第 1 章
竜神目覚めるとき
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 昼間、潤也の見た赤い竜だった。そして天にはその赤い竜を誘うかのようにして待つ、紫色の竜がいた。

「ヒロ、行っちゃだめだ」

 とても不安な気持ちがした。

 こんなこと現実にある訳がない。昼間見たあれが寛也である訳がない。それなのに、自分は知っていた。あの竜がまぎれもなく寛也であることを。

「ヒロッ!」

 大きく渦巻く風。視界を塞ぐ闇。

「寛也っ!」

 強い風が潤也を襲い、彼は部屋の奥へと吹き飛ばされた。壁にぶつかり息が詰まる。

 とっさに目を向けた窓の向こうに、赤い竜が背を向けて飛び立つ姿が見えた。


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