第 7 章
勾玉の結ぶ記憶
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「もういい。お前、部屋に戻ってろよ」
「えっ?」

 腕を引き、立ち上がらせる。

「ちょっと待ってってば」

 抵抗する間も与えず、そのままドアの外へ押しやった。

「これから先は内輪の作戦会議だ。お前は邪魔だ」

 それだけ言うと、部屋のカードキーを放る。慌てて中へ入ろうとする杳を遮り、そのままドアを閉めた。

「おいこらっ、ばかヒロ、開けろよっ」

 ドアをドンドン叩きながら、声を張り上げる杳。叩くだけでなく、どうやら蹴りも入っているような音がした。

 しかし寛也は無視して部屋の奥へ戻る。

「…大丈夫か?」

 露が寛也の顔色を伺う。

「大丈夫だろ。そのうち諦めるから」

 ここで姿をくらますようなことでもあれば、地の果てまででも追ってくるだろうが、ただ、追い出されただけなら、多分、部屋に戻っておとなしくしているだろうと踏んでいた。

 案の定、しばらくもしない内にドアの外は静かになった。

「でも実際、どうなのかな」

 静かになってほっとした所で、ポツリと露が言う。

「杳って、竜王を説得するのに俺達より有効なんじゃないかと思って」

 あの、人形峠での翔とのやり取りが、寛也の頭をかすめる。

 あんなやり方が有効なのだとしたら、かえってやらせたくないと思った。

「それでも連れていけない。みすみす危険だと分かっている所へなんて」
「それもそうだなぁ」
「人間をアテにしても始まらんだろう。さて、作戦会議第二段といくか」

 聖輝がそう言って仕切り直した。


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