は十字架にさわれないので犯人ではありえないが、廟の入り口には吸血蝙蝠が見張りをしているので普通の人間は廟の中に入れず、人間もまた犯人ではありえない。
 女吸血鬼探偵が不可能犯罪の謎を解く吸血鬼ミステリー。これはおもしろいよ。もう少し主要な登場人物を増やせばシリーズ化も可能かもしれないなあ。もっとも吸血鬼特有のミステリーネタを続けることができればの話だけどね。


 『星の国のアリス』 2001/10/29(月)

 以前は、新作は単行本やせいぜいノベルズの出版だけを確認しておけば、だいたい用が足りていたのですが、最近は、徳間デュアル文庫や角川ホラー文庫、祥伝社文庫、幻冬舎文庫などで、第一線作家の文庫書き下ろし作品が多数出版されているので、フォローするのがたいへん。こういう作品が必ずしも書店の新刊コーナーに並ぶとはかぎらないからなんだけど、これだと毎回、文庫棚の隅々まで見なければならないんだよな。せめて出版から1週間位だけでもいいから新刊コーナーに並べて欲しいよなあ。

 今日の古本購入は、
 『みつはしちかこ 恋のおしゃべりノート』ユアコースシリーズ(昭53初版、昭57第7刷 学研)100円
 『鉄腕アトムの秘密』鉄腕アトムこだわり研究会(1993年文化創作出版)400円

 新刊購入は、
 『スウィート・ブラッド』高瀬美恵(平成13年11月祥伝社文庫)
 この本は昨日は買いそびれてしまいましたが、田中啓文『星の国のアリス』、柴田よしき『Vヴィレッジの殺人』と並んで、「吸血鬼」テーマの競作だったんですね。

 『陰陽師 瘤取り晴明』夢枕獏=文/村上豊=絵(2001年10月文藝春秋)読了
 帯に「待望のフルカラー絵物語」とあるように、随所のカラー挿絵が贅沢。はたして文庫化してもこのカラー挿絵が再現されるかどうかはわからないので、この版でおさえておくことをおすすめします。
 前半は瘤取りじいさんそのもの。後半も、今回は晴明は後方に控え、博雅が活躍する物語になっています。このシリーズは、この2人がよい男に描かれておればそれでだいたいよしとなってしまうので、これで不満はないけどね。

 『星の国のアリス』田中啓文(平成13年11月祥伝社文庫)読了
 宇宙船のなかに吸血鬼がいる。どこかにひそんでいるのか、それともすでに乗員の誰かにとり憑いているのか。
 フーダニットの本格SF推理。しかしアリスねたと組み合わせたのはどうだったのか?竹に木を接ぐことになったのではないかとの懸念は残りますが、本格もしてるし、吸血鬼ものとしての新趣向もあるので、オッケー。


 『白の恐怖』 2001/10/28(日)

 今日は「まんだらけ」に行ってみようと思いたち、意気込んでたどりついてみると、まだやってない(;_;)
店が開くのは12時からなんだね。ちぇっ
 しばらく時間をつぶして12時5分前位に舞い戻ってみたら、並んでるよ!およそ30人ぐらいは並んでいるでしょうか。別に開店とかというわけでもないのに、なんで?
 で、店が開くと、その方たちがいきなりレジに並んでしまいました。なるほど、皆さん、本を売りに来ていたのですね。チラシには、「昨年、まんだらけではお客様から買わせていただいたマンガ・TOYSが16億円です」などと書かれているし、うーん、毎日これだけ買っていれば本が集まるわけだよな、と感心しきり。もっとも私はマンガには、さほど興味はないけどね。
 ガラスのショーケースの中には、何万円、何十万円はおろか、何百万円のマンガまである。こんなの誰が買うんでしょう?全く景気のいいことです。
 もちろん私は、そんなレベルのものは買えませんで...(^^;)
 『ニャロメのスターウォーズ大研究』赤塚不二夫(廣済堂カルチャーコミック)500円
 『月刊OUT』昭和53年1月号 ティティちゃんのこれでもSF?映画館(みのり書房)300円
 『月刊OUT』昭和55年7月号 恐怖のアニメ・パロディ大集合(みのり書房)300円
 『月刊OUT』昭和56年3月号 アニメパロディ大特集(みのり書房)300円


