第7章
崩れゆく砦
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「そうですね。救出作戦、いきましょうか」
言って翔は集まっている者の顔を見回す。そして、一番心配そうにしている紗和に向かって言う。
「新堂さん、行ってくれますか?」
紗和は驚いたように顔を上げる。そのつもりはまったく無かったのだろう。
「でも、ここの守りが…」
「僕がもうしばらく引き受けるよ」
そう言う潤也にも翔は言う。
「潤也さんも同行してください。街の修復と怪我人の治癒をお願いします。新堂さん一人では大変でしょうから、手伝ってあげてください。それから…」
翔が顔を向けて言う前に、優が名乗りを上げる。
「俺も行こう。癒さなければならないのは、身体の傷ばかりじゃないだろうからな」
「ありがとうございます」
礼を言って、少し考える風を見せてから翔は続ける。
「静川さんにも行ってもらってください」
そこにまだいない者の名も挙げる。その翔の言葉に、眉の根を寄せるのは優だけではなかった。
「力を二分する気か?」
「新堂さんと僕は瞬間移動ができます。二分ではありませんよ。それに、敵が現れた時、せめて逃げ出せるだけの力はいりますから。これでも危険なくらいですよ。ですから、現地へ行っても必ず団体行動してください」
翔の言葉にうなずいて、ふと潤也は思い出したように聞く。
「ヒロを起こしておこうか? まだ寝てると思うから」
残る側もそれなりに戦力がいるだろう。二分ではないにしても、敵の襲撃でもあればそれ相応の戦力もいる。そう思って言う潤也に、翔は柔らかく笑んで。
「もう少し休ませてあげてください」
その言葉に驚いたような目を向ける一同。そんなみんなの表情に苦笑を浮かべる翔。
「暴れまわりましたからね。まだ体力が回復していないでしょう。必要な時になったら起きてもらいます」
いつもは寛也に対して容赦ない翔が放った意外な言葉に、潤也だけが、そうだねと軽く答えた。
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