第 5 章
息づく大地
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「ここからだと、3時間も走れば目的地だよな」
地図を広げてそう言ったのは杳だった。
取り敢えず作戦会議をしようと言うことで、干渉する家族のいない寛也のアパートが選ばれた。
と言うよりは、杳に強引に決められてしまった。
東京で翔達に敗北を記して4日目のことだった。
寛也を捜し出し、聖輝を仲間に加えて、とりあえず今のところは順調に事は進んでいた。
残るは寛也の弟の潤也と、これから向かおうとしている場所にいると思われる水穂露(みずほあきら)の二人だった。
「3時間と言うことは、もしかすると俺の車を使う気か?」
聖輝が嫌そうな表情を向けるのに、杳は気づかぬ様子で答える。
「ん。ヒロ兄の背中に乗るより快適だし。何なら運転、代わってやるよ」
「お前、自動二輪の免許しか持ってないだろう?」
寛也が口を挟む。
「持ってないけど、運転ならしたことあるよ」
「それ、無免許!」
やれやれと、聖輝はため息をつく。こいつらの口車に乗せられて仲間に加わったが、やはり早まったと後悔しそうだった。
勝算など無いことは知れていた。
かつての戦いで竜王を相手に全員で束になってかかっていった。それでもようやくの勝利を収めることができたに過ぎない。
それをいまさら繰り返すのだ。
しかも今度は全員が味方についているわけではない。
加えて不確かなこの記憶と、不確かな竜身を使って、どうすれば良いのかも浮かばない。
それなのに。