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あ れ こ れ 考 え る 33
 幕末未来人  カレーライス定食 『死者を起こせ』 『樹海伝説』 名古屋古書即売会報告 甲府の古本屋 パスタの無効性 『ニッポニアニッポン』

 幕末未来人 2002/7/18(木)

 今日は丸栄古書即売会の初日。まず銀行でなけなしの預金をおろしてからおもむろに顔を出してみたものの、いつもながらたいした本が見つからない。
購入した本は、
『不思議な世界』山田太一編(1993年筑摩書房)650円
『先生歌舞伎が演りたい』海野光子(昭51年芸立出版)500円
『私は漫才作者』秋田實(1975年文藝春秋)1500円

 これだけではものたりないので上前津に寄ると、
『幕末未来人』蓬莱泰三(1986年大和書房)が置いてあるのが目につく。
 うーん、これは初めて見る本だ!値段は1500円とかなりの高額だが預金をおろしたばかりということもあって迷わず購入。実はけっこううれしい
\(^o^)/
 もっとも、内容はさほどおもしろいものではないだろうけどね(^^;

 他には次のものを購入。
『空飛ぶ円盤の三巨人』エム・イーラム他(昭49年潮出版社 函)650円
『書簡 対談 座談』(1989年講談社江戸川乱歩推理文庫64 帯)1000円
『活動写真名せりふ集』池俊行(昭53年三恵書房)500円

 『空飛ぶ円盤の三巨人』は、潮出版社世界こども名作館8の「SFと未来編」にあたる短編集。 「空飛ぶ円盤の三巨人」(リチャード・エム・イーラム)、「いのちをはかる機械」(ロバート・A・ハインライン)、「奇跡をおこした男」(H・G・ウエルズ)、「いきていたいん石」(バレンチナ・ツラフレバ)、「黒い太陽のひみつ」(グレゴリー・グレビッチ)、「宇宙の友情」(マレイ・ラインスター)の6編を収録。


 新刊購入は、
『死人主催晩餐会』ジェリリン・ファーマー(2002年7月ハヤカワ文庫HM)
『首切り』ミシェル・クレスピ(2002年7月ハヤカワ文庫HM)


『山伏地蔵坊の放浪』有栖川有栖(2002年7月創元推理文庫)読了
 1996年東京創元社刊行の文庫化。スナック「えいぷりる」で土曜日定例の山伏地蔵坊が語る推理譚。連作短編集、7編収録。
 ハードカバーでは読んでいないので今回が初読。
 解説にもあるように、探偵役が自ら出題し、自ら回答を出すという形式のため、フェアかアンフェアかが時に微妙になるという独自な世界ができあがっている。
 聞き手をして「手前でしゃべって手前で謎を解くなんぞ卑怯だ」「キタナイではないか。ずるい。これが修験者のやり方だろうか?」などと述懐させているし、語り手の山伏にも「一番重要なあるものについては、不親切な触れ方をしただけですが」などと言わせているのも印象的だ。
 通常の、出題者が別にいてそれに山伏が回答を与えるという形式による事件の真実味に比べ、この形式では語られている事件が、どことなくうさんくさげでおぼろげで、御伽噺のように感じさせる効果まである。
 読者も店の常連たちといっしょに毎回の山伏の話が楽しみになることは必定。今頃言うのもなんだが、続編を期待したい作品だ。

 

 カレーライス定食 2002/7/17(水)

 昼に入った店の今日のランチは「カレーライス定食」
 嫌な予感がしたが、出てきたのはカレーライス、味噌汁、おしんこ、野菜の煮物のセットだった。
 これでもかなり異様なのに、お客の中にはご飯のかわりにトーストを頼んでいる方がいて、それにカレールーがついている。カレールー、焼きたてのトースト、味噌汁、おしんこ、野菜の煮物のセットなのだ。
 そういえば、昔、給食に出たカレーも、パンとカレールーという取り合わせだったのだから、このメニューもそれほどおかしなものではないともいえるが、本当は当時の給食だって異様だったかもしれないと考え直させられるメニューであった(^_^)


『約束』フリードリッヒ・デュレンマット(2002年5月ハヤカワ文庫HM)読了
 1960年刊行ポケットミステリの新訳文庫化。現在の職までなげうって少女を殺害した真犯人を捕らえようとする警部の執念を描く。
 翻訳者の解説には、あらすじがまるごと紹介されているので注意が必要。私は運良く、この本については解説を最後に読んで助かったが、解説から読むこともしばしばあるし、もうちょっと配慮してほしいところだ。