 これだけでは物足りないので、やっぱり別の古本屋へ
 『小学校の器楽合奏1』ディズニー編(昭63ヤマハ音楽振興会)200円
 『小学校の器楽合奏2』テレビアニメ編(昭61ヤマハ音楽振興会)150円
   こんなもの買って、いったいどうするつもりなんでしょ?>ワシ(;_;)
 『半七捕物帖』岡本綺堂(旺文社文庫) (ニ)〜(五) 各100円
 『怪奇夜話』日本テレビTVブック(昭46初版、昭48再版 読売新聞社)250円
  日本テレビ系放映の「怪奇十三夜」の中から6作を掲載。
  って、そんな番組知らんがな。
 『まんが名探偵推理クイズ』小学館編(1997年小学館)200円
 『吉本興業殺人事件』桂三枝(1988年扶桑社)100円


 新刊購入は、
 『陰陽師 瘤取り晴明』夢枕獏(2001年10月文藝春秋)
 『星の国のアリス』田中啓文(平成13年11月祥伝社文庫)
 『アイ・アム』菅浩江(平成13年11月祥伝社文庫)
 『Vヴィレッジの殺人』柴田よしき(平成13年11月祥伝社文庫)
 『死にぞこないの青』乙一(平成13年10月幻冬舎文庫)
  どれも読むのが楽しみ。いや、全部読むとはかぎらんけど(^^;)


 『白の恐怖』鮎川哲也(昭34桃源社)読了
 弁護士の佐々は、故高毛礼一氏の妻から、氏の遺言を守るため、甥姪たち5人に合わせて5000万円の遺産を分配する旨の依頼を受ける。この5人の甥姪のうち1人はすでに亡くなっていたが、遺言では亡くなった者がいる場合、その分を遺った甥姪で分配することになっていた。
 遺産贈与のため甥姪たちは白樺荘に集められるが、未亡人の家政婦と弁護士の助手が殺され、吹雪のため山荘は雪で遮断される。そして甥姪たちが順に殺されていく。
 かなりストレートな作品で展開も素直。もともと容疑者の人数も少ないのに、そのうえ何人も殺されては犯人はこの人しかいないよね。だはは...
 医学的には正確に書かれているかどうかはわからないし、法律的にいってもあやしいけれど、作品の骨子のアイディアは悪くないし、描き方もうまくて読みやすい。結末をもう少し後味のいいものにしておけば、こんな絶版のうきめにあわずに済んだのではないかしら。


 『少年探偵 真紅の鱗形』甲賀三郎(昭23世界社)読了
 各界の名士に、真紅の鱗形団から「金を出さないと命を奪う」との脅迫状が届く。原警部は江口探偵と協力して捜査を続けるが、次々と犠牲者が生まれていく。
 探偵が冒頭で、「あなたはさっき学校のそばへ本を買いに行きましたね」「その道でいやなものを見たでしょう」などと言い当てる。もちろんこういうのは毎度おなじみのつかみで、この論理をどう組み立てるかが作者の腕のみせどころとも言えるのだけど、本作の場合、探偵の第六感で言い当てちゃうんだよな。これならどんな話でも作れてしまうだろ。ラクしすぎだぞ>作者
 少年ものらしい作品で犯人もストレートだけれど、万引き少年の存在が話を複雑にしていてナイス。こちらの方の真相はわかりませんでした。もっとも、かなり奇想天外な真相なので、普通こんなのわからんよな。


 『お楽しみの埋葬』 2001/10/27(土)

