第3章
償い
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古代吉備王国――岡山県南部に位置する平野には、多くの古墳が点在する。
古代から国が栄えた証しとしてのそれは、今でもその形を止めていた。
「ここら辺はこんなふうにこんもりした山があって、その殆どが古墳なんだ。造山古墳なんて日本でも4番目に大きなものだって言うよ」
「そして、竜王の宮のあった場所…ですね」
杳と浅葱の二人は結界を抜け出して、吉備路までやってきた。
途中に杳の家へ寄り、彼のバイクに乗せられて思いっきりカッ飛ばされた。以前に乗ったことがある浅葱は安全運転を提案してみたが、大却下をくらってしまった。
五重の塔を右手に、菜の花が咲き乱れる畑を抜けると、遠く田園風景が広がる。のどかな景色に、つい気分ものんびりしてくる気がした。
「ま、古墳よりも古い時代だから、これを調べても仕方ないんだけど」
有名古墳群には目もくれず、杳は再びバイクを走らせる。
そして、古墳ではない山の一角に、杳はバイクを止めた。
「ここから先は歩くから」
邪魔にならない場所にバイクを置き、杳は歩き始めた。
「こんな所でしたっけ?」
浅葱は辺りの地形に首を傾げる。
「生活するためにあちこち切り崩して、池も作って、見かけは随分変わってるみたいだ」
「杳さん、分かるんですか?」
「地殻変動はないから、多分」
とは言え、この記憶の曖昧さ。あっちへ行ったりこっちへ行ったりと、浅葱は引っ張り回された。
「大丈夫なんでしょうねぇ?」
「さあ…」
散々歩かされて、やはりこの役は碧海に譲るべきだったかと思い始めたその時、杳が突然立ち止まった。
「!?」
浅葱は何事かと杳の見やる前方に目を向けた。