第 6 章

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「何!?」

 巨大な炎の柱が巻き上がった。その柱は、次第に広がっていく。このままではこの辺り一帯が焦土と化してしまう。

 聖輝は素早く辺りを見回した。

 自分の最も特異な領分とするところを目に留める。そこには海水が広がっていた。あの炎を覆い尽くす程の力でなくてはならなかった。下手をすれば水蒸気と化すか、融合して更に巨大な大爆発を引き起こすか。賭けだった。

「もう少し考えて戦え、お前らっ!」

 聖輝はいちかばちか、水をかき集める。優が遠ざけた船は既に港にあった。近くには、他に航行している船の無いことも確認する。そして。

 ありったけの海水で作る円柱形のバリアで炎を閉じ込める。

 引き潮なのがつらかった。

 足りるだろうか。

 あっと言う間に炎が迫る。

 なるべく多く、遠くからも海水を集め、何メートルもの分厚い壁を作り上げた。

 炎と水が接触する瞬間。

 激しい水蒸気圧が天空へと吹き上げた。

「結崎馬鹿兄弟っ!!」

 同時に、大爆発が巻き起こった。


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