第5章
神を封じる者
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ひとり閉じこもって、翔は自問自答を繰り返す。
どうする?
助け出す?
そんなことは当たり前。何を放り出してでも大切なものの筈。守りたいものの筈。
動揺している自分。杳のいないことが、ひどく心細い。
助けに行かなくては。
でも、どうすればいいのか。
考えは纏まらず、堂々巡りだった。
「よう」
電気もつけないままでいる翔の部屋に、ノックもせずに襖を開けて入ってきた者がいた。優だった。
「結崎達が帰ってきた。作戦会議、やるぞ」
「…そうですね」
うつむいたままの翔に、優はやや呆れ顔を向ける。
「しけた面してんじゃねぇよ。お前、リーダーの自覚あるのか?」
優の言葉に、翔は自嘲気味に返す。
「そんなものある訳ないでしょ」
そう、当たり前のように言う。
力が強いだけではみんなを引っ張っていくことはできないのだ。翔は、自分にはその資格がないと思っていた。
何よりも、大切なものは仲間よりも他にあったから。そんな者がリーダーになるべきではないとも思っていた。
「お前なぁ」
ため息をつきながら優は吐く。
「結崎達が聞いたら怒られるぞ。ここまでついて来てるんだろ」
「…」
うつむく翔の腕を掴む優。
「行くぞ」
そのまま強引に引っ張って立ち上がらせる。
それ程寛容でも、気が長くもなかった。それに、遅くなれば集合をかけた者が何を言い出すか分からなかったから。
* * *