 今日買った古本は、
 『玲子さんのシネマ・ファッション』西村玲子(1991年講談社文庫)300円
  映画の中のファッションや、映画に登場する贈り物をイラストに描いた、西村玲子のエッセイ集。
  「スタンド・バイ・ミー」の2人の男の子や、「炎の少女チャーリー」のイラストがかわいい。
 『忠臣蔵殺人事件』皆川博子(1986年徳間ノベルズ)100円
 『『脳内革命』の正しい読み方』西田健(1996年コアラブックス)100円
  ベストセラーになった春山茂雄の『脳内革命』批判本。
  「『脳内革命』を読むかぎり、春山先生は、脳の勉強をしたようには思えない。」との、専門の医師のコメントを引用しながら批判していますが、著者もフリールポライターのようで、それほど脳のことには詳しくないみたい。著者の既刊本には、『『調理の達人』の謎』、『小沢健二の謎』などがあるようですが、本書もやっぱりこういった謎本のノリで書いたのかな。
 もっとも私は、『脳内革命』も読んだことがないので、どっちでもいいけどね(^^;


 家に帰ると、
 『少年探偵 真紅の鱗形』甲賀三郎(昭23世界社)3500円が届いていました。
  5年生になった政子は、少年が玩具を万引きしたのを見咎め、「早くあやまって玩具を返しなさい」と注意するが、「いやです。僕は欲しいから盗ったのです。よけいな事はいわないでください」
  なかなか、いいすべり出しです。3500円もしたので読んでしまおうかな。


 『お楽しみの埋葬』エドモンド・クリスピン(昭54ハヤカワ文庫HM)読了
 素人探偵のフェンは、下院議員に立候補し選挙運動を開始する。一方、彼と知り合いのブッシー警部は、その村で起こった殺人事件を捜査していたが、フェンと待ち合わせていた森の小屋で殺害されてしまう。
 フェンは選挙運動を続けながらも、事件の捜査に乗り出す。

 うーん、これは復刊しなくていいです (^_^) 差別的な表現の問題もあるし、そうでなくても冗長とした作品で、傑作とはとても言えません。
 最後に明らかにされる事実によって推理が成立するのだけれど、そのための伏線をもっと強調して出しておくべきだったね。選挙運動や登場人物たちの恋愛など、事件とは無関係な話の方が印象が強くて、重要な人物の行動はまるで記憶に残っていない。だからあとで説明されても、やられたという感じも持てないし、驚きも小さいんだね。
 で、タイトルのお楽しみの埋葬って、なんのこと?(^^;)

 名鉄パレ即売会報告 2001/10/26(金)

 今日は名鉄パレ即売会の初日。でも行けたのは夕方になってから。目録でも注文していないし、ただ行ってみただけでしたが... やっぱりこれといった本はないな(;_;)

 『新・同人雑誌入門』森下節(昭55皓星社)1000円
  「第二章 同人雑誌評」がおもしろい。これは、以前著者が、『文学界』の同人雑誌評に対して送った公開質問状を紹介したうえで、同人雑誌評とはなにかについて論じたものです。
 私は『文学界』自体読んだことがありませんが、この同人雑誌評というのは、毎月平均100冊以上贈られてくる同人雑誌を対象として、そこに掲載されている作品をくまなく読んだうえで、批評し、またベストファイブなども選んでいるものだということです。うーん、これだけでもたいへんな苦行じゃないですか!今でも続いているんでしょうか。今度、立ち読みしてみようと思います>文学界

