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古本屋探訪日記 2005年2月
 週ゴン特製トランプ ブックオフへの本の売り方 ロボット三原則は何のため 川口浩探検シリーズ 『春を嫌いになった理由』 どこがツイン・ピークス? ゲリラが占拠 真の親子丼

 週ゴン特製トランプ 2005/2/24(木)

 DVD特典の池中玄太 Tシャツが送られてきた。でもなぜか黒シャツ。そんなシャツ着てたか、池中玄太。

 新刊書店で、
『週刊ゴング 2005年3月9日号』((株)日本スポーツ出版社)を購入。
 特別付録が、週ゴン特製トランプ<新日本編>というのだが、今回付いていたのはハートだけ。第5回の最終回では全52枚のトランプが収納できる特別ケースが付くのだという。ということは、5週連続で買わなきゃならないのか、オレ。
 それにしても、<新日本編>のあとは、<全日本編>、<ノア編>、<ゼロワン編>、<みちのく編>、<大阪プロレス編>などと永遠に続けるつもりじゃあるまいな。
 池中玄太Tシャツとか、水曜スペシャル探検隊ユニフォームとか、こういうのに弱いからやばいぜ。

 その他購入したのは、
『UMAハンター馬子 完全版2』田中啓文(2005年2月ハヤカワ文庫JA)
 私立田中喜八学園シリーズに続いて、馬子シリーズも完結。これで馬子の名人芸おんびき祭文も見納めとは残念。
『新・世界の七不思議』鯨統一郎(2005年2月創元推理文庫)
 前作の『邪馬台国はどこですか?』も、実はあまり評価していないのに、続編を買ってしまった。しかも読んでしまうのだろうと思う。
『IN POCKET 2005年2月号』(講談社)
 特集は、「宮部みゆき 『ぼんくら』『日暮らし』の世界」

『雨恋』松尾由美(2005年1月新潮社)読了
 引っ越したマンションには雨の日に限って幽霊が出現する。最初は声だけの存在だったのだが、彼女を殺した犯人を調べていくうち、真相がわかるごとに彼女の姿が下半身から徐々に現れてくる。すべての真相が明らかになったとき彼女の顔は現れるのか。その時二人はどうなるのか。
 帯には大森望の「あの松尾由美が、こんなにストレートな切ない恋愛を書くなんて」という惹句。でも今までだっていくつも書いてるよ。「ありえない恋 ラスト2ページの感動」というのもおかしい。淡々と緩やかに書かれているところが魅力の小説なのに、この紹介文はその魅力を十分には表現していないように思われるのだ。


 ブックオフへの本の売り方 2005/2/20(日)

 猫又文庫に入ると、お客が店主と、ブックオフへの本の売り方の議論中。
 「売るなら、新米の店員の方がいいみたいですよ。マニュアルどおりに買ってくれますから。慣れてくると、この本は買ってもだめ、ということがわかってきますから」
 「それにしても、以前と比べて買値は下がってますね。この1年で1/3位になってますから」
 でも聞いていると、そのお客さんが以前売った値は1000円、今回の売値が350円であることが判明。どちらも少額なのでそれだけで一概に1/3に落ちたとは言えないとは思うが、たしかに現在古本屋の買値は下がっているかもしれない。

 ここで2冊購入するつもりで1万円札を出したらお釣りがないという。「釣りは取っといて」と言いたいところだが、2冊で850円では逆に「タダにしといて」と頼んだ方が早い。買うのは次の機会にしましたが、やっぱりお釣りは常時用意しておかないと売り上げにもひびくのでは。

 新刊購入は、
『雨恋』松尾由美(2005年1月新潮社)
『シシリーは消えた』アントニー・バークリー(2005年2月原書房)
『西部劇(ウェスタン)への招待』逢坂剛・川本三郎・菊池秀行・永田哲朗・縄田一男・宮本昌孝(2004年PHPエル新書)
『小説すばる 2005年3月号』(集英社)
 井上夢人「やどりぎ」読了。霊導師あや子シリーズ第6話。今回は霊視の場面がなく普通のミステリー。もっともこれまでの作品も骨子はミステリーだったのだが。

