第4章
告白
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「大丈夫だよ。きっと杳にフラれたから意気消沈していただけだよ。仲直りしたんなら、すぐに元に…倍増しに元気になるだろうね」
潤也の目を向けた方向――グラウンドで、こちらに向かって大身振りで手を振る寛也の姿が見えた。どこをどう見てもいつもと同じだった。いや、最近落ち込んでいたので、それに比べるととんでもなく元気に見えた。
「杳、そんなにヒロのことが気になるなら、もっと前へ行こうか? 応援する声も届くよ」
「やだ」
即答された。それに思わず苦笑が浮かぶ。本当に、素直じゃないんだからと思って。
「いいよ。じゃあここで二人で応援してよう。僕もヒロのいない間くらい、君を独り占めしていたいからね」
サラリと言うと、杳はキョトンとした顔を向けてくる。
「今日は僕とのデートだものね」
それなのに、食事タイムを寛也に譲ってしまうなんて、自分も大概お人よしだと思った。考えて、すこし悲しくなってしまう潤也に、杳は気づいた様子もなく返す。
「ん。お弁当も美味しかったし」
嬉しそうに言う杳に、それでもいいかと思ってしまう潤也だった。
そんな二人の見守る中で、寛也は決勝戦まで勝ち残ることはなかった。