 『ことわざの力』村瀬学(1997年洋泉社)500円
  著者は新しい視点でことわざを論じようとしている。
  「石に花咲く」とは普通、実際には起こりえないことのたとえと説明される。石と花はまったく異質なもので接点がないから、石に花を咲かすことなど不可能だというのだ。しかし、その理解は正しいのか。事実、苔などは石の上でも花を咲かせることがあるではないか。また進化論では、無機物(石)から生命(花)が生まれたとまでされているではないか。
  著者は、「石の上にも三年」ということわざとも共通するものとして、「石」を堅く閉じられたシステムを表わすものと解釈する。Aという共同体にBが移り住む。Aの共同体の風習、習慣は手堅く、よそ者を受け付けない。Bにとって、まるで石のような堅さをもっているように見える。しかし、Bは努力した。これがまさに「石の上にも三年」だ。こうしてBはAに根をおろす。「石に花咲く」となったのである。
  一風かわった「ことわざ論」ですが、名著の予感がします。

 『にんにくの神秘』小湊潔(昭47叢文社)800円
  著者の肩書は農学博士となっています。理研化学工業株式会社社長。
  5000年の昔、エジプト王朝が建設したピラミッドの内部には労務者に供給したにんにくの数量が古代文字で刻印されているとありますが、えっ、ほんとか?


 クリスピンの『お楽しみの埋葬』を読み始めました。ちょうど半分くらい読んだところですが、ここまでのところでは絶版やむなしという感じ。この後、盛り返しはあるんでしょうか?


 ネットの古本屋 2001/10/25(木)

 かなりの古本屋で、「うちもこの前から、「日本の古本屋」に登録しました」とのお話を伺います。ひとむかし前までは、私も、ネットで古本が検索できるようになったらどんなに便利だろうと思っていましたが、ほんとに現実のものとなったのですね。
 どこのお店も「意外に、けっこう注文が入ってきます」とおっしゃっているので、お互いに利点のあるシステムなのでしょう。
 もっとも私の場合、検索してもほとんどヒットしないので、そんなに利用できてるわけではありません。たぶんこういう検索では、そう珍しい本ではないけれど、できるだけ安く入手しようと思っているような場合にこそ、最も効果を発揮するのでしょうね。
 最近、創元推理文庫のレアなところが業者の市に出品されて、それを落とした業者がネットオークションで売ってしまったという噂が流れました。私はオークションはのぞいていないし、真偽のほどはわかりませんが、オークションで売ってしまうのって、やっぱりなんかもったいないと思ってしまいます。
 やはり業者なら、店売りや目録、即売会で、そうでなければせめて自分のHPで売ってもらいたいと思うんだけどね。

 今日の古本購入は、
 『告白版・めりけんポルノ』小鷹信光(1974年明文社)100円
 『ミステリーからひと皿』貝谷郁子(2000年NHK出版社)800円
 『カブキの日』小林恭二(1998年講談社)200円
  『カブキの日』はきちんと新刊で購入しようと思っていたのに、古本で買ってしまいました。すまん、すまん m(__)m


 新刊購入は、
 『スティーヴン・キング小説作法』(2001年10月アーティストハウス)
 『SFマガジン12月号』(早川書房)
  特集は、音楽SFへの招待。センスのいい特集ですね。
 『号外!しし座流星群』月刊天文ガイド11月号別冊(誠文堂新光社)
  11月19日未明 日本に流星の雨が降り注ぐ!これはたのしみ\(^o^)/
  って、どうせ当日になると、寝てるうちに過ぎ去ってしまうのだろうけど(^^;
 『とむらい機関車』大阪圭吉(2001年10月創元推理文庫)
 『銀座幽霊』大阪圭吉(2001年10月創元推理文庫)
  初出時の挿絵附というのがうれしいですね。いい雰囲気出してます。
 『社会が惚れた男たち』小野俊太郎(2000年7月河出書房新社)
  副題は「日本ハードボイルド40年の軌跡」 こんな本が出ていたとは知らなかった。
 『金曜芸能』報道される側の論理(2001年10月『週間金曜日』別冊ブックレット)
  『買ってはいけない』でベストセラーをとばした『週間金曜日』別冊ブックレットの第3弾。
  しかし今回の内容は、よくあるマスコミ批判のようだなあ。
 『死の殻』ニコラス・ブレイク(2001年10月創元推理文庫)


