第5章
性徴
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 触れた肌は柔らかく、何か良い匂いがした。女の子の格好に合わせてコロンでも振りかけられていたのだろうか。

 寛也は薄暗闇の中、下着一枚の杳を見下ろして、小さく息を飲む。

「杳、奇麗だ…」

 言うと杳は視線をそらす。背けた顔のその首筋に、唇を落とした。ピクリと小さく震える杳の身体。ゆっくりと胸に手を這わせていき、その突起を指の腹で撫でる。

「あ…」

 上がる声を慌てて手で押さえるのを、寛也は止めるようにその腕を取る。

「声、聞きてぇ…」

 言うと杳は泣きそうな目で寛也を見やってくる。どうしてそんな目をするのだろうか。しかし杳は何も言わず、また瞳をそらす。

 寛也は片手で杳の胸をまさぐりながら、もう一方の胸に舌を這わせる。ビクビクと震える身体。その背に下から手を回して抱き締める。そして片手は胸から脇をなぞって腰を摩り上げた。少女のようにわずかにくびれた腰から、更に下へと手を下ろしていく。

「あ…いや…」

 下着越しに杳のものを掴んだ。こういった行為に慣れていないのか、大人しいままのそれを、ゆっくりと揉み上げる。

「ヒロ…やっ…あっ…」

 甘い声が上がる。白い頬が上気して、ひどく艶っぽかった。寛也はたったこれだけで自分のものがきつくなり始めているのを感じた。

「や…いや…」

 震える声が耳に心地良かった。吸い付くようにしっとりと柔らかな肌は、甘い味がした。毎晩のように焦がれていた身をこの腕にできることに夢中で、だから、気づかなかった。


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