第4章
告白
-3-
3/12
後半は少し意地悪で言った。どんな反応があるのか期待して。しかし杳は気にした風もなく、さらりと返してきた。
「別に。去年も一人で時間、つぶしてたし」
それはそれでどうかと思った。高校生活の3年間で、学校祭の思い出もないなんて悲しすぎる。
「それより潤也こそ忙しいんじゃない? クラス委員だし」
「学校祭の間、忙しいのは実行委員だよ。僕はクラスで何も起きない限り、用事は無いし」
言うなれば、実行委員会が取り仕切っている学校祭の間だけはお役御免となるのだ。
「じゃ、決まりだね。よろしく」
言うと、杳はふと思い出したように言う。
「あ。1日目だけ…予定が入ってた」
その言葉に潤也はおやっと耳を傾ける。
「昼の12時に体育館へ来いって」
「1日目の昼…?」
潤也はチラリと杳の顔を伺い見る。
確か、体育館では各ブロックの劇が上演されることとなっている。その他に文化部の幾つかが出し物をやることにもなっていた筈だ。そして、もうひとつ、実行委員会が主催して、1日目の午後一番で催し物があったのだが。
「何?」
じっと見ている潤也に、杳は不審そうに聞く。
かなり校内でも話題になっていたのだが、知らないのだろうか。もしかしてと思いながら、言おうかどうしようか迷って。
「ううん、別に。じゃ、その時間はクラスの連中の見回りでもしてるよ。ヒロも含めて、何か悪さでもしていないか見ておかないとね」
やっぱり言うのはやめた。それはそれで面白いのではないだろうかと、前回の球技大会でのことを思い出して。
「大変だね、委員長って」
「そうでもないよ。それに学校祭が終われば改選だからね。僕がするのも来月いっぱいかな」
「でも再任ありじゃなかった?」
そうそう退任させてもらえる人物とは思えずそう聞く杳に、潤也は笑って見せる。
「僕、生徒会長に立候補するから」
そう軽く言うと、「ふーん」と軽く返された。相変わらず興味の無いことには無関心なのだと、潤也は苦笑を禁じ得なかった。
「あ、始まる」
いつの間にかグラウンドの整備も終わり、大会の開会式が始まろうとしていた。
* * *