第 5 章
息づく大地
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「じゃあ出発は明日の朝7時だな」
いつの間に話をまとめてしまったのか、寛也がそう言った。
当然のように杳が反発する。
「反対! そんなに早くに起きれるわけないだろ。何考えてんだよ」
「何考えてるって…お前、学校行くのにいつも何時に起きてんだよ? 俺んちと違って、お前の家は学校から遠いだろうが」
「学校には、8時までに起きれたら行くことにしてる」
杳はさらりと言い返す。
「お前がしょっちゅうサボるのは、もしかして寝坊するからか?」
「他に何の理由があるって? 2時間目から出席するのもだるいし。前はこれでも行ってたんだけど、段々面倒になって」
さしもの寛也も、この答えにこめかみを押さえながら呟いていた。
「怠け者…」
人のことは言えた義理ではないと、突っ込みをする者がいなかったのは寛也にとって幸運だった。
「とにかく、起きられないヤツは置いて行くからそのつもりでいろ。分かったな」
「ずるいっ! それが恩人に対して言う言葉?」
「誰が恩人だ!」
「溶岩の中から助け出してやったじゃない」
「お前に助けられた覚えはないぞ」
聖輝は二人の会話にうんざりしながら立ち上がる。
「あれ、どっか行くの?」
杳が見とがめて声をかけてくる。それを一瞥して、だるそうに答えた。
「帰るんだ」
「泊まって行けばいいのに」
「明日の7時だろ。仕方ないから迎えに来てやる」
半分はこの二人を放っておいたのでは、日中のように町中火の粉を撒き散らして騒動を起こしかねないという心配から、半分は仲間に加わると言ってしまった手前、後へは引けない意地から、聖輝は力いっぱい譲歩をしてそう言った。
が、この二人にはそれが通じるかどうかは分からないが。
「単独行動は危険だよ。ね、泊まっていこうよ」
杳だった。
「仲間にはなったが、俺はお前らと寝食を共にするつもりはない」
「格好つけて。本当は寝相が悪いんじゃない?」
そう言った杳を睨みつけるが、まるで気づかぬ様子だった。
「とにかく俺は帰る。気に入らなければいつでも仲間から外してもらって構わんがな」
後方で何やら文句を言っている杳にはもう目もくれず部屋を出た。
* * *