第 5 章
息づく大地
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 聖輝の安全運転で、寛也の家から車で3時間。寛也達は岡山県北部に位置するウラン鉱のある人形峠へ向かっていた。

 どこをどう石竜を捜せば良いものか、寛也は運転する聖輝の横で地図を睨みつけていた。当然、地図にはその案内など載っている筈はなかった。うんうん唸る寛也に、聖輝は鼻先で笑いながら教えてやる。

「お前の例からして、自分の力の源に最も近い所に眠っている可能性が高いな。竜王によってたたきのめされた傷を癒す必要があるからな」
「たたきのめされたって…そりゃそうだけど、もっと言いようがあるだろう」
「じゃあ、コテンパンに伸されたとか、玉砕されたとか」
「もういい、もういい」

 東京で、竜王・翔と対峙した寛也達。

 彼を始めとし、風竜で寛也の弟の潤也、石竜・水穂露の3人は、竜王の圧倒的な力のもと、あっさりと敗北を記した。

 しかし、それぞれにやられはしたものの、何とか竜王の力から逃げのび、自分の力の縁の地へと飛ばされた。

 寛也は火の国阿蘇へ、そしてこれから向かっているウラン鉱で有名な人形峠には石竜・露が待っている筈だった。

 竜王との戦いに参加しなかった水竜・静川聖輝を仲間にしたのは昨日のこと。

 全員が揃えば、竜王である翔にもう一度戦いを挑み、彼のもくろみを阻止するつもりだった。それが現在の彼らの目的だった。

 ふと、寛也は後部座席へ目をやる。杳が黙したまま窓の外を眺めていた。

「今日はおとなしいな」

 聖輝が寛也に耳打ちしする。

「えっ…ああ。あいつ、寝起きは機嫌が悪いから」

 寛也はそう言って、地図に目を落とした。

「…まあいいか。お前一人でもうるさいしな」
「何だよ、それ」

 杳とは反対に、多少態度を和らげてきた聖輝はそう言って笑った。寛也はそんな聖輝に聞こえないように舌打ちする。

 昨夜のことは、言わないでおこうと思った。


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