第1章
巣立つ雛
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遮光カーテンを引いても、隙間からこぼれる光だけで部屋の中は明るかった。その中でセーターを脱ぎ始める杳。その手を慌てて寛也が止めた。
「色気のねぇことするなよ」
そう言って寛也は杳のセーターの裾を掴むと、下に着ていたTシャツごと一気に脱がせた。
柔らかなシャンプーの匂いが漂う。
杳の身体をそっと抱き寄せて、ベッドの上に横たえさせる。
「ホントにいいのか?」
「しつこいな。ヒロこそ嫌なんじゃないの?」
杳はそう言いながらも、寛也の首に腕を絡ませてきた。
鼻をくすぐる甘い芳香。誘われるように口付ける。
抱き締めた華奢な身体は、わずかな筋肉だけを残して、あとは骨と皮だけの痛々しいものだった。その白い肌に、そっと唇を落とす。
奇麗な身体に跡をつけることすらはばかられて、寛也は優しくなぞるように唇を這わせていった。
「…う…あ…」
ピンクに色づいた胸の飾りに舌を乗せると、僅かに声が上がる。それをゆっくりと口に含んで舌先で転がすと、杳はピクリと身体を震わせた。
「ヒロ…ちょ…くすぐったい…」
上から声がして顔を上げると、杳は白い顔を真っ赤にして困ったような表情を浮かべていた。それが余りにも可愛くて、つい意地悪をしたくなる気持ちが浮かんできた。
「じゃ、して欲しくねぇ?」
「え…」
言葉に詰まる杳に、寛也は一瞬で勝ちを得たような気がした。
「言えよ、どうして欲しい?」
寛也の問いに、杳は少し顔を背けた。耳までもが真っ赤になっているのが見えた。
「強く…して…」
それだけをようやくに言う杳に、寛也は言われた通り、赤く熟れ始めた胸の果実に唇を落とした。
甘噛みしてから強く吸い上げると、杳は胸を上下させる。甘い息遣いが聞こえてきた。
「あ…ああ……やん…」
しなるように反り返る背。上がる声が耳に心地よい。もっと聞いてみたいと思った。
寛也は開いている方の手を、ゆっくり杳の脇腹をなぞって下へ降ろしていく。ジーンズの上から触れると、杳は驚いたように反射的に身を引いた。
「ちょ…ヒロ…まだ早…」
「早くねぇよ。俺、これだけでもうパンパンだし」
言いながら寛也は杳のものを柔らかく握り込んだ。