第5章
性徴
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「Kブロックの子、すげー可愛かったなー」

 後ろの席でそんな声が聞こえて、振り返ろうとするところを潤也に止められた。いちいち反応するなと言って。

「あんな子、この学校にいたか?」
「カレシ、本当にいないのかなぁ」
「パラグライダーって王子ケ岳でよくやってるアレだろ?」
「行けばお近づきになれるかなぁ」

 夢見るような声に、寛也は目眩がしそうだった。

 ブロックの数は全部で10。アルファベット順で、途中IとJを省いたLまでのクラスの縦割りである。そのブロックから各々1名ずつの出場なので、10人で終了する。午後1時に始まったコンテストは2時半には終了した。

「この後、杳と待ち合わせなんだ。じゃあね、ヒロ」

 言って潤也はさっさと席を立とうとする。それを呼び止めた。

「待てよ、ジュン。俺も連れていけ」
「はあ?」

 潤也は寛也の言葉に眉をしかめる。今日と明日は二人で文化祭を回る約束になっている。寛也なんかに付きまとわれたくないのが本音だった。

「何でだよ? ヒロ、邪魔」

 そんなにはっきり言わなくてもと思いながら、寛也も負けていない。

「お前、ずりぃと思わねぇのか? 自分一人だけ抜け駆けして」
「その言葉、そっくりそのまま返してあげるよ」

 立ち上がって睨み合う長身の双子が目立たない訳がなく、横から呆れたような声がかけられた。

「僕に言わせると、二人とも同類ですけどね」

 そこに、翔が腕組みをして見上げていた。ちゃっかり来ていたらしかった。


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