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あ れ こ れ 考 え る 65
 『ミステリ十二か月』 春秋社版『ポンスン事件』 明日は御用納め? 『笑酔亭梅寿謎解噺』  『生贄を抱く夜』 『さまよう刃』 まぎらわしい新刊 『推理小説』 また次回も幹事

 『ミステリ十二か月』 2004/12/26(日)

 今日の古本購入は、
『ドカチン 第2巻』板井れんたろう(1972年曙出版AkeBono Comics)500円
 なんとなく懐かしい気がして買ったのだが、ほんとに読んだことがあるのかどうかは判然としない。
『マーチン・ヒューイットの事件簿』アーサー・モリスン(1978年創元推理文庫)200円
『マックス・カラドスの事件簿』アーネスト・ブラマ(1978年創元推理文庫)200円
 この2冊は今後も読むことはないはず。


 新刊購入は、
『格闘探偵団3』小林まこと(2004年12月講談社イブニングKC)
 東三四郎シリーズの続編。
『愚か者死すべし』原ォ(2004年11月早川書房)
 この本はこれまでパスしてきたのだが、今日はサイン本が積んであったので購入することにした。原ォは、最初に読んだ『私が殺した少女』が面白くなくて、敬遠したままになっている作家なのだ。


『ミステリ十二か月』北村薫(2004年10月中央公論新社)読了
 読売新聞に連載された第一部を読んだ後で、挿絵を担当した大野隆司さんとの対談の第二部を読んでびっくり。挿絵にそんな仕掛けがあったとは。
 有栖川有栖との対談では、二人とも『黒死館殺人事件』を絶賛しているけれど、あの作品の面白さは今だによくわからん。そもそも三大奇書のうち私が好きなのは『ドグラ・マグラ』で、しかも私が読んだベストの小説でもあるのだが、『虚無への供物』はくどかった、『黒死館殺人事件』はただただ読むのが苦痛だった、という印象しかない。そうか、読む人によってはほんとにおもしろいのか。


 春秋社版『ポンスン事件』 2004/12/25(土)

 新刊書店で王様と遭遇。
「また、かなり買ってますねえ」
「最近買うのは新刊ばかりだな」
 『未読王購書日記』を読んだ方ならわかるように、王様は古本だけでなく新刊の購入数も半端ではない。紙袋の中をのぞいた限りでは、今日もおよそ10冊、金額にして2万円程度は買っているようだ。
それにしても、なぜ今日は名札を付けてるんですか?
「仕事帰りなんだよ」
 いくら仕事帰りといっても、名札は外し忘れてるだけでしょ。

 この書店では次のものを購入。
『フレンチ警部と漂う死体』F・W・クロフツ(2004年12月論創社)
 クロフツの未訳作品の翻訳。一応クロフツは全部持っているし、コンプリートを守るためにも当然購入。もっとも訳者あとがきによると、「推理小説としては、本書はどちらかといえば素朴な作品」「クロフツ作品としてはあまり謎解き甲斐のない部類に属するかもしれない」とのことなので、今まで未訳だったのもやむをえない作品なのかもしれない。

『高い城・文学エッセイ』スタニスワフ・レム(2004年12月国書刊行会)
 スタニスワフ・レム コレクションの第2回配本。レムの論争的エッセイを収録。

『ハイデガ−拾い読み』木田元(2004年12月新書館)
 「推理小説より面白いハイデガーの醍醐味」
 ハイデッガーは昔から気になる哲学者なんだけれど、『存在と時間』のどこがいいかというと、それはよくわからないんだよね。


 その後、その近くの古本屋へ。
 王様が「すごい本があるぞ」と言うので見てみると、春秋社版の『ポンスン事件』、しかも函付。値段を聞くと16,000円。これって安いんじゃない。王様なんか、今日買った新刊の購入費よりも安いはずだよ。美品だし買っても損はないよなあ。
 この古書店では、
『フィルムメーカーズ15 竹中直人』忌野清志郎(キネマ旬報社)1000円を購入


