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 また古書店休業 名古屋古書会館即売会報告 早い者勝ち? 『魔性の眼』 本の解説 古書の修復 『ローウェル城の密室』 本棚のある店舗 『Gの残影』 出稼ぎ中 名古屋古書即売会報告 『ドリームバスター2』

 また古書店休業 2003/4/29(火)

 天気もいいので今日は久しぶりに三重県の品揃い豊富な古本屋「待夢トンネル」に行こうと思い立つ。ところが行ってみると、「しばらく休業します」という貼り紙が......うーん、どうしちゃったのでしょうか?
 「センチュリー21」の「テナント募集」の貼り紙(注1)ではなかったので、今後再開する可能性もあるのでしょうけど、三重県では万葉書房というチェーン店も次々と廃業していることだし、ここの店主とお知り合いである猫又さんに今度事情を聞いてみようと思います。

(注1) センチュリー21というのは東海地区の大手不動産会社。最近廃業した店の多くには「テナント募集 センチュリー21」という看板が貼ってあるのです。


 別の古本屋で、
『夏の死』斎藤肇(1991年講談社ノベルス)200円
『破戒法廷』ギ・デ・カール(1984年創元推理文庫)270円
 どちらもダブり。『夏の死』は、斎藤肇さんがデビュー前からこの完成が大きな目標だったと書いていることに気付き、読んでみたくなって購入。

 新刊購入は、
『猫田一金五郎の冒険』とり・みき(2003年4月講談社メフィストコミックス)
 京極夏彦との合作漫画「美容院坂の罪つくりの馬」を含む連作短編漫画、16編収録。

 舞城王太郎の『九十九十九』を読んでから清涼院流水が気になって、新刊書店でもよく立ち読みするようになった。
 今まで読んだ作品は『コズミック』、『ジョーカー』、『カーニバルイブ』、『19ボックス』。どれも読後感は「作者のひとりよがり」(注2)というものだった。
 しかし、ひょっとしてこれらをメタフィクションとして読むと全く違う印象のものになるのではないか。それが今度の舞城王太郎の作品のメッセージなのでは、と思ったのだ。
 でも文庫で出ている『カーニバル』のどの本のどの部分を立ち読みしても、引きつけられる感じがしないんだなあ(^_^) そういうわけで、いつも買うつもり半分で立ち読みを始めるのに、いまだに購入には至っていないのです。

 (注2) ちなみに「ひとりよがり」を漢字で書くと「独り善がり」、独善ということ。「ひとりよがり」をひとりでよがることだと思っていた人は再認識願います。って、オレのことかぁ(^^;


 名古屋古書会館即売会報告 2003/4/26(土)

 今日は名古屋古書会館即売会の2日目。
 まず、この前の即売会で500円も出して買った『ジャッキー・チェン2大百科』(ケイブンシャ)が300円で売っているのを発見。ちぇっ。やっぱりこういう類の本に手を出すのはやめておいたほうがいいみたいだな。
 さらに、庄司薫のサイン本が1000円で何冊か並んでいる。よっぽど記念に1冊くらい買おうかと思ったが、やっぱり庄司薫じゃいらんなあ。これが奥さんの中村紘子さんのサインだったら買ってただろうけどね(^_^)

 結局購入したのは、
『名探偵ただいま逃亡中』生島治郎(1990年集英社)400円
 生島治郎のミステリエッセイ
『バター・ウォーズ』伊東杏里(1978年新書館)600円
 自称、「SFビッグパロディの本格派」
『ここまで知れば面白いアメリカンTVドラマ120%ガイド』岩井田雅行(2000年求龍堂)500円
 えっ、「ツイン・ピークス」はアメリカでは低視聴率番組だったんですか!あんなに面白かったのに。

 これだけではまだ物足りないので、例によってまた古本屋を廻ってみる。
 くだんの「出稼ぎ中」の古書店は今回の即売会には参加していないので、出稼ぎ中の本も戻っているかしらと思ったら、ほんとに戻ってました>松本清張
 でも、この店も来週の即売会には参加するので、また出稼ぎに出るのだろうな(^_^)

 別の店で、
『モダンホラー読本 恐怖へのご招待』オーパス編集部編(1990年創現社)100円を購入。
 この類の本って、いくらでもあるので、持ってるんだか持ってないんだか、さっぱりわからんぞ。

