かくれた名作27 2002/5/19

 戦後初期日本SFベスト集成
 横田順彌編(昭53徳間ノベルズ)

 日本SF黎明期傑作集

 本書は、1946年〜1961までの作品集である。同じ徳間ノベルズの筒井康隆編「日本SFベスト集成」は1960年以降を扱っており、本書はほぼそれ以前のものを守備範囲としているといっていいだろう。
 横田氏によれば、戦後の1945年から60年前後の時期は、日本SF史上、特筆に値するのだという。明治以来の軍国思想を背景に持つ古典SFが姿を消し、60年初頭に米英作品の強い影響を受けて、その形態を整え始める現代SFとの中継ぎの役目となる作品群だというのだ。

 まあそれはさておき(^_^)、今まで持ってるのはどっちか1冊だと思っていたのですが、今般、他の本を探していたら「1」「2」とも出てきてびっくり。2冊とも持ってたんだあ、ということで、またどこかへ行ってしまう前にご紹介しておくことにしました。
 でも、探していた本は出てこなかったんだけどね(^^;

戦後初期
日本SFベスト集成1
「収穫」星新一
「日本陥没」飯沢匡
「宇宙混血」斎藤哲夫
「緑の蜘蛛」香山滋
「民主主義・蟇の油」高田保
「夜の輻射線」大下宇陀児
「彼岸まいり」日影丈吉
「勇士カリガッチ博士」三橋一夫
「紅いの桃源郷」光波耀子
「未知界からの触手」北村小松
「波」丘美丈二郎
「クレヴァス」槇敏雄
「訪客(「溟天の客」改題)」今日泊亜蘭
「環状線」筒井康隆
「この子の父は宇宙線」新田次郎
解説 横田順彌
戦後初期
日本SFベスト集成2
「赤い繭」阿部公房
「ロボット殺人事件」大坪砂男
「α―ケンタウリ」小隅黎
「猫島物語」林耕三
「幻想唐艸」城昌幸
「発光妖精とモスラ」中村真一郎・福永武彦・堀田善衛
「春の日射し」矢野徹
「毒魚」渡辺啓助
「現代変形談」田中英光
「大脳手術」海野十三
「AD二〇〇〇の殺人」木々高太郎
「陰茎人」山田風太郎
「地には平和を」小松左京
解説 横田順彌

 なお、戦前の作品群については、「日本SF古典集成T〜V」横田順彌編(昭52ハヤカワ文庫JA)などがありますね。

日本SF古典集成1、2日本古典SF集成3
日本SFベスト集成

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