 その他今日買った本は、新刊では、
『夢野久作 方法としての異界』百川敬仁(2004年12月岩波書店)
『怪奇俳優の演技手帖』佐野史郎(2004年12月岩波アクティブ新書)
 古本では、
『世界SF映画物語』児玉数夫(1985年旺文社文庫)100円


 明日は御用納め? 2004/12/23(木)

 昨年、一昨年と、年末年始の休日は9連休だったのに、今年はただの6連休。ちょっとさびしい気もするが、ものは考え様。次の土曜日から休みだと思えば10連休だ。休み中に、月、火の2日は出勤するが、それでも差し引き休日は8日あるので、まあまあと言えよう。

 しかし土曜日から休日と考えると、明日は御用納めにあたることになる。すると、今日、明日中に年末年始用の本を調達しておかなければならないことになるではないか。驚いたなあ。

 あわてて新刊で購入したのは
『笛吹き男とサクセス塾の秘密』はやみねかおる作/村田四郎絵(2004年12月講談社青い鳥文庫)
『日暮し 上・下』宮部みゆき(2005年1月講談社)
 この2冊はデフォルトで購入。

『メフィスト 2005年1月号』(講談社)

『虚構世界の存在論』三浦俊彦(1995年勁草書房)
 帯には、「贋作の価値とはなにか。タイムトラベルの時間線はどこへ行きつくのか。可能世界論の枠組に依り、虚構にまつわるもろもろのテーマを体系化する」との魅力的な言辞。著者のパラドクス3部作レベルのものを予想していたが、それよりはかなり難解そう。


『十角館の殺人』綾辻行人(1987年講談社ノベルス)読了
 綾辻行人のデビュー作。今読むと犯人はみえみえ。再読だから当然だと言えばそのとおりだが、たとえ初読でも、これだけあからさまに書いてあれば、犯人だけはすぐわかるはず。もちろんそれは、この作品があったからこそ、それに続く作品のレベルや、ひいては読者のレベルが引き上げられたことの結果によるものだし、この作品の意義が損なわれることはないだろう。


 『笑酔亭梅寿謎解噺』 2004/12/18(土)

 今日は名古屋古書会館の即売会2日目。あいかわらずこれといって買いたいという本はなかったが、純粋に読むための本として次の本を購入。
『コカイン・ナイト』J.G.バラード(2001年新潮社)500円
『月の裏側』恩田陸(2000年幻冬社)300円

 また鶴舞の古本屋にも寄り、
『スタントマンのアクション「タネ明かし」運転術』マイクスタントマンチーム代表 三石千尋(昭58年講談社)100円
『ユリイカ 1976年3月号』特集安部公房(青土社)500円

 レンタルビデオ店で『ドグラ・マグラ』を借りる。およそ100分の作品ということなので、原作の一部のみを映像化したとばかり思っていたが、原作の要素のほとんどすべてを取り込んでいるのには驚いた。このビデオだけを見て面白さが理解できるかどうかは別として、ここまでストーリーを放り込んだことには敬意を表したい。正木博士に桂枝雀、若林博士に室田日出男という配役もまたすごい。


『笑酔亭梅寿謎解噺』田中啓文(2004年12月集英社)読了
 これはすばらしい!
 笑酔亭梅寿に弟子入りした竜二は、様々な事件に遭遇しながら芸を覚えていく。名人芸を語らせたらうまい。感動の場面を織り込みながら本格までする贅沢さ。珠玉の本格落語ミステリー7編を収録。落語の楽しさ、芸の本質までがテーマとなり、落語ミステリーと言われる分野の中でもこれこそが落語ミステリーのど真ん中と言える作品群となっている。12月刊行なので2005年のベスト候補にも入れるべき傑作と言えよう。


 『生贄を抱く夜』 2004/12/17(金)

 新刊購入は、
『笑酔亭梅寿謎解噺』田中啓文(2004年12月集英社)
 田中啓文が名人芸を語る。今度は落語だ。
『乱視読者の新冒険』若島正(2004年12月研究社)
『IN POCKET 2004年12月号』(講談社)
 特集は「舞城王太郎」