 それにしても、最近そこらじゅうの古本屋で『ミステリの美学』(成甲書房)を見かけるよ。おそらくかなり大量に古書業界に流したんでしょうね。

 新刊購入は、
『あのころの未来 星新一の預言』最相葉月(2003年4月新潮社)
 『サンデー毎日』2001年11月4日号〜2002年11月3日号に連載された「星ふるふるさと DIALOGUE WITH SHINICHI HOSHI」の単行本化。 『絶対音感』は読んだことがあるけれど、こんな連載をしていたとは知らなかったな。

『新しい宇宙像 上・下』P.D.ウスペンスキー(2002年コスモス・ライブラリー)
 『ターシャム・オルガヌム』同様、高橋弘泰氏の訳。
 なお、氏のHPは → P.D.ウスペンスキーの世界

『赤ちゃんがいっぱい』青井夏海(2003年4月創元推理文庫)読了
 前作と同様、本作も雑に感じる作品でした。隠された真相はどれもありそうにもないことで、どの登場人物の行動も常軌を逸しているのに、明楽先生が真相を推理できてしまうのが不思議だ。
 どうもこの作者とは相性がよくないようで、最初から最後まで物語が空回りしているような印象を受けるし、今後この作者の本を読むのはやめるつもりです。


 早い者勝ち? 2003/4/25(金)

 今日は名古屋古書会館即売会の初日なのだが行ってる暇がなかった。明日も午前中は用事があるので、行くのは昼過ぎになりそう。
 せめてものことと、仕事帰りに古本屋に寄ってみると、某店に来週の即売会(また2週連続!)の目録が置いてありました。そういや、うちにも届いていたけどまだ封も開けてないやと思い、ちらちら眺めてみる。
「クライム・クラブの函付が2000円均一なんですね」
「今回は、早い者勝ちにしようか、抽選にしようか、まだ決めてないんですよ」
 うっ! あわてて注文しようかと思いましたが、2000円は微妙な値段だし、
「また注文ハガキ送らせてもらいますね」と、ぐっとおさえる。


 今日の古本購入は、
『紫色の時差』ユング・ホルツ(昭56年日本経済新聞社)490円
『Aの霊異記』紀和鏡(昭60年講談社)550円
『小説を書きたがる人々』久美沙織(1998年角川書店)200円


 新刊購入は、
『越境する本格ミステリ』監修小山正・日下三蔵(2003年4月扶桑社)
 副題は、「映画・TV・漫画・ゲームに潜む本格を探せ!」
 小説以外のメディアで発表された本格作品のガイドブックとのこと。
『桜宵』北森鴻(講談社)
 葵さんのHP の読書の三昧境4月21日の紹介文を読んで買いたくなった本です。
『怪盗クイーンの優雅な休暇』はやみねかおる(2003年4月講談社青い鳥文庫)
『本格ミステリこれがベストだ!2003』探偵小説研究会編(2003年4月創元推理文庫)
『ミステリマガジン2003年6月号』特集本格ミステリの秘宝(早川書房)
 特集は、「本格ミステリの秘宝」
 マイケル・イネス、シリル・ヘアー、パトリック・クェンティンなどの埋もれた傑作短編を収録。
『SFマガジン 2003年6月号』(早川書房)
 特集は、「拡がりゆく小説スプロール・フィクション特集」
 小川隆氏の解説によると、従来は主流小説とジャンル小説が相対するという構図だったが、現在では主流小説(メインストリーム)のなかにも主流とはいえない、いってみれば伴流(スリップストリーム)というべきジャンル分け不能の作品の系譜が生まれてきているとのことだが......
 これって、それほど目新しい主張ではないのでは?
 うーん、よくわからん(^^;

 

 『魔性の眼』 2003/4/24(木)

 今日の新刊購入は、
『爆笑問題の今を生きる』爆笑問題(2003年4月集英社)
『赤ちゃんがいっぱい』青井夏海(2003年4月創元推理文庫)
 前作の『赤ちゃんをさがせ』、前々作の『スタジアム 虹の事件簿』、ともにピンと来なかったのだが、本作は初の長編ということなのでもう1作だけ読んでみようと購入。


