第 2 章
宝玉の戦士
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ソファに腰掛けてゆったりと、という気分ではないが、それぞれに座を取った。
これ見よがしにルームサービスまで要求したのは杳だった。
表面上くつろいだ表情をしながら、翔の――実際に説明したのは雪乃であったが――話を聞いた。
「で、残りの地竜王とやらを捜して、どうするつもりなんだい?」
紗和は行きがかり上、主に進行役を務めなければならなかった。
「仲間に加えるか、口を挟んでくるようなら消えてもらいます」
「物騒なことを言う。それって犯罪だってこと知っているよね?」
「当然」
「それでもするって? でも君の最初の行動から察するに、初めからその地竜王には死んでもらおうと思っていたんじゃないの?」
そうだねと、潤也が相槌を打つ。
「こうでもしないと意固地な彼のことだから、覚醒しないんじゃないかと思って」
翔はわずかに口元を上げて言う。不審そうな顔をして見せたのは杳。
「そうかな。もし僕達の中にその地竜王っていうのがいて覚醒したなら、どんな理由であれ自分に刃を向けるような者の仲間になるかな。少なくとも好感をもつことは難しいな。となれば敵にまわるわけだから、君としてはわざわざ地竜王を目覚めさせることもないんじゃないの? どちらにしても自分にはマイナス効果だとは思わない?」
「理屈っぽいヤツ…」
言ったのは杳だった。
紗和自身そう思う。しかしそれほどに翔の行動の乱暴さが、気に入らなかったのだ。
「いずれは目覚めるはずの彼だから、半覚醒のうちに叩いておく方が、僕にとって有利だと思ったからですよ。地竜王は必ず敵にまわるから」
「何故そう思う?」
「そういう奴だからです」
「…そうまでして何故…」
言いかけて紗和は言葉を切る。
これ以上言ったとしても、多分、翔には通じないだろう。直感的にそう思った。
「じゃあ君のすることは、どっちに転んでも僕達を殺すってことだね」
「そうなるね」
にっこり笑って聞く紗和に翔はそう答えて、同じように笑顔を見せた。
「そっか、じゃあ仕方がない」
紗和はゆっくりとソファから立ち上がる。
と、翔の後ろに控えていた3人がわずかに身じろぎ、構えを取るのが分かった。
それを無視して、紗和は大きく伸びをする。
「里紗、僕達にはどうも関係ないことみたいだから、帰ろうか」
声をかけた。
「あなた、人の話を少しは聞いていたの?」
雪乃だった。その雪乃に向かって。
「そうだ、君達“竜”になれるんだってね。空飛べるんだろ? だったら僕らが今夜泊まる宿まで送ってってくれないかなぁ。今からだと遅くなってしまうから」
雪乃の顔に、怒りの表情が浮かぶ。
「人を何だと思っているの?」
「竜だろ? そう言ったじゃないか。僕はまだ見ていないけど」
「いい度胸してるじゃないの」