 家に帰ると、『彷書月刊11月号』が届いていました。
 今回の特集は「第1回古本小説大賞発表」 選考会の議事録が掲載されているのだけれど、選考基準が、小説の出来不出来なのか、古本に対する作者のこだわりなのか、あまりはっきりしていないようですね。
 小説の出来不出来で採点するような賞なら、他にごまんとあるのだから、ここははっきり、作者の古本に対する異常なまでのこだわりという点こそを選考基準にすべきだよね。
 あっ、「『新青年』趣味」第9号が発売になってる。さっそく申し込まなくちゃ。


 『かりそめエマノン』 2001/10/23(火)

 以前、捜索を依頼された本を持って古本屋へ。なんか感謝されてしまいました。
 \(^o^)/
 と、言っても、たいして珍しい本ではないのよね。竹書房文庫の『妖魔の宴』狼男編2、ドラキュラ編2、フランケンシュタイン編2の3冊。ほんとは、このうちの2冊を探しているというお話だったのだけど、どの本だったか忘れてしまったので3冊とも持っていったんだけどね。
 「うれしいなあ、ほんとにこれ探してたんですよ」
 「はあ、でもわりと最近の本ですよね」
 「ええ、でもどこにもないです」
 ないわけないと思うけどなあ。

 「ところで友成純一という作家はご存知ですか」
 「友成純一でも、なにか珍しい本ってあるんですか?」
 「全部、探してます
  えっ?
 「でも友成純一の本って、何十冊も出てますよね」
 「ええ、でも全然見つからないものですから」
 「そうですか。では今後、気をつけておきましょう」
 などとお答えはしたものの、どこの店にも1冊か2冊はあるんじゃない>友成純一
 そういうのをみんな買ゃあいいのか?(^^;


 今日の新刊購入は、
 『かりそめエマノン』梶尾真治(2001年10月徳間デュアル文庫)
  わーい、エマノンの新作だ。さっそく読もっと(^_^)

 『山田風太郎』KAWADE夢ムック(2001年10月河出書房新社)
  各所に散らばっている山田風太郎評をかき集めて、追悼特集として発刊したもの。実は私なんか山田風太郎の作品なんか数冊しか読んでないので、この本、入門書に使わせてもらおうかしら (^^;


 『かりそめエマノン』梶尾真治(2001年10月徳間デュアル文庫)読了
 エマノンシリーズ初めての長編。一世代一個体ずつ子孫を残し、その記憶を引き継ぎながら、三十数億年もの間、旅を続けるエマノン。しかし、今回の生にだけは、双子の兄がいた。妹エマノンとの数奇な運命を、兄の視点から綴る物語。
 20世紀になって、初めてエマノンに双子の兄が現れたのはなぜか。昭和20年から高度成長時代を経て、徐々に現在に近づいていくところから、これはきっと世紀末テーマなのだろうと、早とちりしてしまいました。何もなかったように見える世紀末。しかし、その裏では壮大なドラマが展開されていたのだ、というような展開を期待していると、あっけなく21世紀を迎えてしまい、ひょうし抜け(^^;)
 でも、そういう先入観さえなければ、そこそこおもしろいので読んでみてね。


 名古屋古書市報告 2001/10/20(土)

 今日は即売会2日目なので、落穂拾いのつもりだけれど...
 ほんとに何にもないじゃんよお(;_;)
 「ベン・ケーシーのテーマ」(EP日本ビクター)1000円
  どうせプレーヤーを持っていないので聞くことはできないのだけどね。
 『シャ−ロックホームズを尋ねたカールマルクス』アレクシス・ルカーユ(1982年中央公論社Cノベルズ)100円
  これはダブリ。しかも読んでる、えへん。
  ホームズ、ワトスン、マルクスが登場するだけで、原作のホームズやマルクスとは全く無縁の話です。ストーリーもつまらないよ(^^;)


