OUT THERE SOMEWHERE?
メリルは庭で洗濯物を干していた。シーツが風に元気よくはためいている。今なら一人だ。ヴァッシュは満身の勇気を奮い起こして彼女に話しかけた。
「その、話したいことがあるんだけど・・・」
彼女は冷たい眼差しでヴァシュを見た。怖い。ヴァッシュは気持ちが後退していくのを感じた。だがその瞬間、はためいたシーツの先に彼が見えた。
ナイヴズ。
以前の夢と同じ不安に駆られて、胃が痛んだ。彼はポーチにしつらえた椅子にこしかけ、黙々と本を読んでいた。
「ナイヴズさんがどうかしましたの?」
メリルがヴァッシュの視線の先を捕らえて言った。直球。ヴァッシュはさらなる焦燥感に襲われた。
「いや、ナイヴズは関係ないよ!ホントに!」
ヴァッシュは焦った。このままではこの間と同じだ。今度こそ上手くやらなきゃ。ヴァッシュはメリルの両肩に手を置いて、軽く引き寄せた。メリルは驚いて、腕の中でたじろいだ。
「メ、メリル!お、俺と!その、俺と・・・・け、け」
「・・・け?」
メリルはヴァッシュを見上げて大きく瞬きした。「け・・・」?
ヴァッシュは身体中から汗が吹き出るのを感じた。頭の中が白くなって何も考えられなくなる。熱い。喉が渇く。ああ、どうしよう。でも何とかして言わないと。ヴァッシュは固く目を閉じて、大きく深呼吸した。彼女が他の誰かに取られてもいいのか?嫌なんだろう?ファイトだヴァッシュ!男は度胸!
目を開けると、途端に視界の隅にナイヴズが映った。もう一度深呼吸する。
「メリル!その、俺と、ケッ、ケ・・・・け、け、けけけけけけけけけけけけけけけけ・・・」
「結婚してください!!」
メリルは呆然として、自分を掴んでいる男を見上げた。上気していくのが分かる。なんとか話そうとして口を開いたが、上手く言葉にならず、息だけが漏れた。お互いに硬直したまま数分が過ぎ去る。やがて、ヴァッシュがためらいがちに口を開いた。
「そ、その、いきなりこんなこと言われても、やっぱり返事ってすぐにはできないものかな?」
ヴァッシュがうつむき加減で少し悲しそうに言ったので、メリルは慌てた。
「あ、いいえ。そんなことありませんわ!その・・・ほんの少し驚いただけですわ」
それからメリルは笑うとヴァッシュの背中に腕を回して、胸に顔を埋めた。
「勿論オッケーですわ、ヴァッシュさん。これからもよろしくお願いします」
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