 ネットで注文していた、
『ターシャム・オルガヌム』P.D.ウスペンスキー(2000年コスモス・ライブラリー)が届きました。
 ところが驚いたことに、解説は小森健太朗氏が書いているではありませんか!さらに、これは不明を恥じなければいけませんが、小森健太朗氏のHP 小森健太朗の大きなお茶屋さん には、ずっと前から小森氏とこの本の訳者高橋弘泰氏、両名によるウスペンスキー掲示板まであったのでした。
 これから楽しみに、さかのぼって読ませてもらうつもりです。でも、なんかレベル高そう。


 さらにネット古書店で注文していた本が届く。
『ヒヨコ天国』P.G.ウッドハウス(昭24年蜂書房)3500円
『戀の禁煙』P.G.ウッドハウス(昭24年解放社)3300円
 『ヒヨコ天国』は以前誰かが購入報告をしていたような気がするが、まさかオレではないだろうな?(^^;


『魔性の眼』ボアロー ナルスジャック(昭32年ハヤカワポケット)読了
 翻訳がかなりいい味を出していてシビれた。
 まずは、「 」の使い方。冒頭の1行目は、

 「まさかそんなことが、とレミは思う。そんなことがあり得るわけがない」とはいえ、きのうはおとといより、おとといはその前より少しずつでも余計に歩けたことは事実だ。

 どういう意味かわからず混乱したが、これはみなレミが考えていることだったのである。普通なら、
「まさかそんなことが」とレミは思う。「そんなことがあり得るわけがない」
と書きそうなところの文章だったのだ。
 こういう「 」の使い方はその後もたびたび出てくる。

 「叔父さんはきらいだ、と彼は心の中で思つた。大きらいだ。叔父さんはこわい。おれはきらいだ!」彼はくるりと背中を向けると、自動車の方に戻っていつた。(P42)
 「その気にさえなつていたら、とレミは思つた。思い出そうという気にさえなつていたら……」と、彼は奇妙な心の動揺に思わず体が固くなつた。(P43)

 また、主人公のレミは18歳の少年なのだが、時に、
 − 医者?治療師のことかえ?(P13)
 − だれがそんなことをいつたえ。(P13)
 − どうしてなんにも話してくれなかつたのだえ、おまえは?(P95)
などという言葉使いをするので、誰の台詞かえらく混乱してしまう。

 主要な登場人物にクレマンチーヌという老婦がいるが、彼女が主人公とどういう関係にあるかがなかなか紹介されないので、しかたなく登場人物表を見ると「ヴォブレ家の老婢」などと書いてある。すごい訳だな!奴隷かよ。
 いや、「婢」を辞書で確かめると、「女の奴隷」の他に、「下女、女中」という意味もあることはあったんだけど。

 これじゃあ現在絶版なのも無理はないよな。全面的に改訳しないと復刊はとうてい無理でしょう。
 小説の内容は、主人公が殺意をもって見つめた犬が、さらには彼の叔父までが続いて死ぬことから、自分には魔性の眼があると思い込む少年の話なんだけど、こういう文章に幻惑されてストーリーはよくわからなかったよ(^^;


 本の解説 2003/4/22(火)

 本の解説を小説より先に読むか、後で読むかで分けるとしたら、私は解説を先に読む側に入ります。本を買ったらたいてい巻末をのぞいてみることが多いのですが、その欠点は、それが解説のついてない本だったりすると、いきなり結末を読まされてしまう危険があるということです。

 さて、今日読了した、
『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』アントニー・バークリー(2003年4月晶文社)
は、どうだったでしょうか?
 幸い、この本には真田啓介氏による詳細な解説がついていました。
 でも、私はたまたまその解説を途中から読み始めてしまったものだから、そのちょっと前に、(以下、本書の真相にふれる部分があるのでご注意ください)と警告されていることに気付かず、その結果、読む前から誰が犯人か知ってしまいました。がーん!(;_;)
 もっとも作品の趣向は、名探偵と警察官が競いながら事件を追ったら、探偵小説とは違って実際にはどうなるのかという実験的色彩の強い小説だったので充分楽しめましたけどね。

