第 6 章
罠
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結局、帰らないと言い張る杳は、部屋ごと寛也のベッドを占拠した。部屋を追い出された寛也は、渋々弟のベッドに潜り込んだ。
狭くて寝苦しい毛布にくるまっていると、低く潤也が声をかけてきた。
「ヒロには安心するんだ」
「は?」
よく聞こえなくて聞き返す。
「別に…僕は別行動の時間が長かったみたいだし」
「何のことだ?」
しかし、答えはなかった。
「変な奴だな」
呟いて大きく欠伸をする。
「もう寝ようぜ。朝が早いしよ」
「…ん」
小さな声が返ってきた。
幼い頃はこうしてよく一緒のベッドで眠っていた。しかし、十分に成長している高校生の今では、シングルベッドはかなり小さくなっていた。