『館という名の楽園で』歌野晶午(2002年6月祥伝社文庫)読了
 館で今起こる事件も、館で起きた過去の歴史も、そして館そのものさえもが、すべて作り物という風変わりな設定の本格推理。
 事件や館の歴史を作り物にした理由はトリック部分の弱さに起因しているともいえるが、実際には、逆に作り物の館にあわせるために、あえて脆弱なトリックを使ったのだろう。登場人物のバランスもとれた好ましい作品だ。


 『死者を起こせ』 2002/7/13(土)

 上前津の古本屋で若い女性が『東海古書店地図帖』を購入するところを目撃。
 こんな時は、「お嬢さん、何かお探しの本でもありますかな」と声をかけてもいいのだが、かえって探す楽しみを奪うことにもなりかねず、またせっかく古書店地図帖まで買って将来りっぱなコレクターになる可能性まであるのに、その芽をここで摘んでしまってもいけないので、ここは黙って見送ることにする(^_^)
 なお、当方は買うものなし(-_-)


 新刊書店では、創元推理文庫版の『煙で描いた肖像画』に遭遇。先月小学館版の同書を購入したばかりなのでパスすることにし、その代わりに同じ創元社から出た、
『山伏地蔵坊の放浪』有栖川有栖(2002年7月創元推理文庫)
を購入。1996年刊行のハードカバーの文庫化。もちろん今なら文庫の定価の金額を出せば容易に古本屋でハードカバーは買えるはずだが、同じ金額を使うのだったら、印税の関係もあるから新刊で文庫の方を買ったほうが有益だよね。

 角川ホラー文庫では、
『ホラー小説大全 増補版』風間賢二(平14年7月角川ホラー文庫)
を購入、これは1997年刊行『ホラー小説大全』(角川選書)の増補改訂版。
 しかし、もう1冊買いたかった『バイオハザード』ポール・アンダーソン脚本/牧野修 が見つからない。帯の「角川ホラー文庫の最新刊」の中には書名があがっているのだが、ほんとに同時に発売してるのか?

他には次のものを購入
『まるごと宮部みゆき』朝日新聞社文芸編集部編(2002年8月朝日新聞社)
『お笑いテロリスト大川総裁がゆく!』大川豊(2002年7月新潮OH!文庫)
『約束』フリードリッヒ・デュレンマット(2002年5月ハヤカワ文庫HM)
 『約束』は映画化を機会にしてHPBの同書を新訳文庫化したもの。これを機会に読んでみる気になって購入。


『死者を起こせ』フレッド・ヴァルガス(2002年6月創元推理文庫)読了
 ちょっと読むのに苦労した作品。フーダニットのみで、他に長編を支えるような謎やサスペンスもなく、中盤も中だるみ。必然性もないままに視点が転々と移りかわるし、感情移入する相手も見つからない。やはり魅力的な登場人物がいてほしいね。


 『樹海伝説』 2002/7/7(日)

 S堂が杁中から鶴舞に移転。以前はミステリ関連の本も置いてあった店だが、最近は戦記もの以外何もない状態になっていた。本をためていて移転時に出すつもりかもしれないとのうわさもあったが、実際にはそんなこともなく、やはり何もない店だ(-_-)


 今日の古本購入は、
『フラッシュ・ゴードンの思春記』聖咲奇(昭63年朝日ソノラマ)1000円
『鉄腕マンガ論』奥田鉄人(1995年マガジンハウス)350円
 『フラッシュ・ゴードンの思春記』は、「宇宙船」2号〜14号に掲載された50年代編と、19号〜33号に掲載された60年代編をまとめて加筆修正したもの。副題に「50年代・60年代超現実映画史」とあるように、時空船「フラッシュ・ゴードン」に300人の乗客を乗せて、1950〜60年代超現実体験ツアーが出発する。


 出張先から送った荷物が届いた。中に入っていたのは、
『狂死行』河村秀明(昭43年自由像文学会)200円
『花の殺意』内藤ルイ(昭61年講談社ノベルズ)200円
『あかつきの怪人』チャータリス(昭44年偕成社)100円
『かつやくするFBI』レイナルズ(昭41年講談社少年少女世界の名著14)100円
『若トラ 掛布選手物語8』原作 越智正典/まんが さだやす圭(昭56少年画報社)100円
 『狂死行』は短編集、自費出版と思われる。『かつやくするFBI』は勉強のために読んでみるか(^^;


『樹海伝説 騙しの森へ』折原一(平14年6月祥伝社文庫)読了
 著者が折原一、タイトルの副題には「騙し」が含まれ、作中作が登場、また随所に「俺」の独白までさしはさまれているとあれば、どうしても叙述トリックを疑ってしまう。
 いやそれどころか著者紹介文の中で、「本書は樹海の迷路にはまった男女を縦軸に、過去と現在が錯綜する叙述トリックの傑作」とまで書かれてしまっている。
 この紹介文自体どうかと思うが、これだけ警戒されながら驚かすことなどできるのだろうかとの興味で読み進めていくことになるので、最終的に叙述トリックらしい叙述トリックが使われていないことがわかったとき驚くかもしれない。
 紹介文は虚偽ともいえるわけだが、そうでなくても肩すかしされたと感じてしまうのは著者が折原一だから。そうでなければきちんとした結末とも思えるだけに、著者のハンディを感じさせられる作品だ。


