第 6 章

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「で?」
「俺も一緒に行く」

 寛也が夜遅い訪問者の対応に出ると、自宅まで送って行った筈の杳がそこに立っていた。

「ばかかっ。お前、おとなしくしてるって言ったじゃないか。忘れたのか?」
「言ったけど、状況が変わったし」

 しれっとしてそう言いながら、寛也の脇を擦り抜けて部屋に入ろうとする杳の首根っこを捕まえる。

「どこが変わったってんだよ。敵に捕まった奴が増えただけじゃねぇかっ!」
「だって一般人を巻き込んでんだよ。放っとけないよ」

 理由になっていないと呆れる寛也の手を払いのけ、杳はちゃっかり靴を脱いで上がり込む。その腕をまた捕まえる。

「どっちにしても、もうお前は連れて行けないぞ」
「いや、ついて来てもらった方が良いかもな」

 横から声をかけたのは聖輝だった。

「戦いを回避できる方法があるなら使わないってことはないだろう」
「回避できる…?」

 聖輝の言葉に寛也は眉を寄せる。

「確かに連中の動きは変だ。もともと紫竜は何を思って俺達を覚醒させたんだと思う?あいつに世界征服なんて企む度胸があると思うか?」
「んなの、知らねぇよ」

 寛也は居丈高な口調の少女を思い出して、面白くなさそうに返す。

「竜王の目的も、本当に人界征服なのか、どうなのか知れないしな」
「それって一体…」
「竜王の真意は知れないってことだ。今も昔も」

 何を考えているか分からないと言うよりも、何を思っているのか分からない。聖輝はそう言って、肩をすぼめる。

 と、油断した隙に、寛也は杳に逃げられた。

 味方を得たりと、杳はみんなの集まっている居間の隅にちゃっかり座布団を敷いて、自分の座を確保した。それを見ながら、寛也は大きくため息をついた。

 やっと逃れた災難が再び巡り来たような気分だった。


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