第 6 章
罠
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「だったらその竜剣を手に入れて、それで戦えば?」
思いついたように言う寛也に、露が呆れたように返した。
「あんた、本当に半覚醒だよな」
「は?」
露の言葉にムッとして見せる寛也に答えたのは潤也。
「竜剣はその持ち主にしか扱えない。他の者が手にしても普通の剣でしかない。神器(じんぎ)としての力は発揮しないんだ」
「神器?」
「そう。たとえ僕達が竜剣を手に入れても、竜剣本来の力を呼び出すことはできない。使えるのは竜王ただ一人なんだ」
「だから竜剣で胸を貫かれて死んだあみやは、竜王に殺された以外の何物でもないってことになるわけ」
潤也と露の説明に寛也は、ふうんと鼻を鳴らしてそっぽを向く。
「ま、こちらで使わないまでも、竜王の手に渡さないようにする方法もあるな」
「そんなことをして効果あるの?」
聖輝の提案に潤也が訝しげに口を挟む。
「竜王はもう一方の竜剣を必要としていないんじゃないかな。だって竜王はあの竜剣を探していないようだから。僕達に刺客はよこすのにね」
潤也の指摘に聖輝は腕組みをして得心したような表情を浮かべる。
行き詰まった空気に、苛々したように口を挟んだのは寛也だった。
「よく分かんねぇこと言ってないで、差し当たってすることを考えろよ」
いつにない建設的な意見だと、要らないことを口にするのは潤也だった。
気を改めて、聖輝が口を開いた。
「そうだな。竜王の誘いに乗るか、竜剣を手に入れるかだ」
「二手に別れる?」
露の言葉に少し考えて。
「いや、竜剣探しはともかく、竜王の元へは分散しない方が賢明だろう」
聖輝は仲間達を見回す。
「全員で、ぞろぞろ集団行動だな」
いかにも気が進まないと言った態の言葉に、それはお互い様だと寛也が呟いた。
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