『生贄を抱く夜』西澤保彦(2004年12月講談社ノベルス)読了
 神麻嗣子シリーズの連作集、7編収録。あいかわらず楽しいシリーズ。
 ところで西澤保彦作品の場合、「○○は、こんな場面で、こんなことをしたことがある」という記述があれば、それが奇異なものであればあるほど、その人物が犯人で、動機も類似のものと結論されることになる。あんなことをした人物だから、今度もこんなことをしたという理屈だ。しかし、ちょっとした事件と殺人事件などのように、二つの事件のレベルに開きがありすぎて単純には類推できないだろうと思える場合も多く、人間の性格というものを単純化しすぎている感じも否めない。
 またどの超能力者も能力の使い方が禁欲的なことが不自然。テレポーテーションができるなら、毎日、交通機関を利用する必要もないし、商品や現金も盗み放題だろう。


 『さまよう刃』 2004/12/11(土)

 黒白さんのサイトに書かれていたのを拝見して、ネット書店に注文していた
『子不語の夢:江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』浜田雄介編(2004年10月皓星社)
が届く。CD-ROM付きの豪華本でした。貴重な情報をありがとうございました。


 昨日買い損なった、
『Mr.インクレディブル』ブラッドバード脚本(平16年12月竹書房文庫)を購入。とんだ二重手間だぜ。
 せっかく本屋まで行ってこれだけ買うのもばかばかしいので、あわせて次のものを購入。
『時間のかかる彫刻』シオドア・スタージョン(2004年12月創元SF文庫)
『カジノのイカサマ師たち』R・マーカス(2004年12月文春文庫)
『魔法探偵』南條竹則(2004年12月集英社)


『さまよう刃』東野圭吾(2004年12月朝日新聞社)読了
 父親は娘の復讐のため少年の一人を殺害し、その少年の仲間を殺すため長野へ向かう。マスコミは「遺族による復讐殺人」として大きく持ち上げ、警察内部でも父親に同情する声が上がる。
 また一気に読ませられてしまった。テーマとしては決して目新しいものではないが、各登場人物の葛藤が胸に迫る傑作。最初から思わせぶりに書いているので何かしているはずだとは思ったが、ああそういうことね。作品の性質上、軽い扱いにしてバランスをとっているところもさすがだ。


 まぎらわしい新刊 2004/12/10(金)

 オフで話題になった『Mr.インクレディブル』を買ったつもりだったのだが、家に帰って確認したら、買ったのは『Mr.インクレディブル キャラクターポストカードブック』(2005年1月河出書房新社)の方だった。まぎらわしいなあ。また買いに行かなきゃならなくなってしまった。がっかりだ。

 その他購入した新刊は、
『さまよう刃』東野圭吾(2004年12月朝日新聞社)
『生贄を抱く夜』西澤保彦(2004年12月講談社ノベルス)
『ゴーストシャウト』EN+佐々木充郭(平16年12月竹書房文庫)
『本の雑誌 2005年1月』(本の雑誌社)
 2004年度ベスト10座談会で話題になっているヘンな本、『THE ANSWER』鈴木剛介(角川書店)は買ってみたい。著者は世界中のあらゆる問題を解決できる答えを見つけたのだという。哲学的な問題から、飲食店の経営にいたるまで、すべて解決できるのだそうだ。こういう大風呂敷を拡げた話は読んでみたくなる。

『キョウコのキョウは恐怖の恐』諸星大二郎(2004年11月講談社)読了
 諸星大二郎、初の小説集、5編収録。メフィストに掲載された3編の他、1990年の『アクションキャラクター増刊』、1992年の『ヤングジャンプ増刊ミラージュ』に掲載された貴重な作品も収録されている。
 いつのまにか読者も異界の彷徨へと引きずられていくが、異界と現実との境界がぼやけていて、どこから異界に入ったのかもよくわからない。いやあ、いいですね、こういう小説。なにより小説がうまい。今後も小説は書き続けてほしい。


 『推理小説』 2004/12/7(火)

