第5章
神を封じる者
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 みんなの集まる広間は、集まる人数に応じて開ける襖の数を変え、広さを調節できた。人数が増えるだけ、それに対応できるようにと潤也が機転を利かせて作っていたものだった。

 その潤也は病院へ置いて来たが、新しい仲間も加わって、広間はにぎやかだった。

 後からやってきた翔達が加わって全部で10人。昼間負傷していた松葉も何とか元気になった様子で、仲間に加わっていた。

 この人数では、春の夜とは言え暖房も要らないくらいに人の体温で暖かかった。

 翔達が部屋に入ると、みんなてんで好き勝手に座ったり寝転がっていたりする者もいた。

「だらしない奴だなな」

 畳に転がるのは露。すっかり自宅のように寛ぐ露の側へ来て、優はその脇腹を踏み付けようと足を上げた。

「おいっ」

 それに気づいて露はあわてて起き上がる。

「何だ。踏まれたい訳じゃないのか」
「お前なぁ」

 つかみ掛かろうとする露をヒョイッとよけて、優はそこから一番遠い席につく。

 全員が銘々に座るのを確認して、一番に声を上げたのは浅葱だった。

「全員揃ったみたいですね」

 その浅葱を、隣に座っていた碧海が慌ててつつく。

「お前、仕切る気か?」
「じゃ、譲ろうか?」

 聞かれて、ぶんぶんと首を振る碧海。この面子である。自分達から見れば人でないモノの集団を前にして、仕切れる訳がない。

 しかし浅葱は碧海の考えなど気にもかけず、一同を見回す。

「じゃあ、そろそろ始めましょうか。翔くん、突っ立ってないで座ったら?」
「あ…うん…」

 ひとり立ち尽くしたままの翔は、言われるままにその場へと座した。

 その様子に、一同は顔を見合わせる。明かに、立場が怪しいと。

「俺達のいない間に、何か敵から連絡でもあったか?」

 聖輝が覇気のない翔から目を逸らして、他の者に問う。答えたのは優。

「いや。何の音沙汰もない」

 ぶっきらぼうに答えるのを、冗談めかして露が継ぐ。

「のんびりした奴らだよな。どうでもいいけど、早めに取り引きしないと、とんでもない目に合うぞ」
「誰が?」

 美奈が不審そうに聞くのを、露はにやりと笑って返す。

「父竜。杳なんてさらって手元に置いても、ろくな目に合わないからなぁ」
「どう言う意味よっ?」
「まあまあ」

 慌てて浅葱が美奈をなだめる。こん些細なことで喧嘩などしないで欲しかった。


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