 ネット古書店からメールが届く。試しに注文してみたウッドハウスの『ヒヨコ天国』と『戀の禁煙』がまだ在庫があるので私のもとに送ってくださるとのこと。もっともそれぞれ3500円、3300円というけっこうなお値段なんだけど、最近全く目録買いもしてないし、このくらい買ってもいいよね。


 古書の修復 2003/4/20(日)

 某店で和書の修復作業をしているところを目撃。修復といっても、スティックのりでペタペタ貼り付けているだけだったけどね。
 それにしても、店内で堂々とこんな作業をしているのはどうかな?(^_^)


 本日の古本購入は、
『恐くて不思議な話が好き 白石加代子の百物語』(1996年劇書房)1200円
 内容は、夢枕獏、阿刀田高、高橋克彦、林家正雀などのエッセイ、白石加代子と筒井康隆などとの対談、演出家鴨下信一の演出ノート、プロデューサー笹部博司による上演の経緯記録など。
『E・A・ポウを読む』巽孝之(1995年岩波書店)600円
『ハメットとチャンドラーの私立探偵』ロバート・B・パーカー(1994年早川書房)250円
『ライオンの飼い方』非日常研究会(1995年同文書院)250円
『塙保己一推理帖 観音参りの女』中津文彦(2002年光文社カッパ・ノベルス)200円


『雷鳴の夜』ロバート・ファン・ヒューリック(2003年4月HPB)読了
 帰路の山中、雷雨にあった狄(デイー)判事一行は、山寺の朝雲観に宿を求める。狄判事は、その一夜の間に、当夜に起きつつある事件はもとより、昨年起きた三件の娘の死亡事件、さらに前観主玉鏡の死亡事件まで解決してしまう。
 たった一夜の物語、しかも150ページという短い作品でありながら、その中に、多彩な登場人物、複数の事件、そのうえ複数の恋愛物語までが詰め込まれており、それにもかかわらず混乱することもなく生き生きとした物語に仕立て上げているところに、著者の手馴れさを感じる。
 巻頭にあるのは目次かと思ったら、図版目次。本書に載せられている絵図の目次だ。これには、本書では挿入されている絵図が重要な手がかりになるということを強調する意図があるのだろうね。


 『ローウェル城の密室』 2003/4/18(金)

 古本屋を廻るもほしい本はなし。ブラックバーンの『薔薇の環』(創元推理文庫)をみかけたので、まあこれでも買っていくかと、レジに向かいながら値段を確認したら1500円。あわてて本棚に引き返して本を戻す。この値段じゃちょっと買えないよ。おそらく持ってる本だしね(^_^) それにしてもこのあたりの本もけっこう値上がってるんですね。

 新刊購入は、
『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』アントニー・バークリー(2003年4月晶文社)
『ユービック スクリーンプレー』フィリップ・K・ディック(2003年4月ハヤカワ文庫SF)
 1974年にディックが書いた、『ユービック』の、現実には製作されなかった映画用のシナリオ。

『ローウェル城の密室』小森健太朗(平7出版芸術社)読了
 この前読んだ『Gの残影』に感心して未読のものも読んでみようと思ったのだが。
 こんなことを言うとおとなげないのかもしれないが、本作品はやはり失敗作なのではないか。二次元の少女漫画の世界で起こる密室事件という触れ込みだが、密室事件の真相は、そこまでの物語とは無関係に成立してしまうもので、そこまで延々と綴られてきた物語には二次元世界という設定はまるで生かされていない。言い換えると、二次元独自の論理が用いられるのは密室事件だけで、それ以外は三次元の物語となんらかわりがない。
 しかもよく考えてみると、実は密室も、これが漫画本の世界だから成り立っているだけで、純粋に二次元世界だから成り立っているわけではない。また、その真相もさほど意外なものではないのだ。
 さらに、この事件に先立って、何代も前の王が同じ塔で死んだときに、しわくちゃな唇が窓いっぱいにくっついていたという謎の伝説についても、同様の論理を用いて謎が解かれるべきではないだろうか。それをせずに最後まで放ったままなことも作品に中途半端な印象を与えている。
 これも、冒頭で二次元世界を舞台にした物語を期待させてしまうところに原因があるからだと思うが、この設定自体はわくわくさせられるものなので、ぜひ本当にその設定を生かした物語を読みたいところだ。


