かくれた名作29 2002/8/4

 季刊NW-SF
 発行人 山野浩一(1970年7月〜1982年12月 NW-SF社)

 NW-SFって、なんですか?

 雑誌の題名は「NW-SF」 愛想のないタイトルだ。普通の人が聞いても、何のことかさっぱりわかるまい。

 第1号の巻頭に掲載されている山野浩一の「NW-SF宣言」によると、NWには、「ニューウエーヴ」、「ニューワールド」、及びアイデア時代のSFへの反発の意味での「ノーワンダー」という意味が含まれているという。
 また、SFも<science fiction>ではなく、<speculative fiction>、すなわち思考世界の小説であると主張している。

 だはは、やっぱりわからんが、インナースペース指向の小説であることは間違いあるまい。1編すら読んでないので本当のところはわからんけど(^^;)

 創刊号の定価は200円でスタートしているが、最終号となる第18号では950円にまで値上がっているところに、経営事情が反映しているように思われる。


号数 内容
第1号
1970年7月
「NW-SF宣言」山野浩一
「夢遊者の宇宙旅行」種村季弘
「内宇宙への道はどれか?」 J・G・バラード
「大麻ゴッコするもの、よっといで」相倉久人
「風太郎の魔界」平岡正明
「アイ・アイ」 河野典生
「怪人二十面相の墓」 嵐山光三郎
「オム」 鏡明
「消えた男のための狂詩曲」 山口隆昭
「書評「異星の客」ほか」山野浩一
第2号
1970年11月
「スペキュレイティヴ・フィクションを求めて」
「サイエンス?フィクション?−その意味を問う 1」 ジュディス・メリル
「就眠儀式」須永朝彦
「地球は出血する」伊東守男
「レヴォリューション No.2」山野浩一
「収束された時間に、都会で」松下正己
「午后の碑文」清水欣也
「紙宇宙船の騎士たち」B・W・オールディス
「近代理性の解体+SF考」田中隆一
「書評」山野浩一
第3号
1971年3月
「特集 J・G・バラード」
「残虐行為展覧会」 J・G・バラード
「インタビュー:J・G・バラード」
「バラードはどこへ行くか」川又千秋
「J・G・バラード作品論」山野浩一
「受難<パッション>」 塚本邦雄
「薔薇色の月」須永朝彦
「座頭一羽田に着き韃靼人と悪企み行動にうつすこと」 平岡正明
「深沢オヤブンの魔法のトックリ」嵐山光三郎
「天使街 1」清水欣也
「共産主義的SF論 1」大久保そりや
「サイエンス?フィクション?−その意味を問う 2」 ジュディス・メリル
「スペキュレイティブ・フィルム」松下正己
第4号
1971年8月
「特集 内宇宙の迷宮」
「ドリーム・ランド」 石川喬司
「ヘイ・フレドリック」 山野浩一
「マリー・アントワネットの天気予報」 佐藤昇
「電気蟻」 フィリップ・K・ディック
「旅行者の休息」 デイヴィッド・I・マッスン
「天使街 2」 清水欣也
「バローズとギンズバーグのSF的世界」田中隆一
「宝瓶宮の天体音楽」田中隆一
「共産主義的SF論 2」大久保そりや
「サイエンス?フィクション?−その意味を問う 3」 ジュディス・メリル
第5号
1972年1月
「鏡のなかへの旅」 中井英夫
「死亡した宇宙飛行士」 J・G・バラード
「題しらず」 伊東守男
「ケルヴィン卿への二通のテレパシー的書簡」 アルフレッド・ジャリ
「蝋燭の焔」 諏訪優
「舌」 川又千秋
「象牙の門へ疾く行かん」 トマス・M・ディッシュ
「天使街 3」 清水欣也
「サイエンス?フィクション?−その意味を問う 4<完結>」 ジュディス・メリル
「遊侠山野浩一外伝」大和田始
「タイガーバウムで真空パック」佐藤昇
「共産主義的SF論 3」大久保そりや
第6号
1972年9月
「再特集J・G・バラード」
「死の大学」 J・G・バラード
「無意識の到来」J・G・バラード
「対談 新しいSF」J・G・バラード/ジョージ・マクベス
「暗殺楽器」 長谷邦夫
「サムワンとゲリラ 上」 山野浩一
「天使街 終回」 清水欣也
「共産主義的SF論 4」大久保そりや
「ピットインでヤマシタ・トリオをディグしていると妙な話が浮かんできた」 河野典生
「水の音 −棒になったある男の夜」諏訪優
「二つの奈落についてのC、あるいは」 土方潤一
「魚」 川又千秋
「エルフェウスの果てで」 かわもと・さぶろう
「考証・重蓮上人」 半村良
第7号
1973年5月
「初紹介英米ポーランド三人集」
「窓」 土方潤一
「北への錯綜」 夜久則彦
「円盤基地」 福士康子
「時は乱れて 1」 P・K・ディック
「森の彼方の地」 須永朝彦
「環章」 半村良
「サムワンとゲリラ 下」 山野浩一
「共産主義的SF論 5」大久保そりや
「ポストアトミック」M・バターウォース
「死者とともに」 エド・ブライアント
