第4章
告白
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「仲直り、できたみたいだね」
弁当を食べ終わるまで帰って来なかった潤也は、寛也が競技の為にグラウンドへ帰って行くのを見送ってからようやく姿を現した。
「何やってたんだよ? 危うくヒロに全部食べられるところだったんだから」
言って杳はプクッと膨れながら、潤也に重箱を差し出した。見ると、成る程、三段重ねの重箱の中身は、残り物を寄せて一段の半分くらいしか残っててなかった。
「潤也の分、確保するの大変だったんだから」
「ごめん、ごめん」
言って潤也は笑いながら席についた。寛也が食べ散らかして残っている筈もないと諦めていたのに、相変わらず杳の言うことだけは聞きいれるようだ。本当に馬鹿馬鹿しいと思う。
「杳はちゃんと食べたの?」
「うん。ヒロが食え食えってうるさいから、それなりに。ごちそうさま」
律義に両手を合わせて見せる杳に、小さく笑ってみせてから潤也は割り箸を割る。
杳の確保してくれたものは、奇麗に一種一個ずつだった。案外細かいのだなと思った。
「ね、潤也。ヒロ、どこか悪いことない?」
ふと聞いてきた杳の言葉に、悪いのは頭かなとボケてみようとして、思い止どまった。杳が心配そうな顔を向けていた。
「元気だと思うよ。食べる物を食べている間は、ヒロは何の問題もないから」
明るく言ってやるが、杳は奇麗な眉をしかめる。
「そうじゃなくって。ヒロ、元気は元気だと思うんだけど、何か、影が薄くなってるような…」
その言葉には、吹き出した。
「ヒロがぁ?」
「うん。ヒロのオーラ…小さくなってるように思う」
言われて、潤也は杳にそんな力があったことを思い出す。
この力はあみやも持っていたもので、元々は綺羅の力だった。竜族の下に生まれた妹、綺羅。竜族ではなかったのだが、彼女は不可思議な力を持っていた。自分達にはない力――竜を封じる力を持つ彼女は、その為の力としてなのか、人の気を見ることができた。
その転生者があみやで、その次の転生者が杳だとは杳自身知らないことなのだろうが、気づいていない寛也にも言うつもりはなかった。ただ、潤也と翔だけが知っていることだった。
が、潤也には寛也はいつもの通りにしか見えなかった。同じように仲間の気を知ることのできる自分には、寛也の竜気に変化は見られなかった。と言うことは、杳の見ているものは、多分、好きな相手としての勘ではないかと思った。