 名古屋古書即売会報告 2002/7/6(土)

 今日は名古屋の古書即売会2日目。
『マリンエクスプレス vol.1』原作手塚治虫(1980年双葉社アニメ・コミックス)500円
『火星人とカメラ探検』御原見與司 300円
 たいした本は見つからなかったけどやっぱり地元は落ち着くね。

 これだけではもの足りないので、
『ミステリー気になる女たち』西尾忠久(1994年東京書籍)200円
『犬の首』原作草野唯雄/画峰岸とおる(1984年講談社コミックノベルズ)700円
 『ミステリー気になる女たち』はどっちでもいいような本なので、古本でしか買うつもりのなかった本。
 講談社コミックノベルズは何冊か置いてあったけど、単価が高かったので持ってなさそうな本を1冊だけ購入。100円か200円で出てたらもっと買ってたかもしれないけどね。

 新刊書店に寄ると今月の講談社ノベルズが刊行されていたが、山口雅也の『13人目の探偵士』と有栖川有栖の『幽霊刑事』はハードカバーで読了済。北山猛邦は前作の『『クロック城』殺人事件』で懲りてるので、購入候補は倉阪鬼一郎と姉小路祐だけ。
 結局、『青い館の崩壊 ブルー・ローズ殺人事件』倉阪鬼一郎(2002年7月講談社ノベルズ)のみ購入。

 帰りに「まんだらけ」にも寄ってみる。
『赤塚不二夫劇場』原作 赤塚不二夫/著 喰始(JICCアドベンチャーノベルズ)300円
『ジュール・ベルヌの海底大戦争 vol.1、vol2』(1981年双葉社アニメ・コミックス)各350円
『ちばあきおのすべて』(1994年集英社)800円
 いかにも「まんだらけ」らしい収穫だ。

 ついでに猫又文庫にも寄る。お店に来ていた年配の女性のお客さんが、店主に探求本を告げて帰っていく。その方の探求本はルース・レンデルの『乙女の悲劇』なのだそうだ。
「それって角川文庫でしたか?」
「そうですね。角川のルース・レンデルは最近あまりないようですよ」
 そうかなあ?しょっちゅう見るような気もするけどなあ。

「それにしてもワールドカップ以後、すごくヒマになりました」
「はあ、なにか関係あるんでしょうかね」
「わかりませんが、H2なんかは1週間に3日ぐらいしか店を空けてないようですよ」
 それはまた別の理由じゃないのかな。どうせまた古本屋廻りでもしているのでは......(^_^)
 購入した本は、
『ペルシダ王国の恐怖』E.R.バローズ(1983年初版、1991年6刷 国土社)300円
『石川雅望 飛騨匠物語』内藤誠訳(1987年創林社)700円
『果てしなき多元宇宙』横田順彌編(1987年草土文化)500円
 『石川雅望 飛騨匠物語』は、創林社の「江戸幻想小説叢書」の第1巻。帯には「先駆SF小説」とあるが、その後、どこまで続いているのだろうか>「江戸幻想小説叢書」  忘れないうちにネット書店で検索してみます。


 甲府の古本屋 2002/7/5(金)

 山梨に出張。行く前に「自分だけ涼しい思いをさせてもらって悪いね」と言って出てきたのだが、
暑いぞ>甲府!(-_-)
 古本屋で、「甲府は夏は暑くて、冬は寒いんですよ」と、うちわを渡されながら教えてもらいました。それじゃ名古屋といっしょだよ(;_;)

 職場のみやげを物色。木曜日に宅急便で送れば金曜日には着く。私が職場に出るのは月曜だから、どんなみやげを送りつけても、その間にはほとぼりが冷めるだろうと言う算段だ(^_^)
 まずは山梨名産のパンについて地元の方に確認する。
 「確か、上九ミルクパンとかいうのがあったと思うんですが。殺生をさけるためイースト菌を使わないパンだと聞いたことがありますが」
 「そういうのがありましたかね。でも今は作っていないんじゃないかな」
 ああ、やっぱり。でもどんなパンだったんだろ?

