第4章
竜の血筋
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「うるさいな。とにかく、力を貸せよ。留年してみんな仲良く来春を迎えようぜ」
「ヒロ兄、自分が浪人してるって言ってるようなもんですよ」

 また、突っ込みを入れる。

「うっさーいっ」

 良いコンビが誕生していた。最強戦士達の掛け合いに、優は肩をすくめる。

 あきれながらも、話を元に戻す。浅葱に向けて。

「父竜相手だろ?」
「まだ完全復活している訳じゃないよ。勾玉がこっちの手にある限り」
「でも、地竜王は敵につきました」

 翔が、文句を言う寛也を押しのけてそう付け足す。

「地竜王って…」
「新堂紗和さん。覚えていますよね。勿論、敵につけば生き延びる可能性は高くなるわけですからね。あなたにも強要はしませんが」
「無茶苦茶な力配分じゃないか? お前ら二人が組んでも」
「そうですね」

 優にはさらりと返す翔が、自信があるのか、それとも諦めているのか見極められなかった。

「メンバーは?」
「こっちのですか? 浅葱くんを含めた巫女4人と、このメンバーの他に風竜、水竜、石竜が今のところです」

 一応、押さえるべき人物は押さえているといったところは感心できた。が、それでも勝ち目などないだろうことは知れた。加えて自分には前回のこともある。あまり顔を合わせたくない者もいる。

「水竜ね…」
「仲良しだもんな、お前ら」

 寛也が横から茶々を入れる。それを制して、翔が苦笑しながら答える。

「僕の責任ですから、仲立ちはさせてもらいます」

 かつて、水竜・静川聖輝の力を押さえようとして取った行動は、すべて翔が指示したもの。そしてその結果の優の敵前逃亡。翔はそのことに責任を感じていた。

「別にいい」

 優はポツリと返す。

「え…?」

 聞き返す翔に、代わりに浅葱が答える。

「じゃあ、喜んで仲間になるそうだよ、優ちゃんは」

 勝手に結論づけられて優は慌てるが、浅葱は悪戯っこそうな表情を浮かべたまま返す。

「優ちゃんは、弱気を助け、悪をくじく正義のナイトじゃなかったの?」
「…お前、性格、変わったな」

 それは翔の立場を思っての浅葱の言葉だと気づいて、翔も優もそれ以上何も言わなかった。


   * * *



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