第2章
再会と決別
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「それはそうと、杳、サークルどうする? まさか大学に入って勉強しますなんてこと言わないよね」
「一応ね、社会復帰のためにバイトでもしようかなぁって」
「社会復帰?」

 杳とはあまり深い付き合いが長い訳ではないのだが、どう見ても彼は労働とは縁の無い性格のように思えるのだった。

 そう考えると自然に含みをもった言い方になってしまったらしい。杳があからさまに嫌そうな顔をした。

「何だよ」
「他に何かやりたいことでもあるのかと思った。だってこんな所まで来てバイトもないだろう?」

 黙り込む杳に、紗和は提案する。

「ね、バイトなんかしなくっても仕送りは十分なんだろ? だったら僕と一緒に園芸部に入らない?」
「はぁ?」

 杳は眉の根を寄せてくれた。が、それに気づかないのか、紗和は続ける。

「土に親しむっていうのはいいよー」
「オレがそんなものするように見える?」
「見えないけど…じゃあ、他に何かやりたいものでもあるのかい?」
「別に…」
「だったらやろうよ」
「…やだね」

 にべもなく返された。思いきりそっけなく。

「そんなの入るくらいなら、くっさい学ラン着て応援団やってた方がまだマシだ」
「あ…そう…?」

 その場はさすがの紗和もそれ以上言えなかった。

 一筋縄ではいかないと、改めて思った。


   * * *


 長い呪文のような祝辞と来賓あいさつが終わり、入学式は滞りなく終了した。

 講堂から千々に帰って行く他の学生に交じりながら、紗和は杳を引き留める。

「これからどうする? 何か用事でも?」
「園芸部なら行かないから」

 まだ何も言っていないうちから返事が返って来るのを、苦笑で返す。

「ああ、あれは忘れてよ。でもね、ちょっと付き合ってくれない?」
「どこ?」
「クラブハウス」

 やっぱりサークルかとため息をつく杳の腕を、紗和はいいからいいからと、笑顔を向けながら引っ張った。


   * * *



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