『神様家族2』桑島由一(2003年メディアファクトリーMF文庫)読了
 神様家族の家の前に赤ん坊が捨てられていた。神様の息子の佐間太郎をパパと呼び、佐間太郎のお目付け役の天使をママと呼ぶ。2人ともいつのまにかその気になって本当の親子のような生活が始まる。しかし赤ん坊はこの世に5日間しか居られない。
 傑作になっても不思議ではない作品だったが、結末でぶちこわし。普通に終わった方が数段よかったはず。なんでこんなふうにしたかなあ。


 ロボット三原則は何のため 2005/2/12(土)

 古本購入は、
『NEWTYPE FILMBOOK 金田一耕助の事件簿』(1996年角川書店)400円
 内容は、豊川悦司主演「八つ墓村」フォト、金田一耕助映画&テレビドラマデータなど。発売時にも買っていたかもしれない。
『土曜ワイド殺人事件』とり・みき/ゆうきまさみ(1998年徳間書店SCコミックス)250円


 DVDで、『アイ・ロボット』を視聴
単に、ロボットがロボット三原則を破って人間に対立する、というだけの凡庸な話。ロボット三原則は守られるからこそ推理の条件として働くのであり、簡単に破れるのだったら、もともとロボット三原則など持ち出す必要はないのだ。


『雨やどりはすべり台の下で』岡田淳(1990年1刷、2004年17刷偕成社文庫)読了
 丸善の平台に、「当店の店員お勧め すでに1000人に推薦」、「児童書にしておくにはもったいない」、「当店から初のブーム本」、などのPOP付きで大量に並べられていた本。
 雨森さんが折りたたみ傘を拡げたとたんに大雨が降りだす。特大のすべり台の下のトンネルに逃げ込んだ10人の少年少女たちは、雨やどりの間、一人一人順番に雨森さんについての不思議な体験を話し始める。
 礼を言ったり言われたりするのも、ほめたりほめられたりするのも嫌いな雨森さん。コミュニケーションがテーマだが、児童向けの作品でありながらありきたりの教訓話にはなっていないところが新鮮。

 川口浩探検シリーズ 2005/2/11(金)

 何時か買ってしまうだろうとは思っていたが、やっぱり買ってしまいました、『水曜スペシャル 川口浩探検シリーズ 未確認生物編』
 もちろん、探検隊ユニフォームが付いている初回限定版の方です。
 今、DISC1を見ているところ。冒頭、ボートにいつの間にか蛇が何匹も紛れ込んでくる。隊員があわてて掴んでは川へ投げ捨てているのだが、いずれも、最初から隊員が蛇を掴んでいるところから撮影が始まり、まったく争う様子がない。もちろん冒険エンターテインメントだからそれでいいのだ。

 今日は古書会館即売会の初日。11時半頃到着する。
『タイムカメラの秘密』T.H.シャレード(1983年国土社少年SF・ミステリー文庫16)300円
『クリスマス殺人事件』N・ブレイク(1983年国土社少年SF・ミステリー文庫19)300円
『名探偵辞典』山村正夫(昭49年朝日ソノラマ)300円
『タモリ倶楽部 東京トワイライトゾーン』久住昌之/滝本淳助(1989年日之出出版)200円
『タイムマシンをつくろう!』ポール・デイヴィス(2003年草思社)500円
 今回は安物買いに終始したな。

 上前津に寄ると、吉野屋がいつもにない盛況。そうか、今日は1日だけの牛丼復活の日だったのね。というわけで、私もおやつ代わりに大盛を食べる。
 おやつで大盛?と言われそうだが、今ちょうど田中啓文の大喰らい比夏留ちゃんシリーズを読んでいるところなので、このくらいはなんでもないのだ。
 渡された説明書に拠ると、牛丼が中止になった昨年の2月11日から1年間で牛肉を集め続け、やっと1日分の牛肉を確保したのだという。
 そのかいあって今日のこの盛況ぶり。しかし冷静に考えてみると、まだ安全性が確認されたわけではなかったんだよな。しかも1年間で集めた肉ということになると鮮度の面でもどうなのか。

