第 4 章
静かなる水面
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 状態は学舎の外へ出ても同じだった。

 ここまできて、聖輝は首を傾げることになる。

 光竜はその巨体を空中に浮かび上がらせたまま、光を放ちながらもそれ以上何の危害も加えようとしていないのだった。

 罠かとも思った。

 しかし聖輝をおびき出すだけならこんなことをしなくとも、呼べは現れるだろうに。

 また、今朝のように自分から姿を見せれば済むことである。

 ならば何の為に。

 聖輝は高く浮かぶ光を、まぶしそうに見遣る。

 いつの時も真実を照らし、いきとしいけるものの本質を見抜くと言われてきた光竜。

 それが、興味のない聖輝が客観的に見てさえ、間違っていると思える竜王に従っているのだった。

 真実を見ることを忘れてしまったのか、それとも他に真実は存在するのか。

 そして、彼は何を見ようとしているのか。

 確かめたくなって、しかし思い止どまる自分。

 立ちすくむだけの自分。

 周囲を見回し、その中に止まろうとする自分。

 何とか今の暮らしにしがみつこうとする自分。

 ――臆病者。

 そんな声が聞こえた気がした。

 ふわり。

 光が揺らめいた。

 誘うように、ゆっくりと旋回する。

 聖輝はそれをしばらく見送って、それから駆け出す。

「おいっ、静川」

 聖輝は、友人の言葉に振り向きもしなかった。


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