 これではもの足りないので別の古本屋へ
 『黄金のUボード』アドベンチャースーパーブックス原作田中文雄(1985年廣済堂ノベルズ)290円
 『エイリアン2』アドベンチャーノベルズ(1987年JICC)300円
 『メランコリックな犯罪』武田武彦編(昭56集英社文庫)100円
 『ドクター・エッコ 奇妙なパズルの依頼人たち』デニス・シャシャ(1990年日経サイエンス社)400円
  A,B,Cの3候補が選挙を戦った。Aの支持率は40%、Bは20%、Cは40% ところが当選したのはBだった。これはこの町の選挙のルールの特殊性による結果だったのだが、さて?
  (答)この町の選挙は、二人ずつの間の優劣を決める投票を繰り返すことによって行うルールだった。Aは右派、Cは左派、Bは中間派だった。最初に行われた右派のA、中間派のB間の投票では、左派Cの支持者は中間派のBに投票し、次の中間派B、左派C間の投票では、今度は右派Aの支持者が中間派のBに投票したのだ。


 「売ります買います」と書いた、わりと小さな看板が見えたので、ひょっとして古本屋ではないかと思い、近づいて行ってみると、その下に「山林、田畑」と小さく書いてありました。
 ちぇっ、看板の小ささと、かなり不釣合いな内容だよなあ (^_^)


 今日の新刊購入は、
 『赤ちゃんをさがせ』青井夏海(2001年10月東京創元社)
 『夜陰譚』菅浩江(2001年10月光文社)


 『赤ちゃんをさがせ』青井夏海(2001年10月東京創元社)読了
 『スタジアム 虹の事件簿』の著者の第2作目。ベテラン助産婦を探偵役にした連作短編集、3編収録。
 ある程度納得のいく話は第3話の「赤ちゃんをさがせ」だけで、第1話の「お母さんをさがせ」と第2話の「お父さんをさがせ」は真相が語られても困惑してしまう。どちらも母親候補や父親候補が複数登場するのですが、彼らの行動も、また彼ら以外の登場人物の各々の行動も、真相が語られた後になっても、とても納得のいくものではありません。
 普通そんなことしないよなあと思われるようなことが真相なので、その推理についても場当たり的に見えるのはいたしかたありません。読者側から見れば、それだけの理由でそんなことするわけないだろと思っていると、偶然それが当たってた、という印象を受けるのです。
 解説ではすでに続編を執筆中ということですが、うーん、たぶんもう読まないと思います
 m(__)m


 『神のふたつの貌』 2001/10/18(木)

 『神のふたつの貌』貫井徳郎(平13年9月文藝春秋)読了
 主人公がプロテスタントの牧師であり、かつ神を問うというテーマに貫かれているにもかかわらず、イエスへの言及が一言もないという不思議な話です。救いの問題は出て来るのに救世主は出てこない。ひょっとして、「牧師」という言葉が罠で、実はキリスト教の牧師ではなかったというオチかもしれないと疑って途中で読み返してみましたが、ちゃんとキリスト教って書いてあるんだよな。
 神の正義がテーマになっているのに、キリスト教の神義論についても全く触れられていないし、ヨブ記さえでてこない。それどころか聖書の話すらほとんど出てこず、わずかに創世記の、しかもアダムとイブの場面だけがちょっとだけでてくるにすぎません。牧師が主人公で、しかも神を探求する小説としてはとても不自然に感じたな。

 また、ふた言めには「神との契約」という言葉が出てきますが、「神との契約」とはキリスト教の場合、聖書に他ならないはず。イエス以前の古い契約が「旧約」、イエス以後の新しい契約が「新約」
 にもかかわらず、敬虔なクリスチャンの信徒は、キリスト教とは無関係な「神との契約」を教えるし、それをまた牧師が生涯信じこむという設定にも違和感を感じました。

 構成の趣向も疑問。作者には、別に騙して驚かせてやろうという意図はあまりなかったようですが、そしてまた驚く人もほとんどいないと思いますが、どうしてこんな構成にしたのでしょう。
 また、「 」を使った会話と、『 』を使った会話に使い分けているのもなにか思わせぶりでしたが、これはあまり深い意味はなかったようですね。それとも、これにはなにか意味があったの?

