第 1 章
竜神目覚めるとき
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 さっきまでの寝ぼけ顔が、いきなり真面目な顔になっているのを不審に思った途端、聞かれた内容。

「お前の初恋、その後、どーなった?」
「う…」

 思わず、飲んでいた甘い珈琲を喉に詰まらせた。その潤也を眺めながら寛也が呟く。

「進展ナシか…」

 丸分かりだと付け加えながら、ため息混じりに言われた。

「なぁ、いい加減、相手、誰か教えろよ。俺が取り持ってやるからよ」
「余計なお世話だよ」

 潤也は、気管に珈琲を詰まらせながら、何とか答えた。

 冗談ではない。寛也になんか言えるものか。

 言って、協力されても、およそ事態は悪い方向へ進むのが目に見えている。

 第一、相手が誰かなんて絶対言えない。噂話に尾ひれのついた物が絶えない相手だ。

 それに、決定的なことがあった。

 相手は、同性だ。

 外見がいくら、その辺りの女の子よりも格段に美人でも、寛也が知ったらそれだけで引っ繰り返るかも知れない。良くて笑い飛ばされる。下手をすれば、反対され、邪魔をされる可能性も高い。

 それくらいなら、今のままでいい。

 片思いのままで。

 どうせ自分は不釣り合いなのだ。そう思っていた。

 この身には――。

「ま、お前がそれでいいんなら、いいんだけどな」

 そんな潤也の心情を知ってか知らずか、寛也はそう言って、トーストの残り半分を一気に口に押し込んだ。


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