 結局、職場で聞いてきたリクエストのとおり、ブドウとサクランボを送ることにする。
 「サクランボは山形産だけどいいですか?」
  えっ?
 「山梨のサクランボはもう終わっちゃったから」
  全然かまいません、ノープロブレム。そんなことわかる人はいませんから(^_^)


 古本屋は7軒まわったのだけど、うち2軒は休み、1軒は純然たるビデオ販売店だったので、本を見ることが出来た古本屋は4軒だけ。しかもそのうちの1軒は店の名前は違うのだけど、中身はブックオフじゃないの。ちぇっ。
 購入した本の前半分は会議の資料なんかといっしょに宅急便で自宅あてに送ってまだ届いてきていないので、手元にある後半分だけを報告。

『毒殺怪事件』伊那勝彦(昭22年高橋書店)2800円
 店の親父が、「この本は伊那勝彦だから高いよ」などと言ってましたが、ほんとに伊那勝彦なんか知ってるのか?おれは知らないけど(^^;
『残酷メルヘン』鈴木いずみ(1975年青娥書房)450円
『いつか黄昏の街で』武田淳一郎(1981年三笠書房)400円
『大トロ倶楽部1』片山まさゆき(アスキー、ファミコン通信4月28日号別冊)400円
『えんぴつコロリン』みつはしちかこ(1988年小学館)100円



 パスタの無効性 2002/7/3(水)

 昼食の割子弁当に入っていたパスタを食べずに残したら、「ついに弱点を見せましたね」と指摘される。
 いや、別にパスタなんぞ嫌いで食べられないというわけのものではない。毒にも薬にもならないというか、食べても食べなくてもいいやというか、私にとってパスタというのはそんな希薄な印象の食物なのだ。食べ物として大事な何かが欠けているのでは、とまで感じられるほどである。ご同意いただけるだろうか?


 明日、明後日は山梨に出張。片道3時間ぐらいかかるから、とにかく忘れてはならないのは列車の中で読む本、それと古本屋地図帖だよな。
 今のところ行くことが決まっているのは甲府駅近くの古本屋だけなのに、職場では「おみやげはブドウがいい」だの、「サクランボにして」などと言われている。そもそも山梨の名産って梨じゃなかったのか?パンなんかも聞いたことがあるような気がする。山梨パン、違ったか?でもおみやげにパンはよさそうだな、安そうだし(^_^)


 今読みかけているのはフレッド・ヴァルガスの『死者を起こせ』だが、行きの列車の中で読み終えてしまっては一大事なので、補てんのため新刊書店に寄る。
『壜の中の手記』ジェラルド・カーシュ(2002年7月晶文社)
 帯には北村薫の「ジェラルド・カーシュがこんなにすごい作家とは思っていなかった」との惹句。うん、これならいいような。

 とにかく出張中に何か1冊でも見つかるといいな。って、出張にあたってそんなことしか考えてない(^^;


 『ニッポニアニッポン』 2002/7/1(月)

 時節がら韓国のニュースキャスター等をテレビで見る機会が多いが、ハングル語はなんとなく重々しく感じられる。軽口をたたくようなことなんかしそうにないもの。
 日本のアニメが韓国などにも輸出されているようだが、ドラえもんなんかの吹き替えもあんな調子なんだろうか?一度聞いてみたいな>韓国語の吹き替えドラえもん


 またN書店、M書店の合同古書目録が届いた。この2店、思想的には対照的なので、なぜ合同目録を出しているのか以前から不思議に思っていたが、今回はN書店がその点について、次のように言及している。
 「おもしろい組み合わせですね」と言われたり、「一緒にやっていて大丈夫か?」などと言われる。前回の合同目録でM書房が改憲問題や小泉首相に対する批判を書いていたが、それに賛同する意を表明する一文を書いて当店に注文する人までいる。おこるで、しかし。


 紀伊國屋書店から、『無情の世界』阿部和重(1999年講談社)が届く。これでひととおり阿部和重の著作は買い終えたので、あとは読むだけだ。
 もっとも他にも読みたい本もあるし、いつ読むかはわからないんだけどね(^^;


『ニッポニアニッポン』阿部和重(2001年新潮社)読了
 ニッポニア・ニッポンはトキの学名。主人公の鴇谷は姓に「鴇」がつくことからトキにシンパシーを感じている。ニッポニア・ニッポンという学名の存続のために行われた日本のトキの保護増殖事業は「人間の書いたシナリオ」という間違った方向に進んでいる。「人間の書いたシナリオ」を全部ぶちこわすため、佐渡トキ保護センターに保護されているトキを殺すか、逃がすかしなければならない。
 私も少しネットをのぞいただけだが、佐渡トキ保護センターや毎日新聞の「『トキ』ウェブ資料館」は実際にウェブ上で見ることができる。本書の帯には「ネットで武装し」との記述があるが、その追体験が実際に可能なようなのだ。もちろん数年たてば不可能になるかもしれず、その意味ではまさにこの時代の文学といえる。


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