 以上、悪口雑言を積み重ねてしまったようにも思いますが、それは作者が、主人公をプロテスタントの牧師という設定にし、しかも作品のテーマを神にしたことによるものです。そうではなくて、例えば殺人をテーマにした、ただのミステリーだったらこのような疑問は生じなかったと思いますが、この設定をとられた以上、この小説は全く評価できません
m(__)m


 『暗黒童話』 2001/10/16(火)

 『暗黒童話』乙一(2001年9月集英社ノベルズ)読了
 この不快さは絶品!この作者は表現がすばらしくうまいんだね。
 ただし、この作品、あっと驚くというわけにはいきません。
 白木菜深という少女と、「ある童話作家」の二人が、物語を交互に語る形式をとっているのですが、ここで使われているネタは、最近有名な前例があるんだね。しかも、その前例となる作品の方があざやかすぎて、本作はそれに比べるとどうしても見劣りしてしまいます。
 もちろん、これによって犯人も巧妙に隠しているのだけど、とにかく伏線が足りなすぎ。また他の登場人物の行動についての理由付けも、やっぱり伏線もなく、説明がみんなあとづけになっているところも不満。
 この作者のつくる世界は、あまり犯人は誰だみたいな謎解きとは合わないようだし、神秘的とか伝奇的とかというような謎を中心に据えた方がいいんじゃないかしら。読者相手のこのメイントリックを、事前に見破れる人はそうはいないとは思うけど、だからといって、「やられた」と思う人も、まずいないと思うけどね。


 最近,読む本が自転車操業のようになってきました。新刊で読みたい本がなくなっているんです。でも、『暗黒童話』は昼休みで読み終えてしまったので、帰りに読む本がなくなってしまい、なんか出てないかなあと、新刊書店へ。でも読みたいものはまるでなし。まあ、これでもいいかと買ったのが、『神のふたつの貌』貫井徳郎(平13年9月文藝春秋)
 ちょっと読んでみましたが、わー、読みにくい!これ、なんかおかしいんじゃない?三人称とはいえ、12歳の主人公の視点で書かれているはずなのに、この語彙は作者のものだぜ。

 「そうした仏教的輪廻思想は、早乙女がこれまで培ってきた世界観にはあまりそぐわない」
  おーい、ふつう、小学生の思考に対して、「これまで培ってきた世界観」なんて呼ばんだろ。

 「あるひと組の夫婦が今、緊張の水位を徐々に上げようとしている」
  これも語り手の小学生が自分の父母について説明しているところだけれど、語彙も表現も作者のものとしか思えない。三人称で書けば作者が出てきてもいいというもんじゃないでしょ。少年の視点で書かれているのに、作者が語り手として別に登場してきたら、読者が混乱するだけだよね。

 「神は峻烈な存在であり、決して誰彼問わずに救いの手を差し伸べる慈悲の権化ではない。その厳しさが、母を苦しめている」
 やはりこんな表現が続くんだな。こんな無神経な小説、もう読むのやめようかな。

 

 『ネコノメノヨウニ』 2001/10/15(月)

 今日の古本購入は、
 『螺旋階段の闇』ルマーチャンド(昭56講談社文庫)100円
 『ナイト・ムーブス』アラン・シャープ(昭51 KKベストセラーズ)100円
 『フリーマントルが語る素顔のスパイたち』(1991年 新潮カセット)900円
  「スパイ失格の007」「フセイン暗殺計画の失敗」など、興味のある話題もあるけれど、どうせ聞かないだろうな(^^;)
 『われらロンドン・ホームズ協会員』河村幹夫(昭63筑摩書房)800円
 『どろろ草子縁起絵巻』武村知子(1996年フィルムアート社)1200円
  一種のどろろ研究本。アニメ版百鬼丸、少年サンデー版百鬼丸、冒険王版百鬼丸、単行本版百鬼丸の異同にもふれているようです。