 本棚のある店舗 2003/4/16(水)

 近くで大きめな店舗の建築工事があって、ガラス戸から中を覗いてみると、本棚がいくつも入っている。すわ、古本屋の新店かと思いきや、開店してみたらマンガ喫茶だったのでがっかり。
 ところがこの店、あっという間に閉店してしまい、今はテナント募集の貼り紙がしてあるのだ。まだ本棚も入ったままなので古本屋をやるにはもってこい。店舗が大きめすぎるのは問題だけど、誰かやる気ない?(^_^)

 そろそろ、くろけんさんの新作が出てるかなと思い新刊書店へ。ああ出てました、出てました。
『クレージー・クレーマー』黒田研二(2003年4月実業乃日本社ジョイ・ノベルス)
 ついでに、
『雷鳴の夜』ロバート・ファン・ヒューリック(2003年4月HPB)も購入。
 訳者あとがきによると、著者の名前はこれまで、「ヴァン・グーリック」、「ファン・クーリック」、「ファン・フーリク」、またファーストネームも「ロバート」あり、「ローベルト」ありと、いったいどれが正しいのかという思いは訳者とても同じであるが、今回ついに「ロバート・ファン・ヒューリック」に確定したのだという。同時に主人公の表記も「ディー判事」から「狄(デイー)判事」に変わったのだというが、裏表紙の表記は「ディー判事」のままだよ(^_^)

『クレージー・クレーマー』黒田研二(2003年4月実業乃日本社ジョイ・ノベルス)読了
 ずっと違和感を感じていて、なにか裏があるとは思っていたのだが...... うーん、いくら伏線をはられても、こんな真相、見破りようがないよ(^_^) でももちろん、とんとんと進むストーリーの中に大技を仕掛けた手腕には敬意を表します。


 『Gの残影』 2003/4/15(火)

 今日は名駅テルミナ古書市の初日なのだけど、さすがに朝一番で行ってる暇はないので、職場帰りに寄ってみました。もっとも午後から半休したので、着いたのは12時半頃だったけどね。で、案の定というか、やっぱり並んでました>「出稼ぎ中」の松本清張 (^_^)
 まあそれはいいとして、あいかわらずほしい本はない。適当に買ったのは、
『地底元年』原さとる(1978年毎日新聞社)800円
『覆面レスラーぶるうす』正木亜都(昭60年サンケイ出版)1000円
『ミステリの経済倫理学』竹内靖雄(1997年講談社)500円
 ほんとにどうでもいいような本ばかりだぜ(-_-)


喫茶店で、
『Gの残影』小森健太朗(2003年3月文藝春秋)を読了
 主人公オスロフは、命を助けられたことをきっかけに、著名な神秘主義者ピュートル・デミアノヴィチ・ウスペンスキーに師事する。これによって読者はウスペンスキーに心服しているオスロフの目から、ウスペンスキーとグルジェフの運命的な出会いに立ち会うことになる。
 オスロフは、ウスペンスキーがグルジェフに従い始めることにやきもきし、山師的に見えるグルジェフの正体を暴こうとする。
 ええと、これはほんとにミステリーなんでしょうか?(^^;
 帯には「G=グルジェフとはなに者か!?」と書いてあるので歴史ミステリとも思えるが、実際にはグルジェフの人間像のうちの一面についての仮定が提出されるだけで、読書側からみてもグルジェフの全体像が明らかになったとはとても思えない。これは本書ではグルジェフをあくまで神秘思想家として描いているからだろう。そのため神秘思想家としての側面がある程度明らかにならないと、「グルジェフとはなに者か」との問いに対する答えが出た気がしないのだ。
 なお、300ページ頃には殺人事件も起きウスペンスキーが見事に真相を言い当てているが、これは1つのエピソードとしてしか扱われていない。本書の全編を貫くテーマはウスペンスキーとグルジェフという2つの神秘思想家の出会いにあるんだからね。
 あっ、巻末のインタビューで小森健太朗が「グルジェフ、ウスペンスキー関係のミステリは今後も書く予定です」と答えている。するとやっぱり本書もミステリーのつもりだったのか。でも、本書ではウスペンスキーがとても魅力的に描かれているのでぜひ続編も読んでみたいし、ほんとに書いてよ。