 上前津の古本屋では、
『新選組』高木彬光(昭30偕成社)1200円

 新刊購入は、
『SFが読みたい2005年版』SFマガジン編集部編(早川書房)
『本の雑誌 2005年3月号』(本の雑誌社)

『大岩屋戸の研究』田中啓文(2005年2月講談社ノベルス)読了
 私立田中喜八高等学校シリーズの最終刊。
 「雷獣洞の研究」は圧巻。このラストのためだけに、延々とこんな話をでっち上げたのか。その活力と蛮力には感心させられた。
 最終話は、全く別のSF的趣向を取り入れての見事な解決。でも、もうこれで比夏留ちゃんの大喰い話が読めなくなってしまうのはさびしい。


 『春を嫌いになった理由』 2005/2/8(火)

 テレビで「救命病棟24時」という番組を見る。
 以前ビデオでこの前のシリーズを見たことがある。ストーリーは面白かったが、救命救急センターなのに、昼間でも救急指令センターが、3次の患者だけでなく、1次や2次の患者の受け入れまで当たり前のように依頼していることに違和感を感じた。
 今シリーズは震災後ということで、「震災と救命救急」というテーマかとも思ったが、舞台となっている病院が救命救急センターらしくなく一般病院とあまりかわりがない様子。病院を舞台にした震災テーマの物語といったほうが適当か。それならタイトルは変えた方がよかったのでは。

 新刊購入は、
『天岩屋戸の研究』田中啓文(2005年2月講談社ノベルス)
 おおっ、また田中啓文の新作だ!私立伝奇学園シリーズの3冊目。でも、今回がこのシリーズの最終話なのか。それは残念。

『春を嫌いになった理由』誉田哲也(2005年1月幻冬舎)読了
 霊能力番組の収録中に次々と起こる異変と、中国から違法入国した兄妹の物語が交互に語られ、ラストで一つの物語に収斂するというオーソドックスな物語。
 殺人犯が出現するという予言のもと、警官の監視の中で放映が続けられるが、ああ、そんなところがミスディレクションだったのか。もっともこれって厳密には必然性ないよな。昔のエピソードの出し方にも不自然さがあるし。楽しく読みやすい小説なので、もう少し書き込んで長くしてもよかった。


 どこがツイン・ピークス? 2005/2/6(日)

 今週、来週と古書会館の即売会が続き、その次の週は新岐阜百貨店と、2月は即売会ラッシュなのだが、連続する即売会では、そのたびに違う本を用意する方もたいへん。そこで店によってはそのまま同じ本を出品してしまうこともあるんだよね。
 最近、『マンガ チロリン村とクルミの木 第2集』(昭和33年)がいろんな即売会で出品されているけれど、10,000円という値段を付けている割にはビニールにも包まず裸で置いてあるので、1冊丸ごと立ち読みすることだって可能。それにしても出品者は本を汚されることなどは懸念していないのだろうか。それとも、いくら汚れても10,000円ということか。


 角川書店が、恩田版ツイン・ピークスと宣伝している
『ユージニア』恩田陸(平17年2月角川書店)を読了したが、まったくの期待はずれ。
どこがツイン・ピークスなのかさっぱりわからない。
 多視点、雑多な描写という、登場人物の誰にも感情移入できない形式が災いして、何より小説に惹き込まれていかないところが致命的。
 また、1つの事件の真相究明に終始しているところからも、ツイン・ピークスとは無縁と思われる。ツイン・ピークスでは、有機的な繋がりがない事件がいくつも脈絡なく起こり、登場人物の全員がバラバラに不条理な運命に翻弄されていく。突然現れる25年後の「赤い部屋」で語り始める謎の踊る男や、この世のものではない大男の3つのアドバイス、丸太に証言させる丸太おばさんなど、超自然的な部分にもたまらない魅力があった。古本屋で中古ビデオを揃えたぐらい好きだったもの。
 とにかく「恩田版ツイン・ピークス」という宣伝文句は、往年の「ツイン・ピークス」ファンに失望を与えるだけなので、撤回した方がいいです。