「強姦された二つの展望のその一」M・オブチュロヴィッチ
第8号
1973年11月
「特集 いかに終わるか」
「小説世界の小説 1」山野浩一
「風にさらばを告げよ」 J・G・バラード
「街からネコが消えた日」 諏訪優
「密室」 J・スラデック
「夜の公園」 山田和子
「吊された男」 E・ブライアント
「ポグスミス物語」 B・W・オールディス
「あそことここと」 清水欣也
「共産主義的SF論 6」大久保そりや
「時は乱れて 2」P・K・ディック
第9号
1974年9月
「特集SFクリティク」
「サイエンス・フィクションにおけるロボット」スタニスワフ・レム
「サルヴァドル・ダリ偏執狂の如く無垢なる者」J・G・バラード
「透視 あるいは物質界への射影幾何学 上」田中隆一
「小説世界の小説2 ユートピアの敗北(H・G・ウェルズ論)」山野浩一
「共産主義的SF論 7」大久保そりや
「天使」 須永朝彦
「胸の中の短絡」 イドリス・シーブライト
「風飛沫」 静井門人
「時は乱れて 3」 フィリップ・K・ディック
「街の冒険者 1」 佐野美津男
第10号
1975年4月創刊5周年記念号
「真夜中のニュース」黒井千次
「書評「加納信高」」半村良
「猿と大日如来と蒸気機関車」 中村宏
「穴のなかの冒険」 石川喬司
「流れガラス」 サミュエル・R・ディレーニ
「レンズの眼」 ラングドン・ジョーンズ
「透視 あるいは物質界への射影幾何学 下」田中隆一
「小説世界の小説3 A・C・クラークとB・W・オールディス」山野浩一
「共産主義的SF論 8」大久保そりや
「テクノロジイの精神病理学」J・G・バラード/<聞き手>国領昭彦
「技術に呪縛された風景の裡で」国領昭彦
「ヴァギナを使え」 J・G・バラード
「火山は踊る」 J・G・バラード
「時は乱れて 4」 フィリップ・K・ディック
「街の冒険者 2」 佐野美津男
第11号
1976年1月
「あなた、だあれ?」 諏訪優
「火星のフォックスホール」 フリッツ・ライバー
「危険信号機」 トマス・M・ディッシュ
「一から十まで」 マレク・オブチュロヴィッチ
「消えたレオナルド」 J・G・バラード
「褐色人とサド 幻の絵本のこと」 河野典生
「霧の中の人々」 山野浩一
「パトロール」 スタニスワフ・レム
「予言について」種村季弘
「共産主義的SF論 9」大久保そりや
「時は乱れて 5」 フィリップ・K・ディック
「街の冒険者 3」 佐野美津男
第12号
1976年8月
「わが”宇宙文学論”」三木卓
「フィリップ・K・ディック 俗物に囲まれた幻視者」 スタニスワフ・レム
「「魔法入門」「オカルト入門」をめぐって」田中隆一
「時間・空間・人間 NW-SW討論 1」山田和子・国領昭彦・大和田始・新戸正明
「小説世界の小説4 ディストピアの思想性」山野浩一
「共産主義的SF論 10」大久保そりや
「時は乱れて 6」 フィリップ・K・ディック
「街の冒険者 4」 佐野美津男
「スーパー・マーケット・セイゴオ 第一階「まず目玉商品売場から」」松岡正剛
「神の館」 キイス・ロバーツ
「星のオルフェ」 須永朝彦
「オフィスでの会合」 ジャイルズ・ゴードン
「頭の中の機械」 アンナ・カヴァン
「真因」 イドリス・シーブライト
「ステッペン・ウルフ」 川本三郎
「深層珊瑚の囚人」 J・G・バラード
第13号
1977年10月
「かくて世界は破滅を免れた」スタニスワフ・レム
「トルルの機械」スタニスワフ・レム
「みごとな青あざ」スタニスワフ・レム
「アサイラム・ピース 1」 「アサイラム・ピース 2」「アサイラム・ピース 3」「アサイラム・ピース 4」アンナ・カヴァン
「夜に」 アンナ・カヴァン
「時は乱れて 7」 フィリップ・K・ディック
「街の冒険者 5」 佐野美津男
「フリーランド」 山野浩一
「鐘は高らかに」 トマス・M・ディッシュ
「コンクリートの島 1」 J・G・バラード
「時間・空間・人間 NW-SW討論 2」新戸正明・大和田始・国領昭彦・山田和子
「共産主義的SF論 11」大久保そりや
「スーパー・マーケット・セイゴオ 第ニ階」松岡正剛
第14号
1978年8月
「時は乱れて 最終回」 フィリップ・K・ディック
「コンクリートの島 2」 J・G・バラード
「災厄の船」 バーリントン・J・ベイリー
「渇いた神」 イドリス・シーブライト
「到達した数字」 トマス・M・ディッシュ
「アンダーグラウンド・パラダイス」 川本三郎
「腐れ女」 伊東守男
「スーパー・マーケット・セイゴオ 第三階」松岡正剛
「小説世界の小説5 アンチユートピアの形而上学」山野浩一
「共産主義的SF論 12」大久保そりや
「時間・空間・人間 NW-SW討論 3」大和田始・国領昭彦・志賀隆夫・新戸正明・山田和子・山野浩一

