第 4 章
静かなる水面
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「おい、静川ってば」
背中をたたかれ、聖輝は我に返った。
「何ぼけーっとしてたんだ? 次、日文だろ、一緒に行こうぜ」
クラスメートの明るい顔がそこにあった。
聖輝はほっと溜め息をついて、同意の言葉を綴った。
朝からいろいろあって、どうやら調子が狂ってしまったのかもしれない。
大学に来る途中の道では老人を轢きそうになったし、信号無視をして張り込んでいた警察に捕まるし、踏んだり蹴ったりである。
それを話すと、その友人は大声を上げて笑ってくれた。
せめてもの救いは、今日は次のコマで講義も終わり、早々に帰れるということであろうか。
聖輝は県外通学を口実に、サークル活動には参加していなかった。
が、その実は、昔から自分が人に馴染んでいけなかったからだった。
理由は、知っていた。
自分が他者と異質だと、覚醒する前から感じていたのだった。
人の中に混じっていても、本質の違いはどうすることもできなかった。
それがいつの間にか癖になって、自ら人との交わりを避けることが多くなっていった。
* * *