第7章
過去、そして未来
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「どうしよう、これ…」

 杳は自分の机の上に山盛り置かれたプレゼントの箱やら袋やらを見て、ため息をつく。

 今朝からひっきりなしにやってきて、杳の言葉も聞かずに強引に置いていった名前も顔も知らない同級生やら上級生やら下級生達。男子も女子も入り乱れていた。

 何でこんなことになってしまったのか、困惑するばかりだった。

「また、沢山もらったもんだな」

 含み笑いで佐渡が声をかけてきた。それをチラリと睨んでから、杳はまた大きくため息をつく。

「こんなの、もらう言われ、ないんだけど…」

 それなのに、この山盛りのプレゼントをどうしてくれようか。見た所、大半がチョコやキャンディやクッキーといったお菓子類なので後腐れなさそうだが、この手作りっぽいニット製品はどうしてくれようかと思う。

 去年までは何にもなかったのに、流行りなのだろうか。確かにミスコンテストで優勝したが、杳にはさっぱり意味が分からなかった。

「じゃあ、俺なんかにプレゼントなんて、用意してねぇよな?」
「何であんたなんかに」
「だって俺達、もう仲間だろ?」
「ばっかじゃない?」

 いかにも馬鹿にしたように言って、杳は顔を背ける。

 佐渡なんかよりも、とにかくこの山を何とかしなければならない。持って帰るにしても、バイクに詰めるだろうか。持って帰れても、どうやって処理すればいいんだか。母が食べてくれるだろうか。

 また大きくため息をつく。

 そこへ能天気な声が聞こえた。

「お・ま・た・せー」

 悩みのひとつもないのではないかと思われる元気さで、教室に飛び込んできたのは寛也だった。

「お。お迎えのようだぜ」

 からかいの言葉の佐渡は、あっと言う間に近づいてきた寛也に押しのけられる。

「お前、また杳に何かしてたな?」
「ひでぇ濡れ衣」
「帰るよ、ヒロ」

 杳は立ち上がると、とりあえず小物をカバンの中に詰め込んで、入りきらない大物は両手に抱えた。

「杳、それ…」

 持ち切れない程のプレゼントの山に寛也は唖然とする。潤也だってこんなにもらってきたことはない。

「委員長、これあげる」

 持ち切れなかったものを顎で指し示して、佐渡に言う。机の上には3つ程のお菓子の袋が残っていた。もう誰にもらったのかすら覚えていない。ここで誰かにあげたとしても大差ないだろう。そう思った。

「俺に? いのか?」
「オレからじゃないから、勘違いしないように」

 念のためにそう言って、杳はさっさと教室を出ていく。寛也が不満そうに、プレゼントの箱を手に取ろうとする佐渡を見やっていると、思わず目が合った。

「杳からじゃなくても、杳がくれるって言ったものだからな」

 お前にはやらないと言って、佐渡はさっさと懐にしまい込んだ。

 寛也は面白くないものを感じつつ、杳の後を追った。


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