 『バルーン・タウンの手品師』松尾由美(2000年文藝春秋)読了
 妊婦の保護区バルーン・タウンを舞台にした本格推理『バルーン・タウンの殺人』の続編。4編収録。
 『バルーン・タウンの殺人』の場合は4編とも、女性刑事、江田茉莉奈の視点で綴られていましたが、今回は作品ごとに語り手が異なります。もっとも探偵役には変更はありません。
 この作品の魅力は、探偵役が善良すぎではないところでしょうね。人に居留守を頼んでおいて、それを忘れて居留守を使われた相手がいる場にノコノコ現れ、怒りをかったりするんだから。


 『ネコノメノヨウニ』田中啓文(2001年7月集英社スーパーダッシュ文庫)読了
 昭和初期から遠未来に至るまで、一匹の黒猫が輪廻転生を繰り返しながら、時空間を超えた旅をする連作短編集......  というふれこみだけれど...
 筆者自身が「実は、どんな短編でも、黒猫を一ヵ所出しさえすれば、この連作の仲間入りをさせることができるわけなのです」と言うように、どの作品もただ黒猫が登場するというだけで、その猫が輪廻転生する黒猫だという趣向はほとんど生かされていません。
 作品自体はおもしろいので、無理にこんな設定にする必要はなかったと思うけどね。


 新刊購入は、
 『暗黒童話』乙一(2001年9月集英社ノベルズ)
 1章を読んだところですが、これもけっこう不快な小説のようですね (^_^)


 『バルーン・タウンの殺人』 2001/10/13(土)

 本日の古本購入は、
 『チャーリーズ・エンジェル デリシャスBOOK』ロードショー特別編集(昭57ロードショー4月号付録)100円
 1977年(米では1976年)から放映された海外テレビドラマ「チャーリーズ・エンジェル」の解説本。日本語の吹替声優の紹介もあるよ。


 新刊購入は、
 『私が愛した名探偵』新保博久編(2001年11月朝日新聞社)
 各界の著名人87人が、自身が愛した名探偵を紹介。
 北村薫氏がエラリー・クイーン、宮部みゆき氏がミス・マープル、喜国雅彦氏が金田一耕助、山本晋也氏が銭形平次、不破哲三氏がペリー・メイスン。執筆陣に不破さんを加えたのはナイス。小泉さんなどでは、またか、といった印象を与えてしまってだめだよね。

 『怪しの世界』橋本治/夢枕獏/いとうせいこう(2001年2月紀伊國屋書店)
 ああ、こんな本も出てたのか。講談「ものいう髑髏」は夢枕獏原作、宝井馬琴口演。この二人の対談や、野村萬斎といとうせいこうの対談なども載ってます。


 『バルーン・タウンの殺人』松尾由美(1994年ハヤカワ文庫JA)読了
 人工子宮が発達した時代に、あえて昔ながらの妊娠・出産を選んだ女性が暮らす町、バルーン・タウンを舞台にした本格推理。4編収録。
 今ごろになっての初読なのだけど、これがめっぽうおもしろい。バルーン・タウンでしか成立しないミステリという意味ではSFミステリの部類にはいるのかもしれませんが、そのシニカルなユーモアの矢が、この現実社会に向けられているところもまた魅力なんだよね。探偵が妊婦というのも異国風だし。
 で、この本を今ごろ読んだおかげで、すぐさま続編の『バルーン・タウンの手品師』(2000年文藝春秋)が読めるわけです。ラッキー(^_^)


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