第4章
竜の血筋
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近所の公園は、日曜日の朝だからか、まだ人気がなかった。
「ごめんね、用事、あったんでしょ?」
「いいって。大した用じゃないし。すぐ済むだろ?」
「すぐ済むって言うか…もう少し時間がかかる話を持ってきたんだけど、今日は」
ポツリとつぶやく浅葱のこの言葉に首を傾げて、優は聞きたかったことを先に質問する。
「それより、浅葱、今までどうしてたんだ? 連絡ひとつよこさないで、どっかで野垂れ死んでんじゃないかって、心配してたんだぞ」
三年経てば成長期の自分達など変わってしまうのだ。昔は人を心配しても、こんな言葉が素直に出てくる優ではなかったのに。
「あの時、言ったよね。竜の勾玉を集めるんだって」
「集まったのか?」
浅葱はうなずいてみせる。それを見て優は、そうかと、小さくつぶやいた。
「優ちゃんも、目覚めた筈だよね。光り導く光竜…」
この浅葱の言葉を全く予期していなかったのか、優は大きく目を見開いた。
「あの日、おじいさんのお葬式の日の夜、僕を襲ったのは、言ったよね、父竜の手のモノだって。まだ不完全ではあるんだけど、父竜が転生して復活しているんだ。だから、今度は他の竜達を集めている」
目を凝らす優。今なら優にも分かった。この浅葱が誰の転生者なのか。
「協力してくれるよね」
「俺がうんと言うとでも思っているのか?」
「思ってるよ。優ちゃんは昔っから、弱い者を守ってくれるナイトだったからね」
自信たっぷりにそう言ってのける浅葱に、優は返す言葉を失う。
その時だった。あらぬ方向から吹き出し、笑う声が聞こえたのは。
「ヒロ兄ィ」
「だって、こいつがかー?」
声のする方を振り返るとそこに、物陰に隠れているつもりなのか、全く隠れていない姿で、見覚えのある二人が立っていた。
寛也と翔である。。
「お前ら…何で…」
驚き二倍の優に、そっと近づき、浅葱が弁明する。
「ごめん、こういう訳なんだ。僕達だけでは勾玉は守れないから、彼らに保護を求めたんだ。取り敢えず目的は同じだから、共闘することになったんだよ」
くるりと、優は踵を返す。
「おい、待てよ」
寛也がすかさず優の前へ回り込む。
その寛也に優は冷たく言い放つ。
「趣旨変えか? 天竜王と組むのは」
「お前だって奴を裏切ったクチだろう」
「言いますか?」
背後で翔がつぶやく。