第3章
償い
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「それよりどうなんだよ。当然仲間になるんだろ? お前こそ、こういうシチュエーション、好きだろ」
寛也が割って入るのに、露は調子を合わせる。
「それは結崎の方だろう。熱血ヒーローだよな。負けると分かっているいくさに望もうって」
「熱血…?」
思ってもなかった言葉に、寛也は絶句する。
「オレ、今年受験生なんだよなぁ。『お勉強』、忙しいし」
「…そうだね」
同級の翔が返す。寛也が自分もとばかりにまた口を挟む。
「父竜にやられたら、大学も行けないんだぞ。何言ってんだ」
「そ。分かってるって。すーぐ熱くなるんだから。一度言ってみたかっただけだってば」
寛也にそう言ってから、翔に向き直る。
「ったく、迎えに来るのが遅いんだよ」
「水穂くん…」
伏せめがちだった表情をすこし上げて、翔は露を見やる。
目が合うとわざとらしく逸らして、今度は寛也に向かう。
「この状況、前回と同じだよな。オレ達には勝ち目、ないって」
「でも、勝ったよな、一応」
「ずーっと昔もさ。いつだって運はオレ達にあったって思わない? だから今回も勝つんだぜ、オレ達。勝利をゲットだぜってな」
そう言って露は大きく笑った。
翔は、彼らの方がずっと頼もしく思えた。
大学は、再来年同級生になるということで、寛也が納得させていた。
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