 オフの時に、「この本を読んでいたら、これが今年読んだ本のベストになったかもしれません」と、そのとき買ったばかりの
『推理小説』秦建日子(2004年12月河出書房新社)を掲げて発言したのですが、読み終わってみるとこりゃだめ。すみません、撤回します。こんなの推理小説じゃないもの。
 思いついた状況を適当に書き連ねただけとしか思えず、思わせぶりな描写ばかりで、最後までそれらの趣向が有機的につながることはなかった。これでいいなら何を書いてもいいことになってしまうのでは。
 脚本家だけあって場面が頻繁に切り替わるが、映像の手法を小説に用いすぎるのは実験的な試みでない限り、慌しいだけ。それと台詞にむやみに"♪"を付けるのもやめてほしい。シリアスな作品のつもりなのだろうから。

 新刊購入は、
『このミステリーがすごい!2005年版』(2004年12月宝島社)
 いやあ、驚いた。今回のベスト10で読んでるのは『暗黒館の殺人』のみではないか。せめて1位の『生首に聞いてみろ』だけでも買って読んでみよう。
『ライトノベル☆めった斬り!』大森望/三村美衣(2004年12月太田出版)
 最近、ライトノベル評論の本がよく出版されてますね。


 また次回も幹事 2004/12/5(日)

 また次回のオフの幹事になっちゃったよ。
 昨日が名古屋オフだったのだが、プレゼント本の交換で、今回の幹事である王様が持ってきてくれた『私のすべては一人の私』が私に当たってしまったのである。
 オークションに出せば数千円、タイミングしだいでは5桁にもならんとする本ではあるが幹事付きではありがたくない。すでに2冊は持ってるはずだし。そこで幹事付きで誰かに譲ろうとしたが、案の定、引き取り手は皆無。まあ、いいや。「幹事なしだったらほしい」という太田さんに譲る。
 午前2時まで楽しい時間を過ごさせていただきました。幹事の王様始め皆様どうもありがとうございました。めんどくさいから次のオフは王将でいいよね。
 
 ノートパソコンのディスプレイに、縦に1本緑の線が入るようになってしまった。画面上から指で押すと消えるのだが、そのうちまた、いつのまにか出現するのである。悲しいことだ。
 Yohoo BB とかいうところから、突然、当選メールが届く。なにも応募なんかしてないったら。

 目録で注文していた
『ふうちんと山犬』宮下正美(昭36東都書房少年少女小説)2500円が届く。感動ものである。
 おそらく小学校2年のときに読んだ本だ。当時は小学校の1年、2年はまだ図書室は利用できず、クラスの中にあった「学級文庫」という本棚から借りて読んだのだ。
 それまで童話とか伝記のような本は読んでいたと思うが、そういう特別の人ではなく、登場人物が一般の人であるような小説を読んだ原体験に当たる本なのである。

 この間購入した新刊は、
『キョウコのキョウは恐怖の恐』諸星大二郎(2004年11月講談社)
『推理小説』秦建日子(2004年12月河出書房新社)
『ゴースト・ハンターズ』菊池秀行/田中啓文/友成純一/山下定(2004年11月中央公論社新書)
『強烈 イジョーシキ大笑乱』作 かんべむさし/絵 大矢正和(2004年11月講談社青い鳥文庫)
『エラリー・クイーン Perfect Guide』飯城勇三編(2004年12月ぶんか社)
『大極宮3』大沢在昌/京極夏彦/宮部みゆき(平16年11月角川文庫)
『日本一怖い!ブック・オブ・ザ・イヤー2005』(2004年12月ロッキング・オン)

『ほうかご探偵隊』倉知淳(2004年11月講談社ミステリーランド)読了
 これはおもしろかった。そうか、そういうことだったのか。全然真相に気がつかなかったよ。こんな小説が読める少年少女は幸せだね。でもこのシリーズ、各2,000円は少し高い気もするけど。

『黒猫館の殺人』綾辻行人(1992年講談社ノベルス)読了
 綾辻行人の館シリーズでこの本だけは未読だった。で、この真相はあまり意味がないよなあ。主要登場人物の二人がただ勘違いしていただけのことだもの。


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