第1章
巣立つ雛
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やめてくれと言うのに、先端を甘噛みされながら、きつく吸い上げられた。
途端、杳は頭の中が真っ白になった。身体が強く強ばったかと思ったら、一瞬の解放感とともに全身が弛緩していった。
自分でもどんな声を上げたのかすら分からず、気づけば寛也のゴクリと喉を鳴らす音が聞こえた。
はっとして顔を上げると、杳のものを銜えたままの寛也と目が合う。
「飲ん…じゃった…の?」
「ああ。ごちそーさん」
恐る恐る聞く杳に、ペロリと舌を出して、おどけたように返す寛也。杳はガックリと力が抜ける思いがした。
と、その杳の両足の大腿が持ち上げられる。寛也に抱え上げられるようにして、大きく開かれた。
「え…何?」
慌てる杳に、寛也は緩んで締まらなくなった顔を向ける。
「何って、俺の方もそろそろイキてぇから」
「えっ…え? ちょっと、やだ…っ」
寛也は杳の後ろの窪みに指先を滑らせる。ぐるりと円を描くように、その入り口を指の腹で撫でてきた。
むず痒いその感覚に、杳は自然と腰が引ける。それを逃がさないように腰を抱え、寛也は杳の華奢な大腿を押し広げて、指先をゆっくりと中へと埋め込む。
「や…やだっ、ヒロ、何やってんのっ」
悲鳴にも似た声で聞いてくる杳に、寛也はまた顔を上げる。
「何って…慣らしとかねぇと痛ぇだろ?」
「え…何で? 何が?」
明かに混乱していると分かる杳に、寛也はさすがに不審に思った。知らない訳もないだろうと。
「何でって、俺、お前の中に入りてぇから」
「な…!?」
ストレートな寛也の言葉に、杳は絶句した。
その様子に、寛也はまさかと思う。聞いていいものかどうか少しだけ迷って、思い切って口を開く。
「杳…ちょっと聞くけど、翔とは…何だ、その……経験、あるよな?」
真っ赤になったままの杳の顔に、少し涙が滲んできていた。こんな顔なんて、めったに見られるものではなかった。
「翔くん…こんなことまで、しなかったし…」
「え…?」
そう言った杳は、本当に泣き出しそうだった。
「ってことは、もしかして後ろは…ヴァ…」
言いかけて、慌てて口を噤む。杳が睨んでいたので。
が、もう止まらないくらいに寛也は顔の筋肉が緩みきり、溶けてしまいそうだった。