第2章
再会と決別
-3-

3/9


「巫女の方から保護してくれって言ってきたんだ。4人、雁首揃えて。中央の黄玉を除く4人。面白いんだぜ、それが。赤玉のひな、青玉のすい、黒玉のるり、白玉のきえ。聞き覚えないか?」

 知らない筈がない。どの名もあの、あみやと同時期の巫女ではないか。
「揃って転
生者ときている」
「…不気味だね。始まりか、それとも」
「決着か」

 どちらにしても偶然にしては出来過ぎていると紗和は思った。自分達の一斉の覚醒にしても、まるで何かに操られているかのような気がする。

「それで、翔くんは何て?」

 紗和は自分と同じ地位を持つ竜王が、どう行動するのか興味があった。自分よりこの情報に詳しい立場に立っているだろうし。

「翔? さあな。あいつ、何考えてんのか良く分からねぇから」

 寛也は眉をしかめてそう言ってから続ける。

「でもジュンは…って、弟の潤也だけど、巫女達が一度父竜の配下の奴に狙われてるから、確実に父竜は復活を狙ってるだろうって。ただ、それがいつのことなのか分からないだろ? もしかしたら現世に巫女がいるために出て来られなくて、彼らが年老いて死んだ後の時代を目指しているのかも知れない。だから今のところ、取り敢えずは様子をみるってさ」

 風竜らしく慎重だと、紗和は思った。

 成る程と鼻を鳴らす紗和に、寛也は問い返す。

「お前はどう思う?」
「父竜は勾玉の封印を解かれれば復活できるわけだから、今、彼の手下が襲って来たのだとしたら、彼の復活は既に始まっていると思うよ」

 しかし、実際はどこにいるのか分からない以上、今はどうすることもできないのが本音だと、寛也が付け加えた。

 紗和は、あのクラブハウスの部室の中で、復活の準備が進められていると思っている。

 紗和の言葉に寛也は腕組みをして呟く。

「尾行と偵察は風竜のお得意なんだけど」

 凪の特技だった。それを聞いて紗和が笑みを浮かべながら返す。

「僕でも大丈夫だよ」

 確かに存在圧の高い炎竜の仕事ではないがとは、言わずに。

「よく言うぜ。そういうキケンな事は俺がやるよ。お前は足元をやられないようにしといてくれよ」

 寛也が言いたいのは、地竜王は守りを主とする地位を持つと言うことだった。が、自分より力を持つ物に対して言う言葉ではなかったのだ。紗和は言葉を選んで寛也に返す。

「戦が僕に命令とはね」
「悪かったな。俺はあんまり昔のこと、覚えてねぇんだよ」
「ま、いいか。同い年だものね」

 紗和はその一言でその場を片付けた。


   * * *



<< 目次 >>