 
キャプチャー
秋山仁 はじめて
NHKの教育テレビ
を見たとき、ゲリラ
がテレビを占拠した
のかと思いました。
ゲリラが占拠 2005/2/5(土)

 今日は、名古屋古書会館即売会の2日目。
 購入したのは、
『週刊Bing表紙立体作品集 佐野文二郎の削ってポン!おもしろワンサカ特大号』500円
 週刊Bing表紙を飾った立体画集(1993年〜1997年)右の秋山仁のキャプチャーには笑わせられました。
『マンガ夜話 vol.1』(1998年キネマ旬報社)500円
 創刊記念特別座談会を読むつもりで購入。

 DVDで田口トモロヲ主演『MASK DE 41』を視聴。リストラされたサラリーマンがプロレス団体を設立する物語。
 あれれ、昨年公開された作品のはずなのに、今は亡き冬木弘道や荒井昌一FMW元社長が出演していたり、現在負傷のため療養中のハヤブサが試合したりしているのはなぜ?!
 と思ったら、公開が遅れたためで、製作は2001年だったのですね。

『動く家の殺人』歌野晶午(1993年講談社文庫)読了
 信濃譲二シリーズ第三弾。
 仕掛けがあまりにもみえみえなので、まさかそのままで済むとは思わなかったが、そのまま終わってしまったがな。初出のノベルスが出版されたのは1989年だが、うーん、当時でもやっぱりだまされた人はほとんどいなかったと思う。

 恩田陸『ユージニア』を読み始めたが、今のところ『ツイン・ピークス』とは似ても似つかぬもの。


 真の親子丼 2005/2/4(金)

 昼食時に、
 「真の親子丼っていうのが売り出されたら、流行るのでは」
と提案。
 普通の親子丼は、親子丼と銘打たれていても、ほんとは他人丼である。そこで親鶏から採られた卵で作った正真正銘の親子丼、いかがでしょう。
 「それがどうしたの、で終わりじゃない」
 でも、これは数が作れないし、ぜいたくな食べ物のはずなんだけどなあ。


 新刊購入は、
『ユージニア』恩田陸(平17年2月角川書店)
 角川書店では、「恩田版「ツイン・ピークス」!!」と紹介。最近、恩田陸は読んでいないが、『ツイン・ピークス』と聞いては読まないわけにはいかない。しかしほんとに『ツイン・ピークス』と共通の魅力を持つのかどうか。例えば、吉村達也の『時の森殺人事件』も『ツイン・ピークス』の雰囲気を再現しようとしていたが、すべて合理的に解決するというコンセプトのため全く違う作品になってしまった。『ツイン・ピークス』の魅力は、すべての登場人物が不条理な運命に翻弄されるところにあるのだから。

 その他の新刊購入は、
『春を嫌いになった理由』誉田哲也(2005年1月幻冬舎)
『ALL ABOUT 大沢在昌』別冊宝島(2005年3月宝島社)

『神様家族』桑島由一(2003年6月第一刷、2004年7月第六刷メディアファクトリーMF文庫)読了
 高校生の神山佐間太郎は神様の息子である。将来の神様候補として、修行のため家族揃って人間界で暮らしているのだが、神様のパパと女神のママが息子に甘く、なんでも願いがかなってしまい、うんざりした毎日をすごしている。
 ちょっと立ち読みしたらおもしろそうだったので、置いてあった1〜5をまとめて購入し、そのまま1冊目を読了。ギャグセンスも優れているし、こりゃ傑作だわ。まとめて5冊買っといてよかった。

『大映テレビの研究』竹内義和(2005年1月澪標)読了
 20年以上前に3分冊で刊行された同書の第1冊目の復刊。久しぶりに読んだけど面白かった。2、3も読みたくなったけれど、家の中のどこにあるのかさっぱりわからないし、たぶん古本屋で探した方が早いわ。
 それにしても、この澪標(みおつくし)という出版社はどうなんだろ。初出が書かれていないため、読者には、本書がほんとはいつ書かれたものなのかがわからないし、時代を経た何本かの対談を途切れなしに1本の対談のように掲載しているし、誤字、脱字はふんだんだし。


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