「街の冒険者 6」 佐野美津男
第15号
1980年2月
「日本・海外新鋭創作特集」
「累累」 小川項
「囚われの時間」 永田弘太郎
「街の島」 関口佐英
「ヘビー級」 デイヴィッド・ルイス
「心臓地帯の孤独」 ウイリアム・F・ウー
「超低速時間移行機」 イアン・ワトスン
「キャンプ収容 1」 トマス・M・ディッシュ
「なるようになっただけ」 伊東守男
「スーパー・マーケット・セイゴオ 第四階」松岡正剛
「共産主義的SF論 13」大久保そりや
「街の冒険者 7」 佐野美津男
「コンクリートの島 最終回」 J・G・バラード
第16号
1980年9月
「女性SF特集」
「双翅目」 山田弘美
「ある旅立」 ジョアンナ・ラス
「敗者には何もやるな」 グラニア・デイヴィス
「鳥の棲まない町」 福士康子
「いまだ“既視”ならず」 ジョセフィヌ・サクストン
「座談会 女は自ら女を語る」サーニ・エフロン/ 山田弘美/山田和子
「女性SF作家名鑑 −楽しい女大百科」
「性は必要か?」アーシュラ・K・ル=グイン
「傾向分析試論」
「土人形」 山野浩一
「娼婦たち」 クリストファー・プリースト
「キャンプ収容 2」 トマス・M・ディッシュ
「小説世界の小説6 パラ・ユートピアの成立性」山野浩一
「共産主義的SF論 14」大久保そりや
第17号
1981年7月
「対談 三枝和子/山野浩一
「対談 小説空間をめぐって」三枝和子・山野浩一
「A Holler for Desk」 河野典生
「火の河」 ヴォンダ・N・マッキンタイア
「おかしな配属」 ソニア・ドーマン
「蝕の時」 ブライアン・W・オールディス
「我と彼と彼女」 山野浩一
「ペペ・ル・望都」野阿梓
「漫画家ベスト10<アンケート>」
「ウォーム・サンフランシスカン・ナイト」山田和子
「スーパー・マーケット・セイゴオ 第五階」松岡正剛
「共産主義的SF論 15」大久保そりや
「街の冒険者 8」 佐野美津男
「キャンプ収容 3」 トマス・M・ディッシュ
第18号
1982年12月
「特集 ケイト・ウイルヘルム」
「サマセット・ドリーム」 ケイト・ウイルヘルム
「惑星物語」 ケイト・ウイルヘルム
「バグリイ夫人、火星へ行く」 ケイト・ウイルヘルム
「スペキュラティヴ・フィクションのいま」 ケイト・ウイルヘルム/デーモン・ナイト/サーニ・エフロン/山田和子
「女の言葉<ウイルヘルム論覚え書>」山田和子
「小説世界の小説7 現実としての未来世界 −ハインラインとウイルヘルム」山野浩一
「月齢」 山尾悠子
「『暗号学左派』作業ノート」荒俣宏
「共産主義的SF論 16」大久保そりや
「街の冒険者 9」 佐野美津男
「キャンプ収容 最終回」 トマス・M・ディッシュ
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