 手持ちの本が喫茶店で読み終わっちゃったので新刊書店へ。(古本は読む気がしないため(^^; )
でも、買いたい本は出ていないので、手ぶらで出る。ちぇっ。
 ただ、ウスペンスキーの『新しい宇宙像(上)(下)』をみかけたときはよほど買ってしまおうかと思ったよ。でもやはり最初に読むなら代表作の『ターシャム・オルガヌム』の方がいいよね。こちらの本は売っていなかったが、小森健太朗の新作が出ることを信じて、予習も兼ねてこの本をネットで注文してみました。


 出稼ぎ中 2003/4/13(日)

 先日訪れた古書会館の即売会に、松本清張の単行本がずらっと並んでいた。最近、よく並んでいるんだよなあ>松本清張
 で、その本が元はどこの古本屋のどの棚に並んでいたかもちゃんとわかっている。こんなことがわかるのは自慢できることなのか?それとも卑下すべきことなのか?(^^;
 いずれにせよ、その空いた棚に代わりにどんな本が並んだのかを確かめるためにその店に行ってみたのだが......
 問題の棚には「出稼ぎ中」という貼り紙がしてあって、空のままでした。なんだよ、「出稼ぎ中」っていうのは (^_^)
 ひょっとしたら火曜日から始まるテルミナ古書市まで続けて出品するつもりじゃないだろうか。「出稼ぎ中」などと言っても、今時、松本清張なんか売れそうもないよね。

 別の店で次の本を購入。
『ナチ娯楽映画の世界』瀬川裕司(2000年平凡社)1100円
 著者は、ナチ時代に上映された映画のほとんどは「無害な娯楽映画」であったと主張する。むろん当時の宣伝相ゲッペルスは「国家の政策に奉仕する映画」を作るべきだと発言したが、その本音は「われわれの国民をよい気分にさせておくこと、それもまた戦争時には重要なのである」という考えだった。この時代に生まれた娯楽映画こそ、「ドイツ映画の黄金時代」と呼ぶにふさわしいものだというのだ。
『消えたマンガ家 1〜3』大泉実成(太田出版)3冊600円

 新刊購入は、
『メフィスト 2003年5月増刊号』(講談社)
『ぐれる!』中島義道(2003年4月新潮新書)
 中島義道の新刊。「ぐれる」ことこそが正しい生き方だということを徹底的に説いた書とのこと。

『陰陽師 太極ノ巻』夢枕獏(2003年4月文藝春秋)読了
 安倍晴明、源博雅コンビの連作短編集、6編収録。蘆屋道満も今ではこの世界に穏やかに取り込まれてしまったようだ。いつもとかわらぬお話だが、この心地よさはもう職人芸とよぶべきもの。


 名古屋古書即売会報告 2003/4/11(金)

 今月は古書市が多い。今日は名古屋古書会館即売会の初日、来週の火曜からは名駅テルミナ古書市、そしてその次の週の25日(金)からは再び古書会館の即売会だ。毎回というわけにも行かないが、とりあえず1つめの即売会ということで、初日に顔を出してみました。
 ちょっと前は、初日の朝一番にはマンガ狙いのお客さんが階段を駆け登って、壮絶な争奪戦が繰り広げられていたのだけれど、最近では朝一番のこの時間帯で客が密集しているのは1階の均一棚の方で、2階はわりとガラガラでゆったり見ていられるので楽だ。

 購入したのは、
『トッコ忍術漫遊記』山田克郎(昭46年春陽文庫)200円
 修行を終えた猿飛トッコは、魚屋の一心太助の世話で海上保安部長大久保彦左衛門と出会い、猿飛佐助とともに八代目霧隠才蔵一味と戦う。なんとなく面白そうなので購入。
『新八犬伝 (上)(中)(下)』石山透(昭49〜50日本放送出版協会)3冊1000円
『ジャッキー・チェン大全科』(昭57秋田書店)500円
『ジャッキー・チェン2大百科』(1983年ケイブンシャ)500円
 セットで買ったつもりが発行元が違ってる。と思ったら、『大全科』と『大百科』でタイトルも違うじゃないのよ。おそらく『ジャッキー・チェン2大百科』の方は見るのもはじめてだと思うけど、いずれにせよ500円も出して買うような本じゃないよね(^^;


