NOT OVER YET
 ヴァッシュが帰宅すると、家中にシナモンの甘い香りがたちこめていた。今日はシナモンドーナツか。ヴァッシュは幸福と期待で胸がいっぱいになるのを感じた。やっぱりあの時勇気を出して良かった。一人悦に入りながら、上着を置くために寝室へ入る。
 「このインテリアいい趣味ね。私このカーテンが好きよ」
彼女は髪をかきあげながら、水色のチェックのカーテンを指差した。
「・・・!!?」
ヴァッシュは声にならない叫びを上げた。どうしてここに!?原因不明の威圧感で喉がつまる。
「ヴァッシュったら、やっぱりやればできるんじゃないの。私とってもうれしい!でもツメが甘いわよ」
レムは軽くウインクした。
「次は家族が欲しいわよねえ。やっぱり理想は3人かしら?」
「・・・エ?」
「もう、とぼけちゃって!150年も生きてるくせにみっともないぞお!」
レムはヴァッシュの額を思いっきり指で弾いた。ヴァッシュは頭蓋骨に亀裂が入ったような痛みを覚えた。
「・・・まさか!?・・・ってなんでそんなことまでレムが気にするんだよ!?というよりもどうしてまたここにいるのさ?」
ヴァッシュの悲鳴混じりの叫びはレムには届いていないようだった。亡霊は相変わらず耳が遠かった。
「やあねえ、もお、照れちゃって〜」
ヴァッシュは思いっきり横っ面を張り飛ばされた。

 「大丈夫ですかヴァッシュさん。随分魘されてたみたいですけど・・・」
メリルはヴァッシュの肩と胸に手を置いて、頬を寄せた。
「ああ、平気だよ。ちょっと・・・ちょっと凄い夢みちゃってね。戸締り見てくるよ。何だか気になっちゃって」
ヴァッシュはベッドから起き上がった。外は砂嵐が吹き荒れていた。窓枠が先程から大げさな音を立てている。
 彼が家中くまなく確認して戻ってくると、メリルはベッドの上にちょこんと腰掛けて待っていた。サイドテーブルの上に置かれた蝋燭の明かりで、壁に小さな影が一つできている。
「ああ、ごめん。寝てて良かったの・・・」
ヴァッシュはそこまで言って口をつぐんだ。
レムはメリルの肩に腕を回してにっこりと微笑むと、ヴァッシュに向かって親指を立てた右手を突き出した。







 暗転。

「ヴァッシュさん!?」




















FIN




あとがき


 オチが下ネタ・・・じゃないけど・・・な代物ですみません(汗)。今回自分が艶っぽい話が書けない事につくづくうんざりさせられました。どうやらこの辺が私の限界のようです。ふしゅー。
 ちなみに「亡霊は耳が遠い」というのは私の大好きなR・A・ラファティの「山上の蛙」という短編小説から。この人の「みにくい海」という短編が私にはエリクス×リィナに変換されます。ヴァメリでもオッケーですが(笑)。12歳の女の子に20歳すぎの男の人が振り回される話です。ラファティ流の変則ラブコメ。←信じない方がいいです

 タイトルはORBITALの曲から。元々ラブコメというよりは、ホラーもどきのノリで書いていたので(えっ?)、Xファイルなタイトルがいいなー、と。副題に使用した"FUNNY BREAK"も彼らの曲から。"FUNNY〜"てのはあんまりな気もしますが。ヴァッシュに。


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