かくれた名作4 2001/1/22

現代相似禅評論
破有法王(昭45みずほ書房)


えっ、なんでこれがミステリーなの?


ご安心ください。この本はミステリーではありません(^^;

長年の探求本

にもかかわらず、なんでこんな本を紹介するのかといえば、長年の探求本だったのよ>現代相似禅評論

佐橋法龍という和尚さんをご存知でしょうか。えっ、知らないって。まっ、いいです。今回はこの人を紹介する趣旨じゃありませんから。
で、その佐橋氏がいくつかの著作のなかで、何度も言及している本なのです。
昭和十年以来、絶版になっていて、古書店で非常な高価をよんでいるとか、こっそりこの本を公案を理解するたすけにしている師家も少なくないとか。
ほら、こんな文章を何度も読まされると、欲しくならない?(って、ふつう欲しくはならないか(^^; )

公案の答は門外不出

公案はご存知でしょうか。例えば、「趙州無字」

趙州が修行僧に質問を受けた。
「犬にも仏性があるのでしょうか」
趙州がただ一言、「無」と答える。
これはどういう意味か、というのが問題。

仏教では、基本的にどんなものにも仏性がある、という考え方をするのにもかかわらず、高僧の趙州が、犬の仏性について「無」と答えた、これはどういう意味か、ということですね。

公案というのは、こういう問題集です。臨済宗の室内では、修行者が師と、こういう問題について問答して、正解を出せれば合格ということになるのですが、室内で行う問答自体は非公開とされてるため、普通の解説書にのっているのはヒントだけで、答そのものは書かれてないんだよね。

室内の問答を公開

で、その問答の実態を白日のもとにさらしたのがこの本だということなんです。
先ほどの問題の答はなんだと思います?
答は、「むーと絶叫す」
なんじゃ、そりゃ、と思いますか?(^^;
このあとに続く質問には、いくつかのバリエーションがあるんだけど、
例えば、「無と言はずに何と言う」と問われたら、
「うー(有)と絶叫す」

「無と有とを分けて見よ」
「むー(無)うー(有)と区別して絶叫す」

以下、こんな問答が続く ...

いま、ようやくこの本を入手することができ一番うれしいのは、ああ、これでもう古本屋で仏教の棚をみなくてもいいんだ、ということですね。


(追)2002/5/21
ここでとりあげた復刻本の元版(大5周文社)を入手しました。
うれしい〜\(^o^)/
    あれこれ考える30 『現代相似禅評論』
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