 新刊購入は、
『陰陽師 太極ノ巻』夢枕獏(2003年4月文藝春秋)
『小説のゆくえ』筒井康隆(2003年4月中央公論新社)
『本の雑誌 2003年5月号』(本の雑誌社)


『九十九十九』舞城王太郎(2003年4月講談社ノベルス)読了
 現在では、特に筒井康隆が小説の虚構性について論じた以後は、メタフィクションの問題は「小説」というものを考えるにあたって避けることができないものになっている。
 本作は、巻末の参考文献のとおり、清涼院流水のJDCものの各作品、及び聖書をふまえて書かれたものではあるが、小説のテーマは別で、これらを利用して書かれた舞城王太郎の虚構小説として読むべきものだろう。
 目次を見ればわかるとおり、「第一話」「第二話」「第三話」「第五話」「第四話」「第七話」「第六話」と、順序に乱れが生じており、読む前から期待を持たせられる。これは、清涼院流水が日頃、物語を読む順序について言及していることに対して、物語の順序について書き手の問題として反応したものなのかもしれない。
 メタフィクションの要素として筒井康隆があげている「虚構内存在」という点については、本作の登場人物たちも、自分たちが虚構内での存在であることを自覚している。さらに「主人公の偏在」という点についても、主人公を同時に何人も存在させたうえで、「第○話」はそのうちの誰がその世界の作り手であるかという、レベルの高い議論まで行わせている。第七話をある意味で残して第六話で終わるという結末の余韻の絶妙さなども含めて虚構小説の成功作といえるだろう。


 『ドリームバスター2』 2003/4/6(日)

 以前、『ドーベルマンの飼い方』という本を譲ってほしいというメールをいただいて、お譲りしたことがあるのだが、今月になって別の方から再びこの本を譲ってほしいとのメールをいただきました。
 たまたま先週、何の気なしに『素晴らしきドーベルマン』という本を買ったばかりだというのにこのメール、これもシンクロシティというものでしょうか。
 なお、その方は3月29日付日記で私がこの本を買ったという記載を見てメールしてくれたわけではありません。29日付日記はアップが遅れてしまい、実際にアップしたのは昨日。このメールをいただいた後だからです。
 それにしても、私のところに『ドーベルマンの飼い方』を譲ってほしいというメールが2本も来るとは、そういう専門のサイトもあるのでしょうから、これは珍しい現象ではないでしょうか。
 ひょっとしたら検索ではこういう現象も起こるのかと思い、yahooで「ドーベルマン」で検索してみると、あるよ、あるよ、専門的なサイトがいくつも。ページ検索もあわせると27600件もある。もっとも「ドーベルマン刑事」の記事がかなり混ざりこんではいるけれど、それでもこの中から自分のサイトを見つけることなど、とてもできるものじゃありません。
 それで次は「ドーベルマンの飼い方」で検索してみると...... やっ、7件しかない。しかもそのうち2件は私だ(^^; 「ドーベルマン」が27000件もあることを思うと、これはちょっと不思議な事だね。


 古本購入は、
『ジュサブロー芝居人形 いのちなぞなぞ』(昭59年アトリエジュサブロー)900円
『カイエ』特集エドガー・アラン・ポオ(1979年冬樹社)500円


 新刊購入は、
『ドリームバスター2』宮部みゆき(2003年3月徳間書店)
『Gの残影』小森健太朗(2003年3月文藝春秋)

『ドリームバスター2』宮部みゆき(2003年3月徳間書店)読了
 『ドリームバスター』の続編、2編収録。
 前作では主に悪夢を見る地球人の側から語られており、救いの物語になっていたが、本作では2編ともテーラ側から語られており、ドリームバスターの冒険物といった様相が強くなっている。しかも2編とも最終的な決着が着いておらず、文字通りの"To be continued"
 うーん、そういうことなら次作が出るのを待ってまとめて読みたかったかも。
 それにしてもテーラと地球とは、警察の捜査段階における誘導方法といい、裁判における駆け引きといい、ほんとにそっくりなんだね。
 細かいディテールを大切に丁寧に書かれているところはいつものとおり。あとは、話を忘れてしまう前にできるだけ早めに次作を出してほしいだけだ。


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